★★★★★★★★★★
1995年 104min.
ネタバレ しておきましょう。
敬称略
監督 ジョー・ジョンストン
製作総指揮 テッド・フィールド、ラリー・J・フランコ
製作 スコット・クリーフ、ウィリアム。タイトラー
脚本 ジョナサン・ヘンズリー、グレッグ・テイラー
音楽 ジェイムズ・ホーナー
アラン:ロビン・ウィリアムズ
サミュエル(お父さん):ジョナサン・ハイド
ヴァン・ペルト:ジョナサン・ハイド
ジュディ:キルスティン・ダンスト
ピーター:ブラッドリー・ピアース
サラ:ボニー・ハント
ノラおばさん:ビビ・ニューワース
カール:デイヴィッド・アラン・グリア
キャロル・アン:パトリシア・クラークソン
アラン(子役):アダム・ハン・バード
サラ(子役):ローラ・ベル・バンディ
う~ん、ロビン・ウィリアムズの、っていうといつも悲しくなるんですよね。パーキンソン病であるという理由はもちろん相当なストレスだったのでしょうし、自分の将来に大きな影を落としたのだろうとは思います。でも同じ病気でがんばってるマイケル・J・フォックスもいるわけですしね、どうしてそこで自死を選んでしまったのか、悲しくて悲しくてなりません。なにかそこでだれか救いの手を差し出せなかったのか、あるいは本人が救いを求めなかったのか。「もったいない」という言葉では片づけられないほどの損失だと思うし、だから悲しくてしかたないです。
もちろん無いものねだりをしても仕方ないわけですし、こうして彼の足跡はしっかりとたどることもできるのですから、その足跡をこうしてたくさん観返して彼の功績をたたえることが、残されたわれわれができる最大の供養と思うほかないのでしょうね。彼の素晴らしい演技をもう二度と新しい映画で観ることができないのは悔しくてしかたないですけどね。
さて、で。
監督はジョー・ジョンストン。知る人ぞ知る、特撮マンですね。「スター・ウォーズ」がデビューですから、まあ名前を知らない人はいないでしょう。監督としても評価は高く、「ミクロキッズ」「ジュラシック・パークⅢ」「ウルフマン」なんかを撮ってますからね、期待は満載なわけです。
↑まずはこうして主人公のアランがイジメられます。
小学校時代にイジメられていたわたしとしては顔をしかめるところなのですけれども、ただ本作ではそれが主流ではないです。こうしたことを乗り越えて男として成長していく様を描く、という感じですから、これ以上のイヤなことは起こらないのがミソです。でもだからお父さんは厳格でしてね、助けを求める息子に対して「困難には立ち向かえ」と突き放しますよ。わたし、父親とはずっと仲が悪かった、ていうか一方的にわたしが父を嫌ってましたから、これもまた主人公に共感できるのです。まあ、いじめられてる子に対して「立ち向かえ」は一番キツイですけどね。いやまあ、こんな血だらけにされちゃイジメいうよりは傷害事件ではありますが……。
えと、「ジュマンジ」ていうのはボードゲームです。まあ「すごろく」ですね。さいころ二つふって出た目の数だけマスを進み、止まったところに書いてあるとおりのことが現実に起こる、とまあそんなヤツです。
でもそんなヤツだからこそとんでもない事件が巻き起こるわけで、その昔(1869年)には、こんなもので遊んだらタイへンなことになるとでもいうかのごとく地中に埋められていたわけですが、それを1969年になって主人公のアランがふとしたことで掘り出してしまい、またそこでトンデモな事態が発生する、ということになります。
↑埋めてもこうやって見つかってしまうわけですよ。
山中に死体を埋めてもけっきょく掘り返されて見つかってしまう、ってのと同じことですね。違いますね。
↑ジュマンジ、ですよ。わかりやすいですね。
さて、というわけでさあこれからどうなるか、ってことですよ。なんかもうわたしすっかり入りこんじゃってます。
↑そしたらアランくん、ゲームの向こうの世界に飲み込まれました。
この映像はさすがのジョー・ジョンストン、ということでしょうかね。
止まったマスに書いてあったのが、だれかが5か8を出すまでジャングルで待機、ということでこんなことになりました。観ているこちらは、してやったりです。どんどん楽しみが膨らみます。
で、26年後の現代(1995年)になった、というわけです。時空も超えてますね。観ているこちらはこうしてゲームの世界と映画の世界に引き込まれていくわけです。
