飛距離が伸びるシューティングのコツ! シュートは練習方法で変わる
シュート練習は一人でも気軽にでき、バスケットボールで一番行われる個人練習だ。シュートは個人能力の中でも重要度が非常に高く、熱心に打ち込むことでバスケット選手としての向上を図ることができる。
しかし、正しい方法でシュート練習を行えているケースはそれほど多くない。バスケットボールのシューティングには、正しい段階を踏んだやり方がある。この記事の目的は効果的なシュート練習の方法をお伝えし、あなたのシュート力を明日からメキメキ上達させることだ。あなたはシュートが下手なのではなく、よいやり方で練習ができていないだけなのだ。
このやり方を実践すれば、いつもの何となくなシューティングの1時間を、またとない得点力アップのチャンスに変えることができる。コツをつかめば飛距離を伸ばすことにも自信を持てるはずだし、シュートがショートしてリングに当たらないということもなくなる。あなたが飛ばないシュートに悩むことがなくなるように、早速やり方を見ていこう。
一人でできるシューティング練習メニュー
シュート練習をする心の準備をしよう
よく体育館に入るなり、まっさきにボールをリングに向かって放つ選手を見かける。ひどい時にはバッシュをロクに履かないうちに遠くからボールを放り投げて、いつも打たないフォームでボールをリングに通し、体を温め始める。
コントロールが重視される野球のピッチャーが同じ事をやるかどうか、考えてみて欲しい。
バスケットボールのシュートは非常に繊細な感覚が必要な運動だ。そしてバスケットボールのシューティングとは、筋肉を鍛えるのではなく、その繊細な感覚を身体の神経に覚えこませる緻密な作業なのだ。間違った感覚を神経に記憶させることは避けなくてはならない。
実際の試合と同じような身体感覚でシュート練習することが大切だ。必ずウォームアップとストレッチを行い、可能ならフットワークなども実施して、身体に実際の試合前と同程度の負荷をかけてから行おう。
ボールハンドリングを確認しよう
ボールについて間違ったアプローチをしてしまうと、シュート自体も狂ってしまう。シューティング前には自分のボールハンドリングを確認し、ボールに対して自由に扱える感覚を取り戻すこと。
シュートとは「キャッチングの動作+ボールを保持しながら上に持ち上げる動作+リリース」という手順で行われる。それぞれでのシーンで適切にボールを扱えない、例えばボールを手の平に密着させてしまったり、指を広げきってなかったりすると、シュートは正確なものにはならない。
まずはボールハンドリングを確認し、ボールと自分の身体の感覚を合わせよう。
距離は近くから、そしてフリースローラインまで遠ざかる
どんなときもゴール下のシュートから練習を始めよう。10本ほど打ったら、1歩後退してまた10本打つ。これを繰り返してリングから遠ざかっていく。角度は打つ度に変えても構わないが、決して焦らないようにじっくりと、自分のボールがどのように飛ぶかをイメージしながら打つこと。
ここでのシュートにジャンプシュートはオススメしない。はじめのうちは大きな力などいらないはずだ。脱力して正確に打てるだろう。そのうち遠くなってくると、身体の感覚が難しくなる。ミスショットが増えるが、修正できる範囲内だ。自分のフォームをしっかりと意識して打とう。
距離がフリースローラインまで行ったら一時ストップし、そこからフリースローの練習に入る。なぜならフリースローの練習ほど、自分のフォームを確認するのに適したものはないからだ。近すぎず遠すぎず、過剰な力みも脱力もなしのこの距離は、試合でも勝敗を重要なポイントになる、練習する価値の高い場所なのだ。
フリースローラインからのシュートが、日々行われるシュート練習の感覚の指標になる。いつも打っているはずのフリースローが落ちたり、違う感覚を持ってしまうとしたら、いつものシュートフォームに異変が起きているか、身体に大きな感覚的変化が起こっているサインだ。そしてその修正を目的にシュート練習に励むことで、あなたのシュートフォームはより確固たるものになり、シューティングの効率は高まる。
