★★★★☆☆☆☆☆☆

1985年 85min.

ネタバレ ありますけど、ラストはふせときます。

敬称略

 

 

監督 スチュアート・ゴードン

製作 ブライアン・ユズナ

脚本 スチュアート・ゴードン ほか

音楽 リチャード・バンド

 

ウェスト:ジェフリー・コムズ

ダン:ブルース・アボット

ヒル博士:デイヴィッド・ゲイル

メグ:バーバラ・クランプトン

メイス:ジェリー・ブラック

アラン:ロバート・サンプソン

ホルジー学長:ロバート・A・バーンズ

 

 

 はてさて、一部では人気の高い、カルト的な映画のことでありますよ。当時はなんかスプラッター的なホラー映画の邦題はなんでもかんでも「死霊の○○」とかになってて、だから本作は「したたり」だそうです。べつになんにもしたたってませんでしたけどね。サイアクやなこれ、と思いながら観ていた覚えがあります。

 

 オープニングは、ロゴもなんもなく、いきなり本編が始まりました。そういうところはB級を通り越してC級感満載ではありますね。

 

↑特殊メイクはC級ではないですが、B級を超えることはないでしょう。

 

 で、まずはいったん事が起こって、オープニングタイトルになるわけですが、このオープニング曲がまた耳に残るというかなんというか。リチャード・バンドのこの曲も含めて、カルトムービーと称されとりますよ。ちなみに「バンド」っていってますけど、人の名前です。「楽団」の意味の「バンド」ではないので、お間違えなきよう。お兄さんのチャールズ・バンドは本作を配給したエンパイア・ピクチャーズの創始者でありますね。ご自身も監督をされてまして、そらあたくさんのB~C級ホラーを世に送り出しておられますが、そのほとんどが日本公開されとりませんので、そうした意味ではこのお方もカルト的存在なのかもしれません。わたしは1987年の「ドールズ」と「プリズン」は好きですけどね。

 

↑主役のブルース・アボット。

 

 わたしはこの人、本作の前に「悪夢の惨劇」(公開順は逆。「悪夢の惨劇」は1988年公開)って映画で観てまして、立て続けにこうしたホラー映画に出演したので、今後はホラー映画の帝王にでもなっていくんかな、と思ってましたが、まあご覧のようにちょっと華がなくってですね、けっきょく鳴かず飛ばずになってしまったの感です。

 

↑左がお相手役のメグことバーバラ・クランプトン。

 

 メグちゃん激カワですが、けっこうエロいです。そういうところはこの時代のホラー映画やなあ、と懐かしんでしまいますね。

 

↑ヒル博士役のデイヴィッド・ゲイル。

 

 こやつはこれ、博士然としてますが、このあとどんどんキモくなっていきます。こうご期待、なわけです。

 

↑ウェスト役のジェフリー・コムズ。

 

 こうしてオープニングから続々といわくありげなメンバーが出てきますが、とくにこのキャラは、なかなかに読めませんでしたよ。

 

 なんかですね、不穏な空気はずーっと流れてるんですよ、最初っから。でも、開始30分経っても全体像が見えてこないんですね。30分ですよ。もう3分の1過ぎちゃってるんです。それでもまだ、てんですから、ちょっとわたしここらへんで眠くなってきました。このあと激カワメグちゃんがエロくなるから、っていう理由だけでなんとか平静を保っている状況なのです。

 

↑特殊撮影も、冒頭はまあまあと思ってましたけど、ここへきてこんな感じになってしまいました。

 

 背中にクロネコが飛びついて、飛びつかれたジェフリー・コムズが暴れてるんですけれども、これでは1984年の「ゴジラ」の田中健ですね。巨大フナムシに飛びかかられて、フナムシ人形を抱えて一人で暴れまわってた、あの田中健をほうふつとさせてくれましたよ。わたし失笑してしまいました。バットもって立ってるブルース・アボットもどこか冷めてる感じですしね。そもそもこのシーン、天井から下がっている電灯が揺れまくって、画面が明るくなったり暗くなったりするもんですから、見にくくって仕方ないわけですよ。なんだかなあ、という感じしかしないのです。

 

↑死者をよみがえらせる薬なのですけれどもね。

 

 なぜに蛍光色なのか、てこともギモンですよ。いいんですけどね、そらそういう色があっても。でも不自然すぎるじゃないですか。

 

↑ネコ、復活!です。

 

 まあ、でもおかげでさきほどのクロネコのヤマトくんは復活しましたけどね。ようやく、の感はありますが、さすがB級ホラー、キモくなってきましたよ。「ドールズ」の監督ならでは、であります。

 

↑そうこうしてるうちに、ブルース・アボットはすっかりジェフリー・コムズに取り込まれてしまいました。

 

 まあ同じ学者(学生)どうしですから、意気投合するのに違和感はないですね。わかる気はします。

 

 でもね、やっぱりC級といいますか、話のつじつまを合わせようとして若干ムリしてる部分もあるんですよ。

 

↑こんなして、突然学長がキレたりして。

 

 えと、右の方は激カワめぐちゃんのお父さんで、ブルース・アボットとジェフリー・コムズの通う大学の学長であります。で、このお方が突然キレたんですよ。こんなして、突如として学長がキレるのはムリがあったんじゃないでしょうかね。