↑現代の主役はこちらの二人です。
お姉ちゃんのジュディ(キルスティン・ダンスト)と弟のピーター(ブラッドリー・ピアース)。両親を亡くしておばさんに引き取られけなげに、ってシチュエーションが、もうなんか子を持つ親として先の展開をいろいろ考えてしまいますよ。願望的に、ですけどね。最終的にはゲームの力で両親は亡くなってないことになって、幸せな日々を取り戻す、的な。時空を超える話ならなんとか、っても思うじゃないですか。だからやっぱり観ていてのめり込んじゃうんでしょうね。作る側の術中にハマっているわけですが、でも嫌悪感はなく逆に心地よさすら感じます。
↑キルスティン・ダンスト。
↑ブラッドリー・ピアース。
二人ともめちゃめちゃかわいいですね。今じゃすっかりいいおばはんといいおっちゃんですけど、わたしこれほどかわいい子役、他にはいないと思うくらいかわいかったですね。
もちろんこの二人がジュマンジを手に入れて、ゲームに参加、トンデモな大事件が起こる、というわけで、
↑サルだらけになるわけです。部屋もぐちゃぐちゃに散らかされて。
わたしこういうシーン、映画とはいえいつも思うんですけど、後片付けタイヘンでしょうね。余計な心配ですけど、でもそう思っちゃいます。
それにしても題材がいいですよね。すごろくですよ。でもみんな好きじゃないですか、人生ゲームとか億万長者ゲームとか。大人も子供も楽しめる。そもそも本作では、止まったマスに書かれていることにいいことが書いてあるわけがないわけで、そりゃこちらも「次は何?」「次は何?」ってなるじゃないですか。しっかりと子供心をくすぐられるわけですよ。
↑そんでこれですわ。
そりゃおもろいでしょう。なんて言ってたら
↑われらがロビン・ウィリアムズ出てきました。
もっとおもろくなってきましたよ。だれや、これ、って。まだここの時点ではロビン・ウィリアムズがだれなのかはわかってませんからね。まあわかりますけど。だからでしょうか、正体はすぐ明かされましたよ。もちろん1969年に森に閉じ込められてしまったアランが、1995年に姉弟がさいこサイコロで5を出したことによって26年後の世界に戻ってきた、というわけです。余計な焦らしがなくってほんとに観やすいです。本質はそういうこと(余計な焦らし)じゃないから、てことでこちらも安心して観ていられる、ということです。
↑お姉ちゃん、瞬時にすべてを悟ります。
なんか泣けました。やっぱりね、これがエンターテインメント、ってやつなんですよ。いい映画やなあ、って。
↑いろいろとごまかして警察に説明してます。
頭の回転が速く機転がきいて、でもムリは一切なくなおかつかわいい。すばらしいですね。
↑ロビン・ウィリアムズは家を飛び出して町をひとりで歩きます。
子どもの心のままの見た目おっちゃん。「見た目は大人、頭脳は子ども」ですね。まあそういう役はロビン・ウィリアムズしかできないでしょうね。「ハモンド家の秘密」ではダドリー・ムーアが、「ビッグ」ではトム・ハンクスが似たような役をやりましたけど、やっぱりそれらをはるかに超えてますね。ほんと素晴らしい俳優ですよ。
ところで、ここでアランことロビン・ウィリアムズが、自分がいなくなってからの1969年当時のことを知ることになります。
お父さんが経営していた靴工場は、息子の行方を捜すために全財産をつぎ込んでしまったため倒産した、と。あの厳格で、ともすれば息子からしてみれば憎まれているんじゃないかとさえ思った父親が、じつは深く息子を愛していたということがわかった、というシチュエーション。そしてそれを26年後に知ることになった息子の心情。すべてに心動かされます。
さらには。
ゲームによって現実世界に放たれた動物や虫が、騒動を巻き起こすのは当たり前っちゃ当たり前ですけれども、それもこの映画を際立たせる一因になっていて、ここまでされておもしろくないわけがありませんね。緊迫感の中にコメディ要素がふんだんに散りばめられていて、あっという間に時間が過ぎていきます。
↑ロビン・ウィリアムズ、りりしくなりました。
ひげ剃りは初めて、だそうです。そらそうでしょう。
そんな大人子どもをしり目に、現代の子供たち(姉弟)のほうが一枚も二枚も上手ってのもおもしろいですし。
そして、
↑26年の時を経て、アランとサラが再会します。
