明晰 | mitosyaのブログ

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個人誌「未踏」の紹介

  明晰

「明晰さとは、明るさの限界を知り、いさぎよく闇を引き受け、前進しようとすることを一切放棄することにある。そうとすれば、悲劇的でも劇的でもない普通の道を辿って行くだけである」

 限界も、闇も、感知しないで、ただ私の信じるところを歩いているだけ、前進なのか、後退なのかも知らない、ただ過ぎ行く時の中を。


  もの

「ものがものであって、しかもものであるままで感覚を超えている、というこの事実、ものであろうとすると感覚を超えざるを得ない、というこの事実がデカルトとカントを生み出した」

 私の意味、私を超えた意味、人は宿命のように問い続け、それはこれからも、人が人であり続ける原理であり、存在が与えてくれた人への贈り物。


  夢

「僕のいう弱者とは夢が生活を食いつくした人のことを言うのだ。自分にもっとも直接し、自分の存在の根底と一つになった夢。僕にとって、他者との本当の接触は、夢の中にしかないのだろうか。なぜ夢の中のものが本当で、現実のそれは虚偽なのだろうか、それはそれに伴う感覚の切実さから来ている。このさし迫ったかなしみと安らかさ、これが本当だ、と感じるだけである」

 切実さと、安らかさ、それらは自己との一体の感情の中に立ち現れるもの、人はその一体を求め続け生きている。本当は、死んだものからすれば、生きているということは夢のようなものであるのだが、