 

 まあC級ホラーにそんな細かいことを要求しても、とは思いますけど、ムリがあるのには違いないと思うわけですよ。キレる、いうか、豹変、でしたからね。ブルース・アボットが自分の娘と付き合ってたのを容認するようにみせかけて実はムカついていたのでしょうか。

 

↑そしたら学長、こんなことになってしまいました。

 

 要するに、死体をよみがえらせる薬を注射して騒動を巻き起こす、マッド・サイエンティストのお話、ということですね。

 

 それにしても、なんか異常者しか出てきません。張本人のジェフリー・コムズと、それ以上に狂信的なブルース・アボット、すぐキレる学長(ロバート・A・バーンズ)に、その学長の親友で、学長の娘の激カワメグちゃんを愛するヘンタイ教授、ヒル(デイヴィッド・ゲイル)。まあ、そりゃカルト映画だわな、って思いました。

 

↑なんて言ってましたらここで攻守交替っぽいです。

 

 まあデイヴィッド・ゲイルは最初っから怪しさ満載ではありましたけど。

 

↑で、ジェフリー・コムズに殺られました。

 

 もちろん張本人(ジェフリー・コムズ)が強いんですよ。でも殺っちゃったがために、このあと文字通り攻守交替となるわけです。

 

↑首だけで生き返りました!

 

 ジェフリー・コムズも、わざわざ生き返らさんでもとも思いますが、首だけだからいいと思ったんでしょうね。でもやっぱりデイヴィッド・ゲイル、だてに歳とってたわけではなかったのですね。ここんとこは映画館でも失笑が漏れてましたよ。

 

↑こうして後ろから身体のほうが攻めてくるわけです。

 

 老教授を甘く見たらイカンと言う教訓でしょう。まあ、頭と身体が切り離されて、身体だけで動けるのかはギモンですけどね。あの蛍光色のクスリは頭にしか注入してないわけですし。まあ、そうかもしれんし、そうではないかもしれん、ということでしょう。

 

 う~ん、なんかここへきて1時間なんですけどね、ようやくカルト映画らしくおもしろくなってきた気もするんですけど、どうにも長いかな、という感じですよ。ジャンルも、ホラー、言うより、ホラー的なサイコスリラーみたいな。まあね、先にも言いましたけど、そういうところは「ドールズ」の監督らしいっちゃらしいところではあります。ちょっとだけ笑えたりもしますしね、おもしろくないことはないのです。だからやっぱり長いのがもったいないなあ、という気がします。

 

 話的にも、目のつけどころはいいのでしょうけれど、どうにも突拍子がなさ過ぎて、だから笑ってしまうということでもありますけれどもね。

 

↑首持って歩いてるし。

 

↑なんかね、笑ってんですよ。

 

 首の乗ったバットに血を注いでもらって、なんか気持ちよさそうにしてたりもするし。ていうか、「注いでもらって」って、注いでるのは自分の身体ですしね。コメディアンなのかと思ってしまいますよ。

 

↑激カワメグちゃんのお父さんの変わりようもすごいです。

 

 学長役やってた人がこうなるなんて、まあだれが想像できたでしょうか、と。たぶんですね、みんなコメディアンなのだと思いますよ。

 

↑首がないってのをバレないようにするために人形の首乗っけて歩いたりしてます。

 

 そうかと思えば、

 

↑「私のことはいいの」「君こそ自分のことを考えるんだ」「あなたを憎めたらいいのに」「愛してる」。……。

 

 いや、昼ドラか、て。

 

↑で、サイコ教授のさしがねで、父親であるはずの元学長が自分の娘である激カワメグちゃんをさらいに行って、連れてきちゃいます。

 

 ここから激カワメグちゃん、全裸ヘアヌードになってがんばりますよ。ていうか、アホ教授、エロさ全開です。もうむちゃくちゃですわ。C級だからってなにやってもいいってもんでもないですからね。

 

↑自分の身体に激カワメグちゃんのおっぱい揉ませてこんな顔して。

 

 どこの部分がカルトなのかもうさっぱりわからなくなります。

 

↑そしたら救世主はこやつでした。

 

 あーあ、なにしてんねんあいつ、みたいな顔が笑えますね。

 

↑でも来たとたんこんなになってしまい、爆笑案件です。

 

↑あげくの果ては、エロ教授の身体から小腸が発射されてジェフリー・コムズ巻かれる、という……。

 

 なんかですね、最後はもう収集つかなくなってましたよ。わたし、腹かかえて笑いながら観了しそうになりましたもん。でもですね、ラストはラストでちゃんと用意されてましたよ、観客を混乱の渦に巻き込むようなエンディングが。

 

 観ていたたぶんほぼ100%の人が、もうこうなったらこうしたらええやん、と思うであろうことをしてくれはするのですけれどもね、でも次の瞬間、「ハイ、あとはご想像におまかせでえす」て感じで有無を言わさずエンディングロール、ということなのでした。「えぇぇ……」ということで幕が下りるという、どうにも不完全燃焼なカルト映画なのでした。

 

 メグちゃんの激カワぶりと全裸に敬意を表しまして、4つとさせていただきます。

 

今日の一言

「ほぼ志村けんやん」

 

 

レビュー さくいん