はじめに


 現在、アイドルグループを運営しているハロー!プロジェクトにはモーニング娘。(1997-)アンジュルム(旧スマイレージ:2009-)Juice=Juice(2013-)つばきファクトリー(2015-)BEYOOOOONDS(2018-)OCHA NORMA(2021-)ロージークロニクル(2024-)7つのグループが在籍している。過去にはこれら以外のグループも存在していたが、活動休止や解散してしまったということもあり、いつ、どういう流れでそうなったのか全体を把握できるものが無かったため "初心者向けの入門" として書き記すこととした(便宜上、派生ユニットや一部グループは除く)。
 

旗艦としての「モーニング娘。」


 モーニング娘。はよくハロプロの "旗艦(フラッグシップ)" と呼ばれているが、そもそもハロー!プロジェクトという事務所自体は「平家みちよとモーニング娘。」のために生まれた。モーニング結成の物語からはじまり、現代アイドルグループのフォーマットの確立、知名度の高さや様々な場所で活躍しているOGがいるなど、その影響力の大きさがゆえプロデュースのアドバンテージが高く、多くの人から注目を集めるため "旗艦" と位置づけられている。

 


打倒モーニング娘。時代~モベキマス時代


 ハロー!プロジェクトというモーニング娘。を筆頭にいくつかのアイドルグループが所属しているが、歴史的な流れとして「モーニング娘。vs. ○○」という対立形式で新たなグループが生まれていた。そもそもモーニング娘の存在自体が、オーディションで平家みちよに敗北した者の物語であり、その後は大きく注目され、立ち場が変わり「打倒モーニング娘。」なる競争で盛り上げることを目的としていた。

 当初のつんく♂の構想では色んなアイドルグループの選抜メンバーがその後、モーニング娘に加入するというグループシステムを考えていたという(しかし反対意見が多かったため断念)。初期は実験的でハイエンドな歌唱力の「太陽とシスコムーン(1999-)」、また「カントリー娘。(1999-2014)」「メロン記念日(1999-)」といったモーニング娘と近いようで異なった背景やキャラクターが揃っていた。

 

【第1世代】

モーニング娘。   時代と共に変化

太陽とシスコムーン   R&B特化型

カントリー娘。   ローカルアイドル集団

メロン記念日    キャラクター先行型

【第2世代】

Berryz工房&℃-ute エリート育成型

 

 その後ハロプロキッズというエリートアイドルの育成目的であった「Berryz工房(2004-2015)」「℃-ute(2005-2017)」が2000年始めからデビューした(2グループ合わせてベリキュー)。そして2000年代末期~2010年代初めのベリキューは、モーニング娘(プラチナ期)のメンバーとほぼ同世代、芸歴も近いライバル関係になり、三つ巴の鍔迫り合いが行われていた。その3つのグループの妹的な立ち位置で2009年に「スマイレージ(現アンジュルム)」が誕生、いわゆる「モベキマス時代」が訪れる。

 この時代は "アイドル戦国時代" がさらに激化し、中田ヤスタカプロデュースのPerfume、秋元康プロデュースのAKB48、アイドリング!!!、ももいろクローバーZ、K-POPではKARAや少女時代が飛ぶ鳥を落とす勢いで人気になってきた。そのため「モーニング娘。vs. ○○」ではなく「ハロプロアイドル vs. ○○」という構図に変わり、もはやハロプロ内だけの競争では生き残れないと事務所が判断したとみられる。

 

【〜2010年】

モーニング娘。(プラチナ期) vs. Berryz工房  vs. ℃-ute

【2011〜】

モベキマス(ハロプロアイドル) vs. 他事務所

 

 そういった背景のなか、スーパーヒーロー大集合的な総力戦として「モベキマス」という4つのグループと真野恵里菜を合わせたアイドルグループが結成された。モベキマス時代は世間一般としては暗黒期にみえるが、ハロプロ全体のなかで、特にベリキューは完成度の高いグループになっていた。

 


第3世代の台頭と構造改革


 2013年には太シスの後継グループとして「Juice=Juice」が結成され、歌唱力の高いグループが誕生していた。2014年にはモーニング娘。の後ろに西暦の下2桁が付き「モーニング娘。'〇〇」として変わった。また、カントリー娘。が「カントリーガールズ」として新しく生まれ変わってリスタート。その一ヶ月後に大人の事情でスマイレージから「アンジュルム」に改名。そして2015年には「こぶしファクトリー(2015-2020)」「つばきファクトリー」といったベリキューの双子姉妹のようなグループが誕生していた。そして、第2世代グループ「Berryz工房」が2015年、「℃-ute」が2017年に活動を休止した。この数年でハロマゲドンを彷彿とさせる展開があり、ハロプロは明らかに構造改革が進められていた。
 
