人間はある面でいいかげんです。
考えていることと行動とがずれていることがあります。
■選挙にみる意識と行動の乖離
「選挙に行きますか?」と正面だって質問されますと大半の人は「行きます」と回答します。
しかし、実際、投票率に現れる数字とは相当ズレがあります。
世間を気にして、選挙は行くべきだというタテマエを回答することが多いと思われます。あるいは、選挙に行きませんとはいいにくいのかもしれません。
考えていることと実際の行動とが違う代表例です。
■勘定よりも感情に左右される
それでは、次の質問に対して、それぞれ、どちらを選びますか?
【質問1】
1.8万円のギフトカードがもらえる
2.10万円のギフトカードは85%の確率でもらえる(15%の確率でもらえないことがある)
【質問2】
3.罰金8万円を支払う
4.罰金を10万円支払うが、場合によっては15%の確率で払わなくてもよい可能性がある(85%の確率で支払わなければならない)
合理的に考えれば、【質問1】では、それぞれ期待値は、8万円、8.5万円となります。
2の方が利益を得るチャンスが大きいはずです。
【質問2】では、計算上、それぞれ、8万円、8.5万円の損失です。
3の方が損失を被る機会が少ないはずです。
ところが、多くの人は、1と4を選びます。
得をするときには確実に、損をするときは何とか損を逃れたいという感情に左右される傾向があるということです。
これは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱した行動経済学の例として有名です。
すべてとは言いませんが、結局、人間は勘定よりも感情に左右されるのでしょうか?
■キャッシュカードにみる非合理性
あまり世の中に知られていませんが、キャッシュカードの引き出しの例にみる面白い現象をご紹介しましょう。
他行のATMが大通りのこちら側にあり、取引銀行のATMが大通りをはさんで向こう側にある場合、
横断歩道を渡って取引銀行のATMでお金をおろすかという問題です。
アンケート調査を行うと大半の人は取引銀行のATMで引き出します。
横断歩道を渡れば手数料100円を払う必要がないから当然のような感じがします。
もちろん、何かの理由で急いでいるとかという場合が例外的にあるかもしれません。
ところが、実際の行動レベルでみると、3割くらいの人がこちら側にある他行のATMでお金をおろします。
いかがでしょうか?
人間はある面で、非合理的です。
いずれにしろ、このような人間が持つ非合理な感情を知っているかどうかが重要です。
以上、押さえるべきところはきちんと押さえて、いざというときに頼もしいのが”雑食系”の行動面の読み方です。