★★★★★★★★★★

1973年 129min.

ネタバレ みなさんもうご存じかとは思いますが……

敬称略

 

 

 監督 ジョージ・ロイ・ヒル

 製作 リチャード・D・ザナック ほか

 脚本 デイヴィッド・S・ウォード

 音楽 スコット・ジョプリン、マーヴィン・ハムリッシュ

 

 ヘンリー・ゴンドーフ:ポール・ニューマン

 ジョニー・フッカー:ロバート・レッドフォード

 ドイル:ロバート・ショウ

 スナイダー:チャールズ・ダーニング

 キッド・ツイスト:ハロルド・グールド

 J.J.:レイ・ウォルストン

 エディ:ジョン・ヘフマン

 ビリー:アイリーン・ブレナン

 エリー・キッド:ジャック・キーホー

 ルーサー:ロバート・アール・ジョーンズ

 ロレッタ:ティミトラ・アーリス

 

 

 えと、今さらですけど、名作中の名作ですね。

 

 アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、編曲・歌曲賞の7部門で受賞。ロバート・レッドフォードが助演男優賞でノミネート、撮影賞と録音賞もノミネートされたという、珠玉の名作というやつです。

 

 ここにポール・ニューマンの名前がないのが、この時期は低迷期でけっこう嫌われていた(イミわかんないですけどね)ってのがよくわかる事実ではあります。

 

 わたしも、この映画を初めて観たときはもうこの最後のシーンの衝撃ったらなかったです。なんか身体じゅう鳥肌が立ってしばらく動けなかったのを覚えてますね。

 

 ただザンネンなのは、2回目の鑑賞以降はどうやってもそのときの衝撃を再度味わうのがムリだ、ってこと。こればっかりはもうどうしようもないことですけど、やっぱりツライところではあります。

 

 それでもこうして何度も観返したくなるのは、やはり名作だということなのですね。

 

↑オープニングです。

 

 オープニングはもう代名詞ですね。曲がいいんですよ、曲が。ディズニーでも流れてますし、親しみのある名曲ですよね。

 

 で、オープニングのクレジット見ると、当たり前なんですけど、懐かしい名前が続々と出てきますね。豪華俳優陣、というところです。

 

 あ、ところで、

 

↑この後ろの壁に寄りかかってる人!

 

 これ体勢としてはそうとうツライのではないかと思ってしまいました。ま、本編とはなんもカンケーないですけど。

 

 えと、わたしに限らず多くの人は、いいなと思う映画は何度も観られることと思います。ただこれ、だからっていってじゃあ細部までこと細かに覚えているのかっていったらそうでもないですよね。細かいところはやっぱり忘れてしまっているもんですよ。でもだからこそこうして何度観てもおもしろいわけです。オープニングのレッドフォード登場のとこなんか、知ってるはずなのにやっぱり細かくは忘れているから、ワクワクしてしまいますからね。これだから映画はやめられないのです。

 

↑右、ロバート・ショウさんです。

 

 悪役が板についてますね。「ジョーズ」でもそうでしたけど、これがまたカッコいいのです。

 

↑ロバート・アール・ジョーンズも出てます。

 

 声も顔も、息子のジェイムズ・アール・ジョーンズにそっくりですね。あまりにそっくりでわたし、笑ってしまいましたよ。

 

↑チャールズ・ダーニング。

 

 悪徳警官、て設定です。いいですよねえ。絶妙な配役ですよ。ワクワクしかありません。

 

 でも、です。

 

↑パパ・アール・ジョーンズ、殺られます。

 

 腕利きの詐欺師による痛快な復讐劇で、もちろん最後はスカッとするのですけれども、伏線とかはけっこう重かったりもするのですね。観る方も、単に「観る」だけではいかんのですよ。心構えが必要なわけです。

 

↑街の映像。

 

 そうかと思うと、こんなデ・パルマみたいなシーンも出てきます。エンターテインメントに徹してるな、と身が引き締まる思いです。

 

↑ポール・ニューマン。

 

 開始25分を過ぎてようやくなのかいよいよなのか、真打登場です。満を持してのことなのにこれですからね。シャレが利いていて、楽しくもあります。しっかりとメリハリがついているのはさすがとしか言いようがありませんね。

 

↑こんなでもめっちゃカッコいいわけです。

 

 そういえばわたし、アメリカ留学中のその昔、ビバリーヒルズに遊びに行ってポール・ニューマンの家の前で写真撮りましたよ。ただ、「家の前」って言っても、建物は外からじゃまったく見えませんでした。広大な敷地の中にうっそうと生い茂る密林のその向こうにおそらく家屋があるのだろうな、と想像するしかなく、けっきょく「家の前」っていうよりも「門の前」で写真撮った、て感じでした。

 

 本作当時でポール・ニューマン48歳、ロバート・レッドフォード37歳。古き良き時代、であります。

 

↑ショウさんも、やっぱカッコいいです。

 

 どことなく元中日ドラゴンズ監督の、モリシゲこと森繁和さんに似てなくもないですかね。この方、本作の5年後の1978年、51歳という若さで突然お亡くなりになりました。「ジョーズ」でも有名で、もったいないですね。え、じゃあ本作当時まだ46歳かよ、という驚きはこの際置いておくとしましょう。

