今日、浪江に入った。


<海と緑にふれあうまち>

駅前の大きなたて看板。


空は曇っている、

町の雰囲気そのままに、

信号機が一人で動いている。


ブロック塀は崩れたまま道路に転がっている。

銀行の看板だけがやたら目立つ。

地銀や信用金庫が一通り揃っている。

それだけ、潤っていたのか。


屋根が崩れた家がそのままになっている。


駅を中心に90度に拡がった商店街。

さらにそれを左に曲がるとメインストリートへ、

食品店、銀行、ブティック、スナック、

こじんまりとした住みやすそうな町、

商店街を一歩はいると住宅がある。


しかし人はいない。

誰も歩いていない。


あの日慌てて逃げていった、

着の身着のまま逃げていった、


映画のシーンなら納得するが、

現実だとは思えない。


町は一人では蘇らない。

駅から人が降り、

帰りにケーキを買い、

子供たちが待つ家に帰らないと、

町にはならない。


駅から降りる一人ひとりに目指す家があり、

その家に家族がいないと町にはならない。


その一つ一つの営みが全て消え去っている。


浪江町の時は止まったままだった。