先日(2021年12月14日)車の中でFM番組を聴きながら運転をしていたら、三省堂国語辞典がこのほど改訂され、第8版として12月17日から発売されると伝えていた。

 

 新版には約3,500項目が新たに追加されるということで、「インフルエンサー」、「エコバッグ」、「ソーシャルディスタンス」、「デジタルトランスフォーメーション」などが追加されるそうだ。だが、中には「赤信号みんなで渡ればこわくない」とか「くるりんぱとかは、追加するならもっと以前でも良かったとも思えて、何故今回なのか理由が分からないものもあったりする。

 

 追加されるものがあれば、消えていく言葉もあり、その中には「ぴっち」も入っていると聞いて、「あ~そうなんだ!」って思ってしまった。言うまでもなくPHSの略語であるが、20年くらい前には日常的に使っていたが、携帯電話・スマホの普及によって、2021年1月に一般のサービスが終了したこともあり、とうとう辞書からも消えてしまった。

 

 2000年頃からは、携帯電話の普及もあったが、病院や福祉施設では、ペースメーカーや医療機器への影響があるとのことで、建物内での携帯電話の使用が禁止されていて、微弱電のPHSが長らく使用されていた。自分自身も15年くらい前にそういう職場で勤めていた時はPHSを使っていたので、サービスが終了し、国語辞典でも「ぴっち」という項目が無くなったというのは寂しさを感じる。

 

 そもそも三省堂国語辞典は、「街やマスコミなどで目や耳に入ることばとその意味を網羅しようという方針を立てているため、新しい言葉に広く目配りして収録している。衣服や料理など、庶民生活に関する項目が詳しいのも特色である。新しく発生した意味も、他の辞書にさきがけて収録している場合が多い。」(ウィキペディア)そのため、「最新の新聞や雑誌、ネットでほとんど使われなくなったもの、テレビやラジオで見聞きしなくなったものは、“死語化した”と判断して、言葉を削除している。」ということなので、わりと早く入れ替わりが行われているようだ。

 

今回も「ぴっち」以外に「コギャル」、「着メロ」、「スッチー」、「スペースシャトル」、「ハッピーマンデー」など一時期流行語にもなったものを含め約1,100項目が削除になったという。

 自分の手元には第5版があり、出版されたのが2001年3月である。実はこの時は、「スッチー」、「ハッピーマンデー」という言葉はまだ収録されていない。ということは、第6版(2008年1月発行)または第7版(2014年1月発行)から収録され、第8版で削除されたということになり、言葉の移り変わりの激しさが分かる。

 

 新しい言葉がその時代を象徴するのはもちろんだが、消えていく言葉もやはりその時代の状況を物語っている。例えば「スッチー」という言葉は、ジェンダー平等が問われる今の時代は禁句とも言えよう。

 そのように消えていった言葉も、その時代背景と共に記録としてどこかに残しておくべきではないだろうか。