孤独の家 | mitosyaのブログ

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個人誌「未踏」の紹介

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先日 世界を一個なくしました―――だれがご存知ありませんか―――額のまわりに―――一列に星が飾ってあるのです―――お金持ちは見向きもしないでしょうが―――私の貧しい眼には―――どんなお金より大切なもの―――

 私は失くす世界を持ってはいません、そこで呼吸し、見、語れるほどの世界を、一つでいいから欲しいのです。貴女はいっぱいお持ちのよう。鳥や虫、草花と語る世界、太陽と月と、星々との世界、神と祈りと、愛の世界、死と孤独と、魂の世界。私はどこにあるかは知っているのですが、一日位なら泊まったこともあるのですが、長く住んだことがないのです。貴女のように、神の隣に住んでいないと耐えられないから―――。

 魂は魂自身にとって―――一番の友だち―――それとも 敵が忍びこませた―――もっともたちの悪いスパイ―――

 孤独の家に行った時、魂だけは友だちでした。誰もいないのですから、私には神も居ないのですから、私の魂だけが友だちでした。どれだけ、私は魂に語ったでしょうか、「私が死んだら、お前も消えなけれならないのだよ」「私を励ましてほしい」「大丈夫、死ぬ時は一緒だから」と、私はその時、魂が私の中に住んでいることを初めて知ったのです。
そして、その私の魂だけは信じられるようになったのです。いつの日にか訪れる、絶望の時も、きっと私の魂は、私を励ましてくれると思うのです。

 もう祈るだけ 祈るだけしかないのです―――ああ イエスよ 空の中の―――あなたのお部屋がどれかもわからず―――そこら中をノックして回るのです―――

 何と多くの人々が、この心に到ったことでしょう。この人々の祈りが、人間を生かしめてきたのでしょう。あの時代、あの場所、思い出せば今も聞こえて来ます、生命のいとおしさ、世界に溢れるほどの生命はあるのに、それでも失いたくない一つ一つの生命。最後に人に出来ることは、祈ることだけ―――