20キロを過ぎてくると、いつもの足腰の痛みも出てきて、練習ならやめているところ。
ポールを使って、痛みが出やすい右側をかばいながら進みます。
道中の被害を目の当たりにして息を呑みます
これまで練習していなかった身体はすでに痛い。でもまだあんまりトレイルも走ってない。
痛いけど物足りない。
最初のエイドでやめようと思っていたけれど、せっかくここまで来たのだから、もう少しトレイルを走りたい。
どうしよう。
ぐるぐると考えながら、3人でおしゃべりするうち、エイドに到着。
34キロ地点、A4屋形多目的施設
16時42分。ここまで6時間12分。
制限時間が1時間延長され、7時間30分になったので、補給をゆっくりとる余裕がありました。
そこに、わあ!っと歓声が上がりました。
球磨川コース(172キロ)トップの川崎選手が入ってきました。速い!
私の方は温かい鳥汁を堪能し、小さい三角おにぎりの炊き込みご飯とだし巻き卵、栗饅頭をいただきながらも、まだ悩む。
一応、ドロップバッグにこの先の装備や食糧も入れておいたから、先に進むことはできる。
でも、このエイドを過ぎてリタイヤすると、時間的に実家(熊本市内)まで帰る電車はなくなってしまう。
もしもの時のために、新八代駅前のホテルも押さえてはいるけれど…
考えながら荷物を入れ替え、カイロを貼り直して、ライトも準備オッケー。
山の中で痛みで動けなくなることだけが心配。
でも後で「やっぱり行けば良かった」と後悔はしたくない。
30分くらい休憩して、一緒に走ってきた友達に「行く」と宣言し、いちかばちか、痛み止めを飲んでスタート。
「先に行ってね」と友達に言うけれど、一緒に行くと言ってくれます。
でも、このエイドを出たことを、後で激しく後悔することになります。
痛み止めが効いて身体が楽になってきました。
次の水エイドまでは林道だし、大丈夫そう。
その後はトレイルだけど、距離が短いから行けるのでは?
次の水エイドは47キロ地点のW6白岩山。
13キロの間に累積標高1300mくらい登ります。
途中で日が暮れ、夜間走に突入していました。
ストックを使い、ペースを落とさないようにしながら、20時04分に到着。ここまで9時間34分。
気温が下がり、吐く息が真っ白です。
じっとしていると本当に寒い。
エイドでグローブを外すと、手がかじかんで、走り出してもなかなか温まりません。
この辺りから、この先のペース配分を意識し始めました。
最後のロード区間はきっとそんなに走れない。
歩きも入れることを考えると、その前の関門は1時間くらい余裕がほしい。
そこから逆算していくと、各関門をギリギリ通過していては間に合わない!
そんなことを話しながら、白岩山の水エイドから10キロ先のエイドを目指します。
この区間では国見山という山を越えますが、このトレイルがなかなか険しく、距離は短いのに時間がかかりました。
この日のために整備されたのだろうと思われるコース。急な斜面に鹿よけネットが張り巡らされていました。山に入ると俄然強さを発揮するKさんの後を追いかけ、なんとか攻略。
やっとのことで57キロ地点の、A5坂本山江線境界エイドに到着。
23時12分。ここまで12時間42分です。
関門は14時間なので、1時間以上余裕があります。
寒くてお腹がキリキリと痛くなり、調子が悪くなくなりそうな気配です。
ダメもとで、空港の薬局で勧められた漢方薬(胃苓湯)を飲んでみると(なんと初めて試す薬!)痛みがなくなりました。
ホッとして温かいうどんと栗ご飯をいただきながら、ボランティアスタッフの方とおしゃべりする余裕もありました。
コース整備もされたとおっしゃる、地元のトレランチーム、チームドラゴンの方でした。
鹿よけネットを張ったり、パタゴニアの支援を受けてボランティア活動をしていること、福岡のパタゴニア新店舗でその活動の紹介をされる予定なのだとお話しされていました。
よくこのコースを作られましたね!と伝えると、「それを見てほしかったんですよ!」と熱く語ってくださいました。
食べているうどんがどんどん冷たくなり、ストーブに当たっていても寒いので、早々に先へ進むことにします。
2回目の痛み止めを飲んで出発。
次の水エイドには、学生時代の先輩のお友達(チームドラゴンの方)がいらっしゃると聞き、そこまでは行かなくては!お話ししなくては!と、ここではリタイヤのことは頭をよぎりませんでした。
でも、走り出すと、寒いのと疲れと眠さで、もう登りも下りもスピードが出ません。
私があまりにも走れないので、たぶん一緒に進んでいる2人は徐々に焦り始めていて、だんだん口数が減ってきました。
1時21分。ここまで14時間51分
64キロ地点の水エイド、W7三坂林道に到着。
焚き火がありがたい!
前のエイドから7キロで2時間かかってしまい、顔は笑ってるけど、気持ちは焦ってます。
ここでもボランティアスタッフの方とおしゃべり。先輩のお友達の女性にもお会いでき、お話しできました!
次のエイドまでは下りと川沿いの道ですよー、と言われて、やった!と思っていましたが。
長ーい下りに前ももが終わりそう。
舗装道路が大きくえぐれるように崩れているところや、この日のために作られたであろう、石積みの道などを下ります。
明るい時間だったらもっと怖かったかもしれない。
川沿いの道に出ると、スタッフの方が「ちくわ食べませんか?」と開けたばかりの袋を差し出してくださいました。
日奈久ちくわだー!
大きくて食べ応えがあります。
お腹が空いていたし、口の中がジェルで甘かったので、塩気のあるちくわがとっても美味しく感じました。
感謝!
ここからのロードが地味に長くて、、
足の裏がめっちゃ痛くて、たぶん爪も潰れてしまってる。
関門も迫り、焦るけど全然走り続けられません。
ロードとペース担当のMさんの焦りが伝わってきます。
後から聞いたら、この時私には何も言わなかったMさんが、Kさんには辛い気持ちをぶつけていた様子。すみません(^^;)
私に合わせてくれる2人に申し訳ない。
次のエイドでやめよう。
いや、ここまできて止めるのはもったいない。
またぐるぐるしながら、やっとのことで
75キロ地点、A6田上社会教育センターに到着。
前の水エイドから11キロの下りとロードに、2時間もかかっていました。
3時29分。16時間59分。
まずい。貯金がなくなってきました。
焦って、美味しそうなポトフもスープとソーセージだけ。カレーもいちごも晩白柚も、他のものを食べる気持ちの余裕がありませんでした。
痛み止めは前回から効いてない感じでしたが、もう一回飲んでスタート。
つづく。






