何度となく見た 満開の桜並木を
いつもより早い足取りで
見向きもせず

抜けてゆく「今年もきれいに、
遠く遠くまで咲いてるよ」
無邪気な笑い声はもう聞こえない

いつまでもずっと ずっと
離れずにきっと きっと居るって
疑いもしないままで過ごしてきたんだ


だから
冷たく消えてく君の後ろ姿が
残響のように胸に続くよ
無意識に残した 君のための居場所が
静けさに埋もれてく 静けさに埋もれてく


「今度の春には、
少しだけ遠くまで行こうか」 
肩並べて ぱらりとめくった旅行ガイドが 
今もまだ部屋の片隅 
窓の近く 暖かそうな
陽射しが表紙を照らす午後 2 時


いつもならもっと もっと
早くから手と手をつないで
出かけてた日常さえ 今は恋しくて


だけど
あれだけ見つめた 君の素敵な笑顔
残響のように薄れてゆくよ
二人分の片方で過ごす ひとつひとつが
孤独だと叫んでる 孤独だと叫んでる



目が覚めたら全部嘘で 離れ離れなんて無くて
胸を撫で下ろすことばかり願ったまま
振り切ることができずに 
閉じたドアばかり見てる
そこには誰も もういない もういない


なのに
冷たく消えてく君の後ろ姿が 
残響のように胸に残るよ
あの日 君と夢見た 
永遠(とわ)に続く景色が 
静けさに埋もれてく 静けさに埋もれてく