 

 さて、映画はこのあと、開始30分過ぎから約3分間、冒頭にも紹介した名曲に載せてセリフはないままサギ仲間が集まるシーンとなります。なんですかね、「荒野の七人」とかでもそうでしたけど、仲間を集めるシーンてのは妙に高揚感ありますね。もうわたし気がついたらニッコニコで観てましたよ。ワクワクがとまらない、という感じです。

 

 なんかね、なにをするにもスタイリッシュでリズム感があるんですよ。リズム、要するに音楽ってのは世界共通なんやなあと改めて思いますが、なにしろ痛快この上なく。流れるような映画、とでもいうんでしょうかね。2時間なんてほんとあっという間ですよ。

 

↑カードを自在に操ってます。

 

 こんなして手元だけ見せておいて、まあそりゃこういうのはちゃんとスタントマンにやってもらわないと、なんて思わせといて、カメラが引いたら

 

↑ポール・ニューマンが映るという。

 

 今の時代だったらそれもなんでもCGでできるのでしょうけれど、この映画は1973年の作品、なんともう50年前の作品なわけですよ。CG、すなわちComputer Graphicsの「C」の字もない時代ですよね。これをエンターテインメントと言わずして何をかいわんや、てことです。

 

↑ポール・ニューマン、寄ったフリです。

 

 相手をだますための作戦ですが、もうたまりません。痛快すぎます。

 

 かと思えば、

 

↑怒るロバート・ショウ。

 

 これがまたもうすごい迫力で。

 

 だからここでのこのポーカーゲームでのだましだまされシーンで、われわれ観客は一転緊張しまくるという結果になるわけです。

 

 もちろんポール・ニューマンとロバート・ショウだけではないです。忘れちゃいけないロバート・レッドフォード。

 

↑レッドフォード、ショウさんに怒られてます。

 

じつはレッドフォードはロバート・ショウの仲間で、ミスをしたと怒られてるシーンです。

 

↑見下げるショウさん。

 

 あの温厚なモリシゲが激怒、なわけです。

 

 あ、もちろんいろんなことがあってどれが本当か観ているこっちもさっぱりわからなくなってくるのですけれども、なにしろここらへんからロバート・レッドフォードがすごくなります。なにがすごいって、役者として演技力がハンパなくなります。若干37歳ですよ。鳥肌立ちまくりなわけです。

 

 せっかくこんなすごい役者に育ててもらったのにいったいブラッド・ピットはなにをしとるんや、と思ってしまいますね。

 

 もうひとつ物語に華を添えているのが、謎の殺し屋サリーノの存在。この使い方もほんと上手いんですよ。最後のほうでいよいよサリーノの正体が、ってときなんかもう2回も3回も驚かされますからね。まだ観ていない方はほんと楽しみにしていてほしいと思うわけです。うらやましいですけどね。

 

↑これ!この表情!

 

 シビれちゃいますよ。なにしろもうなんか全部、めちゃめちゃカッコいいんです。わたしシビれすぎて気がついたら泣いてましたもんね。いや、大げさでなく。

 

↑詐欺に活用するために部屋を乗っ取ろうとしてます。

 

 う~ん、乗っ取る言うか、どうしてもこれからロバート・ショウことモリシゲをだますためには会社の偉い人っていう役柄が必要で、だからめぼしい部屋をこうしてちょいと借りる、もちろんこの部屋の主にはそんなことは一切内緒で、というシチュエーションなわけですよ。サギの映画とかテレビシリーズの「スパイ大作戦」なんかでもよくやる手ですよね。楽しくてしかたないです。

 

↑ここのシーンも秀逸です。

 

 ほんとなにからなにまでいいんです。いちいち騙されるんですよ、観ているわれわれも。でも、もうそんなことなら、なんならもっともっと騙してほしいとさえ思ってしまうわけです、Mっ気があるとかそういうことではなくって。そら脚本賞も獲得するってなもんです。

 

 そして。

 

↑このあとうしろのみんながいっせいに立ち上がります。

 

 ポール・ニューマンの「さあ、モリシゲがきよったぞ」の掛け声とともに、みんなが立ち上がるんですけど、これみんなの表情を観ていてください。立ち上がる瞬間、全員の顔が瞬時にキンチョーで引き締まるんです。チョイ役とかエキストラの人たちでさえそうなります。役者の底力、なんでしょうね。号泣シーンですよ。

 

 そしていよいよショウさんがだまされて大団円に向いますが、

 

↑レッドフォードは逃げます。

 

 謎の殺し屋サリーノに狙われていたのがレッドフォードで、危うく難を逃れて逃げるわけです。まったく息つくヒマがありませんよ。最高の映画です。淀川さんの笑顔が浮かびますね。

 

 そしてラスト15分、われわれ観客はハンパないキンチョー感に押しつぶされそうになりながら手に汗握ってどう終わるのかわからない終焉をしっかり見届けようと身体をこわばらせるのですね。

 

 ということで、ラストのラストはもうみなさん知っての通り、でしょうか。なにしろ最高のエンターテインメントのことでした。

 

 映画ってほんとに素晴らしい!!

 

 

今日の一言

「名優しかいないわ」

 

 

レビュー さくいん