【第3世代中心の新グループ編成】

モーニング娘。       モーニング娘。'〇〇

太陽とシスコムーン Juice=Juice
カントリー娘。   カントリーガールズ
メロン記念日    アンジュルム
Berryz工房℃-ute こぶしファクトリー・つばきファクトリー
 
 これら構造改革はおそらく全て計画されたものではなく結果論だが、上記の流れがあるとすれば解釈しやすい(独断と偏見だが)。この2013年〜20、21年のコロナ禍辺りまでは第3世代のメンバーが求心的となっており、主にハロプロエッグ、ハロプロ研修生である最初の世代が活躍した。
※カントリーガールズは2019年に活動休止、こぶしファクトリーは2020年に解散し、これら一部のメンバーはモーニング、ジュース、アンジュへ移籍。
 そして、2020年前後はハロプロが全体的に成熟期を迎えており、モーニング、ジュース、アンジュ、こぶし、つばきの完成度は高く、グループの並列化やパワーバランスが拮抗しているように思える。この辺りから第3世代の卒業ラッシュが始まり、次の世代へとバトンが渡されることとなる。
 

新たな展開と発展


 「こぶし・つばき」までは、これまでのグループの延長線上で捉えやすかったが、これ以降のグループはこれまでに無かった挑戦的なコンセプト、もしくはありそうでなかった王道的なアイドルグループが新たに生まれた。
 2018年には第3.5〜4世代目にあたる3つのグループ「CHICA#TETSU 」「雨ノ森 川海 」「SeasoningS 」が合わさりBEYOOOOONDS」が結成された。このグループは新しい背景や物語であり、ある種実験的なグループでもある。2021年には第4世代中心の「OCHA NORMA」が結成された。OCHA NORMAはハロプロの急先鋒的な立ち位置であり、楽曲も解釈しやすく、王道的なグループの印象がある。そのためハロプロの入口になりやすい。2024年には「ロージークロニクル」が結成された。印象としてはより育成型を意識した、この先どうなるかわからないグループである。
 卒業加入制度のあるモーニング娘、アンジュルム、Juice=Juice、つばきファクトリーは四天王的な立ち位置になっているが、新規グループも同様な存在になるか分からない。
 
【卒業加入制度導入】
モーニング娘。'〇〇
アンジュルム
Juice=Juice
つばきファクトリー
【新規グループ(未だ加入無し)】
BEYOOOOONES
OCHA NORMA
ロージークロニクル
 

「Juice=Juice」というパフォーマンス集団


 昨今のJuice=Juiceの躍進は凄まじいが、そもそも結成当初から研修生の中でも選りすぐりのメンバーで構成されていた。その後、加入したメンバーも歌唱力、パフォーマンスの高い人材であり、逆にこのレベルを継続、維持していくことが困難かもしれない。しかし、これまではモーニング娘がいわゆる「旗艦」として多くの層から注目されてきたが、ここに来て "Juice=Juice" がその存在を脅かしている。
 

SNS戦争


 コロナ禍辺りからSNS戦略が重要となっており、メンバー達は毎日何かしらを発信している。しかし、老舗会社であるがゆえ、新しいメディアや時代の流れに若干遅れ気味になっていた。私見だが「ASAYAN」や黄金期のモーニング娘などは頻繁にテレビに出てそれぞれのキャラクターや個性を視聴者たちはよく知っていたため、親近感が湧き、観る側に安心感を与えていた。それぞれのキャラクターが伝わりやすい媒体があればいいが、現在は一部動画配信と「DVD MAGAZINE」を中古で入手するほかない。(違法アップされているものは抵抗があるので、せめてアーカイブを配信・サブスク化してほしいぐらいである。)
 

ハロプロの長い歴史


 2026年から「ハロプロ30周年記念」と名して音楽のストリーミング配信をするニュースが出た。世代のサイクル的にも30周年の節目である2028年辺りは、4世代の完成度が高いと見込まれる時期であり、BEYOOOOONDSやOCHA NORMAもベテラン組になっている。また卒業した一部のOGたちもM-Lineなどで活躍しており、そちらとも連携する流れらしい。もしかすれば再結成や新しい流れが生まれるかもしれない。
 新規ファンは別にこれらの流れを知る必要はないが、聞いた事のないグループ名やその楽曲もあると思うので、確認用として記している。斯くいう自分も初めは全く分からなかったため、混乱していた。年間スケジュール的なものや詳細においては「モーニング娘。推し活講座」でモーニングのみならず、ハロプロ全体の流れは把握出来る。

 そもそも「ASAYAN」というオーディション番組からたまたま生まれたグループが今に繋がるとは若い人にはピンと来ないかもしれない。しかし、そういう偶然の産物が現在も続いている事自体 "奇跡" であり、その後「30年」も続くとは誰も予想だにしていなかっただろう。もはやハロプロは "伝統芸能" と言っても過言ではない。