自分のフォームは必ず作ること。自分のフォームが固まらないうちにシューティングを繰り返すのは、リングまでの距離感覚は鍛えられるかもしれないが、ベストな身体の動きを神経系に覚えさせるという目的にとって無意味なものになってしまう。フォームが固まることでコンディションや問題点が把握できるようになり、修正に役立つ。
飛距離の限界を知ろう
フリースローラインから、自分のフォームと感覚に納得できるほどシュートをしたら、次のステップに移ろう。先ほどと同じように、そのまま一歩ずつ後退を繰り返していき、10本ずつのシュートを放つ。本数は目安なので、もっと時間をかけたいのならこれより多くても構わない。
あるポイントまでくると、自分のシュートが力みを帯びてくることに気がつくだろう。フリースローとは明らかに違うフォームで打つ必要が生じる、ギリギリ手前の距離で止まること。ここが自分の最大距離だ。ここから先のシューティングには、自分でフォームを崩してしまう危機感を持たなければならない。
あなたは最大飛距離がこんなにも短いのかと驚くかもしれない。ほんの少し無理をすればリングに届くと思うだろうし、実際に届くだろう。しかし、それは間違った動作を筋肉に覚えさせる作業なのだ。それがあなたのフォームを崩し、シューティングの時間を実りのないものにし、間違った動きを覚えてしまうリスクを伴ったものであるかぎり、その距離より外でシュート練習をしてはいけない。
無理やり身体をくの字に曲げて打てば、そこからでも十分届くだろう。しかしマイケル・ジョーダンも言うように、間違ったフォームで練習を繰り返しても、間違ったフォームで打つ名人にしかなれない。しっかりとしたトレーニングを積んで、効率的なよいフォームで放てば、3Pラインであろうと力む必要なくシュートは必ず届く。飛距離が短いということは、シュート技術の不確かさを示すサインなのだ。
あなたがするべきなのは、本来届かない距離から力んだシュートを繰り返して一喜一憂することではなく、正しく効率のいいシュートフォームを自分のものにすることだ。この最大飛距離は記録して覚えておくこと。この距離が伸びていくことで自分の肉体的・技術的成長を確認することができる。それはシュート練習にとって大切なモチベーション要素となるはずだ。
10日に一度、シューティングの中で、最大飛距離ギリギリの地点を少し遠ざけられるかチェックしよう。焦りは禁物なので、毎日やってはいけない。
ボールを迎えにいく打ち方の練習をする
現時点での最大飛距離が把握できたら、その範囲内で自由にシュート練習を行う。実践に即した形で行おう。ジャンプシュートを打ってもかまわない。
もっとも大事な点は、ボールを迎えにいってから打つことだ。多くの選手はボールに、逆回転をかけて投げ、自分の胸元にボールが寄って来るようにしてからシュートを練習する。これは試合中では絶対に起こらないシュートのシチュエーションだ。
味方からのパスは自分の胸元にピンポイントでほとんど来ないし、ドリブルからのシュートならなおさらだ。試合ではボールの行方に対して自分の身体を合わせるしかない。ボールが自分に合わせてくれるシュートを練習しても意味が無い。
よほど間抜けなディフェンスがついていない限り、パスはあなたの胸元ではなく、あなたの近くの空いているスペースに向かって、あなたのよいキャッチを期待して飛ばされる。はっきりした格下ならともかく、自分たちが勝ちたいと願うようなチーム相手では、ボールはプレッシャーにさらされ、100%コントロールされることはない。
だから前後左右にボールを投げ、それを自分で追いかけるような形でキャッチしてからシュートを打とう。スムーズに、かつシュートフォームを崩さないように。例えそれがゴール下でもだ。パスは胸元に来てくれない。ゴールの下のシュートであっても、ボールに身体を合わせる状況を作ってから打つように。