サラは、1969年にアランと一緒にゲームをしていた近所に住む女の子。アランが突然いなくなって、アランは父親に殺されたのだという風評が広まり、サラもそれに加担したのだと疑われ、ツライ思いをしてきたそうです。それがこうして再会です。感動すらしますね。
もうね、そうした出演者陣の熱演が最高なわけですよ。
↑サラとアラン、
↑キルスティン・ダンスト、
↑ブラッドリー・ピアース。
みんな表情が完璧ですよ。
↑こんなして「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」も出てきて、
次から次へと楽しませてくれるわけです。
話だってよくできてますよ。26年間ヒドい目にあってきた二人と、いま現実にヒドい目にあってる2人がいて、昔の二人はそのヒドイことを回避しようとゲームから逃げようとしているのに、現代の二人は、怖いからゲームを早く終わらせようと言っている。どうみても後者が正解なわけで、大人に見えるけど子供の二人よりほんとの子供の方がしっかりしているっていう対比なんて、なかなか考えつきませんよ。いいじゃんいいじゃん、てなります。
あ、ちなみにこのゲームでゴールしたら「ジュマンジ!」と叫んで終了、となるそうですよ。
さあそして、
↑ヴァン・ペルト(ジョナサン・ハイド)。
26年間ずっとアランを追いかけ続けている殺し屋ですが、じつはこの役、アランのお父さん役の人が一人二役でやってます。言われるまで気づきませんでした。要するに、現実でもゲームの世界でも、アランが乗り越えなくちゃならない存在、ということですね。よくできてます。
もちろん、われらがロビン・ウィリアムズも体を張っての熱演、いつも通りの一所懸命さは変わりません。
↑川に落ちるゲーム(ジュマンジ)を取ろうとして手を伸ばすもギリで届かない、なんてのはなかなかに難しい演技だと思いますよ。絶妙です。
↑おさるのジョージがいっぱいいました。
そういうサービスも忘れてません。こちらが忘れたころに出てきますから、演出も絶妙、なわけです。
ちなみにピーター(ブラッドリー・ピアース)、ゲームでズルしたので、
↑おさるのピーターになりました。
やっぱりなにしててもサービス精神は忘れてないのです。
↑有名な見せ場のシーンは大迫力。
何度もCMで観たやつです。映画館で観たときはすごい音でしたよ。
↑ボニー・ハントはずっとかわいかったです。
「ベートーベン」を思い出しましたね。チャーミングのかたまりです。
↑ロビン・ウィリアムズが26年前の父親と同じことをブラッドリー・ピアースに言ってます。
自分が言われてイヤだったのに、26年経ってまがりなりにも大人になって、気がついたら父親と同じなってしまっていて、それにすぐに気づいて謝罪する、その一連の流れの表情は、ロビン・ウィリアムズの真骨頂ともいえるべき、素晴らしいシーンでした。秀逸です。
そうかと思うと、
↑流されるところなんかは爆笑案件ですし、
↑ここはもうサイコーとしか言いようがありません。
なんかね、ほんと心から温かくなるっていうか、癒されるというか、なにからなにまで素晴らしいんですよ、この映画。
↑キスしようとして、
↑ロビン・ウィリアムズはとうぜんその意味が分からずスルーして、
↑ボニー・ハントは“My mistake.”って反省して、
↑それを見ているキルスティン・ダンスト。
もうね、あーみんな大好きやーっ、てなりました。
ちなみに、
↑ブラッドリー・ピアースはこんな感じです。さらにおサルになってます。なんならもうほぼジョージです。
そしてラスト、アランが一皮むける大切なシーンは、
↑銃を構えるジョナサン・ハイドが「最後にいう言葉はないか!」、
↑それを受けてロビン・ウィリアムズが
「ジュマンジ!」
最高やん、て。そして、すべてが元に戻ります。
↑アランとアランのお父さん。
お父さんは既出のジョナサン・ハイド。言われなければヴァン・ペルトと同一人物が演技しているとは気づかないかと思いますね。そして、
↑アラン、
↑お父さん。
この二人の顔がすべてを物語っていますよね。ああ、乗り越えられたんだ、って。泣けるわ~、て感じです。ほんと、たまりませんよ、この映画。
ラストのラストでの再会はもう号泣もんでした。再会の仕方、イキですね~。
★10個どころか1000個くらいあげたいくらいでした。
今日の一言
「現実も映画も、時の流れにはかないませんね」