ハーモニカとブン | mitosyaのブログ

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個人誌「未踏」の紹介

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 ハーモニカとブン
またの日、歌を唄う犬のテレビを見た。歌になってない声だった。お前はいつの頃か、ジュンが吹くハーモニカに合わせて、オオカミの遠吠えのような悲しげな、高い声で応えていた。いつまでも続くその声に、制止を求めないではいられなかった。今、年老いて私を呼ぶ声、その頃のお前の声そのもの、人の赤ん坊とは違う、歌のような抑揚、「よーう、助けてよう」「一体俺は、どうしてしちまったんだー」と。