雑食系のフェルミ推定力~お金の重みがわかるか? | mitemoのブログ

身銭を切るとお金の重みがわかるといいます。
それはさておくとして、おカネの重みを物理的な量で考えてみましょう。
宝くじで3億円当ったらどうするか?というのはよくありますが、以下は奇問です。
試されるのは、いわゆる“フェルミ推定力”です。
(注:“フェルミ推定力”とは、「アメリカのシカゴには何人(なんにん)のピアノの調律師がいるか?」など、正確な値を得ることや実際に調査することが困難な数量を、わずかな情報や値を元に論理的な推論を進め、短時間で定量的な概算をすること。)

おそらく、どこの銀行でもこのような就職試験問題は出さないと考えます。


■一万円札で3億円を運ぶことができるか?

私が社会人になった頃、サラリーマンの生涯賃金は3億円だと言われていました。
銀行員でいやというほどおカネを見ていましたので、3億円というと、今でも、その重みは実感できます。
一万円札1枚で約1グラム。
したがって、3億円は約30,000グラム,すなわち30キログラムとなります。
ゴールデン・レトリーバーの成犬を抱けましたら大丈夫ですね。

もっとも、お札の厚みも無視できません。
100万円で約1センチの厚さになりますから、3億円分積み上げると約3メートルの高さになります。
100万円の束を小束(こたば)、小束を10個束ねたものを大束といいます。
これで10センチです。
銀行で一般的に使用する現金輸送用ジュラミンケース1個に大束15個はいりますので、2ケースにおさまります。
大の大人ならジュラミンケース2ケースを両手で持つことができます。


■百円硬貨で3億円を運ぶことができるか?

さて、百円硬貨で3億円となると、どうでしょうか?
百円硬貨は1枚4.8グラムです。
計算すると、14,400キログラム=14.4トンです。
大型トラックが必要です。

通常、硬貨袋に硬貨を入れて持ち運ぶことになります。
銀行の硬貨袋1つには4000個の硬貨を入れることができます。
となると、百円硬貨袋1個で19.2キログラム。
全部で750個の硬貨袋につめることになります。
トラックに運搬する時間が相当なものになるでしょう。
応援を呼ぶ必要があります。


■1円硬貨で3億円を運ぶことができるか?

それでは、1円硬貨で3億円となると、どうでしょうか?
1円硬貨は1枚1グラムです。
塵も積もれば山となります。300トンです。
1円硬貨の麻袋は5000円で1個ですので、6万個です。
気が遠くなる量で、お手上げです。

実は、1円硬貨の製造コストは額面以上で1枚あたり13円赤字だと言われています。
ということは、1円硬貨を新たに3億円製造するとなると、39億円の国家財政の赤字になることになります。
この点から、1円硬貨で3億円を集めるというのは回避するのが国民としての努めです。

もっとも、補助硬貨の法的な使用可能な限度枚数は20枚です。
断られても文句は言えません。


以上、押さえるべきところはきちんと押さえて、いざというときに頼もしいのが”雑食系”のフェルミ推定力です。