自分が課題とするシチュエーションをイメージして、そのシチュエーションに合わせた打ち方をすること。ハイポストからのシュートでも、逆サイドから走りこんでのシュートでも、スクリーンカットからのシュートでもいいが、大切なのは必ずボールを迎えにいくこと。ミートすること。試合と同じようなスピードで動くこと。自分を甘やかすような、ボールを楽に制御できるようなやり方で行なってはならない。
このやり方でシュート時にボディバランスを保つためには、強い足腰と体幹が必要だ。普段は正しく打てるのに、このやり方で打てないのなら、やるべきなのはシューティングではなく、強い足腰と体幹を作ることだ。実際の試合で打つシュートに必要なことを練習しなくてはならない。
ボールを試合中のスピードで迎えにいって、フォームを崩さずボディバランスを保って打てるのならば、このやり方で自分の課題となる状況を納得いくまで繰り返すといい。それができないのならば、まずは強い足腰を作る決意をすること。繰り返しになるが、間違ったフォームを肉体に覚えさせるような練習なら、やらない方がマシなのだ。
飛距離をのばすために
こう聞くと、正しく打てる短い距離でしかシュート練習しないことはもどかしいだろう。早く長い距離のシュートをマスターしたいと思う。しかし焦ることはない。あなたのシュートの飛距離は日々の練習で確実に伸びる。
2つの方法の内1つは、フォームを改善することだ。全身の筋肉が連動する正しいフォームを身につければ、シュートの飛距離は簡単に伸びてくれる。
ある程度フォームがよくなった後でも、もう1つの要素である身体能力の向上が飛距離の伸びを助けてくれる。足、腰、体幹、肩、腕、手首。あらゆる筋肉が強くなることで、飛距離も伸びる。
日々の練習を一生懸命やるだけでも、飛距離は伸びるものなのだ。シューティングだけでも筋肉は鍛えられるし、個別のトレーニングでも効果は期待できる。トレーニングの参考記事を載せておこう。
大事なのは焦らず、最大飛距離内でシューティングするという原則を守ることだ。3Pシュートなど、遠距離から届かないことを不満に思って余計な力を使ってシュートを打つのは、神経を鍛える意味でもよくないし、足腰の強化やフォームの改善が必要だという事実を、自分の目から隠してしまう。
練習のまとめに
シュート練習はできる限り毎日やろう。あなたの身体は日々の練習で強くもなるし、かと思えば疲労で弱くもなる。部分部分の筋肉の強さや疲れも日によって違う。これはバスケット選手にとって当たり前のことだ。いちいち気にしていたら何の練習もできなくなる。
だからシュート練習は日々行い、フォームと感覚の修正をいつもできるように慣れておこう。そうすればどんなコンディションの時でも、大事な試合の直前でも、ロングシュートであろうとミドルレンジであろうと、正しいフォームと感覚を取り戻せるようになるはずだ。
まとめとして、以下の3点を心に留めておいて欲しい。
1.毎日、最大飛距離内で正しいフォームで打つ
2.試合と同じような状況でボールを迎えにいく
3.焦らずに、正しいやり方で飛距離を伸ばす
よいシューティングはよい結果を生む
いかがだったろうか。ご想像の通り、この練習は時間がそれなりにかかり、ある種ハードなものになる。気軽にできて楽しい個人練習というイメージであるシューティングとは少し違うかもしれず、その点で初心者にはオススメしない。初めはバスケットを試行錯誤の中で楽しんで欲しいし、そうするべきだ。
しかし一度勝利への情熱やチームプレーヤーとしての自覚に目覚めたのなら、ぜひこの方法を採用して欲しい。間違いなくあなたの強力な武器になる。誰にとってもどの方法でも、バスケットボールという競技が好きな限り、シュート練習は楽しいものだと信じている。