子供たちへ | mitosyaのブログ

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個人誌「未踏」の紹介

 嘉樹がまた金を持ち出した。家出してやると言っていたというから、口実は新潟へは親も反対して
いるから、面接も厳しいから、このままだと親元での生活になってしまう。将来的不安と学生最後の
夏休みだから遊びびたい、が金がない、親の嫌うことをすれば見離すだろうとの判断。
 手をさしのべても、生き方を変えようとはせず、前進、努力、というものを価値に持たず、安易な
ものに流され、太く、短く、面白くと人生をとらえて、
 人は、いずれ理解し合うもの、希望に生きるものとするなら、さっさと理解、希望に向かって生き
て生きていくこと、自分の人生の目的に対しては頑なであっても、対社会、人に対しては肯定して、
父が手遅れで死んでいたら、今ごろお前はどうしていたのだろうか、母の悲しみ、生活の苦労を思う
のだが、お前にはどちらでもいいことか、求め合う、創っていく絆、価値、意味など、見ることの出
来ないお前だから、どうしてそんなに成ってしまったのか、何がお前をそうさせてしまったのか、
 赤んぼ時代-よく笑い、人なつっこく。幼稚園時代明るく、おしゃべり、社交的。小学校前半おとなしく、控えめ。小学校後半-前向き、努力、正義感。中学生-ことなかれ、泣き虫、弱音。
高校生-勝手気まま、無気力。専門生-高校時代に輪をかけて怠惰。夢、希望が育っていない努力価
値、思考能力等、青年としての訓練がされていない、子供時代のまま、今社会に出るに当たって、淋しい広凌たる砂漠の中を一人歩いているようなものではないのか。人生は長い、着実に歩むこと、
「俺はギャンブルは止められない、親に甘くされると甘えてしまう」「学校は勉強もしていないし、将来どうなるかもわからないから辞めてもいい」 
 子供たちへ 母は毎日生活の不安、将来の虚しさにとらわれているようだ。それも原因は全て父の
いたらなさにあるのだが(身体が思うようにはならず)それは置いておいても、母が感謝と安心を求
めているのだから、答えてやって欲しい、父も月十日位のガードマンに行く、夜十時から朝五時の勤
務、潤も何かバイトをし、嘉樹は以前言ったように、苦学生のつもりで、前借りしないで、公庫の借
金を払っていくこと、父が三十万、潤が二万、嘉樹が五万、合計で三十七万で生活していく、母は病
気で寝ているものと思って、切りつめてやって行く事。父は作家として生きる道を選び、母も作家の
妻として生きることを覚悟して結婚し、生きてきた。子供はそんな二人の喜びの為に生み、育ててき
たのだが、今、この充分に、巣立ちの時期を過ぎたお前達にあって、義務として果たしていって欲し
い、でないと生活は成り立たない、嘉樹は就職する迄、そして母の老後はお前たちが責任をもつこと
、父は、母は、自信を持ってお前たちを愛してきた、愛を注いできたと言えるのだから、嘉樹は自堕
落にならぬよう、七十年という時間を目標にして、潤は目標に向かって、父も精一杯やる、お前達も
、父はけっしてお前達の世話にはならぬ、責任は自分でとる、どのようにしても生きていく、生命あ
る限りは。
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