少年の姿に成長した
夏の妖精は
その夏
ずっと
羽を置いて
私の部屋ですごしました
家族は
新しい人形と疑いません
人に遅れを取る 不安を
投げ捨てるように
ペンを置き
その夏は
子どもの頃のように
一日中 妖精と
語り明かしたのです
すると
忘れていた
夏の思い出が
たくさん よみがえってきました
よく かくれんぼした
背丈ほどある とうもろこし 畑
いとこたちと きそった
畑のすいかわり
ジュズダマをとって
作った くびかざり
カブトムシを取るために
しかけたゼリー
つかまえては
すぐに逃してやった せみとり
いつも 玄関に 立てかけてあった
虫取りあみ…
あの頃の
はじけるような楽しさが
よみがえってきた
特別な8月
そして
…8月が 終わりに近づいた
ある朝
夏の妖精は
白い羽をつけて
私のまくらもとに
座っていたのです
「そろそろ
帰らなきゃいけない」…
明日 最終回…



