末梢動脈疾患(PAD)ガイドラインが

今年春に改訂されました。

 

PADといってもピンとこないと思いますが、

PADとは冠動脈疾患と大動脈疾患以外の

動脈硬化性疾患を指します。

 

PADの中で大部分を占めるのが下肢

動脈疾患ですが、他に頸動脈・椎骨動脈

疾患や上肢動脈疾患、腎動脈疾患なども

含むので、最近のガイドラインでは下肢

動脈疾患(LEAD)と呼んでいます。これは

従来、下肢の閉塞性動脈硬化症(ASO)と

言われていたものと同義と考えてください。

用語の定義についてはこの記事をご覧ください

 

最近ではこのLEADという疾患の認知度も

上がってきたのですが、重篤な疾患を想起

させる胸痛といった症状と異なり、下肢の

症状はあまり積極的に拾い上げられて

いない、いざ見つけたとしても、どこに相談

したら良いのか分からないので、整形外科や

皮膚科や形成外科に紹介されているという

ケースがまだまだ多いのが実情ではないでしょうか?

 

確かにLEADの主たる症状である間歇性

跛行は通常急速に悪化するものではあり

ませんし、大部分の症例では、何年も

そのまま悪化することなく経過していきます。

 

しかしLEADの中でもCLTIと呼ばれる状態は

極めて予後不良ですので、このCLTIに

ついては早く拾い上げて、早く専門施設に

つなげることがとても重要なので、ぜひ

あなたにも知っておいてもらいたいと思います。

 

水戸済生会では10年以上前からLEADに

対する血管内治療(EVT)に取り組んでおり、

多い時で年に約160例、コロナの影響を

受けた昨年も約120例ほど施行しています。

 

そして当院は透析症例が多いという背景から

EVT施行例の約7割がこのCLTI患者さんです。

 

今回から改訂されたガイドラインをベースに、

当院の経験も交えてCLTIについて紹介して

いきます。

 

まず、先ほどから登場しているCLTIですが、

Chronic Limb-Threatening Ischemiaの略で、

日本語では「包括的高度慢性下肢虚血」と

訳されています。

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