★★★☆☆☆☆☆☆☆

1997年 129min.

ネタバレ してないですよ、たぶん。てへぺろ

敬称略

 

 

 なんかですねえ、酷評されてますよねえ……。2作目のジンクス、なのでしょうか。ゴールデンラズベリー賞の「最低続編賞」と「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」「最低脚本賞」だそうです。まさかのスピルバーグでと思いつつ、でも前作がすごすぎたしなあ、あ、でもアカデミー賞の視覚効果賞は受賞してるんだ、などと思いながら観てみました。ほんとはあんまりこういう先入観はよくないので、なるべく前知識を入れずに観ようと思ってはいるのですが、どうしても入ってきてしまいます。以後気をつけます。m(_ _)m

 

 原作は、前回同様マイケル・クライトンですね。でも内容はそれとは全然違うらしいですよ。クライトンは映画化されるにあたって、好きなようにやっていいと言ったそうでして、出来上がりでほとんど違う話になっていてもなんのお咎めもなかったらしいです。まあそれで、製作陣は意気込んで作ってみたはいいものの、脚本力に欠けるということを露呈した、ということなのでしょうか。ま、原作読んでないからわかりませんけどね。

 

 で。

 

 まず思ったのは、なんや続編なのにサム・ニールもローラ・ダーンもいないのかあ、でした。主演はジェフ・ゴールドブラムとジュリアン・ムーアですから、ジェフ・ゴールドブラムは引き続きの出演、リチャード・アッテンボローも出てますけど、やっぱりあの二人が出てないと続編としてのステイタスは下がるというものですよね。なあんだ、て気になっちゃいます。

 

 公開は前作の4年後ですか。孫たちは二人とも成長して、さらにかわいくなっとりましたね。

 

↑アリアナ・リチャーズ。めちゃめちゃかわいいですね。

 

↑ジョゼフ・マゼロはこの時14歳。かわいいままですね。ジェフ・ゴールドブラムは変わりませんが。

 

↑アリアナ・リチャーズ現在42歳。おキレイですよ。

 

↑ジェフ・ゴールドブラムもデレデレです。

 

 でもここでまず「ええっ?」てなりますびっくり。なんかですね、一作目のあの島で起きた出来事が、恐竜たちの存在も含めて、ウソだった、てことになってるようなんですね。だれも信じてない、みたいな。ああなるほど、そらそうですけどね、だれも見てないわけですからね。でも実際に何人かは亡くなってるわけですよ。なんかムリがあるなあ、って。

 

 脚本は、前作と同じデイヴィッド・コープって人ですね。だれやだれやって思いましたけど、調べたら「ミッション:インポッシブル」や「スパイダーマン」や「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」なんて脚本書いてますよ。すごい人じゃないですか。なんだか、う~んてなりました。ショボーン

 

 ここで、狂言回し的な人物が判明しますね。アッテンボローの甥というアーリス・ハワード。こやつがやらかして最後は殺されるんやろう、的な。

 

↑こちらのお方です。そういう顔、してますけど、デブラ・ウィンガーの旦那さんだそうです。ビックラです。びっくり

 

 まあその前に、やっぱりアッテンボローがやらかしましたか。この人、監督としては立派な経歴の持ち主ですが、どうも役者になるとくそじじいになりますね。笑い泣き「ワシは二度と過ちはおかさんよ」とか言って、「これは新しい過ちだ」ってジェフ・ゴールドブラムに突っ込まれてましたね。ザンネンです。

 

↑なんか意気揚々と語ってますけどね、やらかしてる最中です。

 

 そんな中、リチャード・シフを発見しましたね。ヒゲがないのに驚きましたが、まちがいなくトビー・ジーグラーですね。

 

↑ドラマ「ザ・ホワイトハウス」でトビー・ジーグラー広報部長の役をやってらっしゃいました。照れ

 

 この「ザ・ホワイトハウス」はNHKで放送されてましたけれど、その時の声優が、俳優の佐々木勝彦さんだったんですね。わたし、その時から思ってましたけど、このリチャード・シフはその佐々木勝彦さんとは似ても似つかない高音の声してましてね、いったいNHKはなにをやってくれとるんだ、と憤ったものでしたが、そんなことを思い出しましたよ。あまりに声が違うので、ほんとにビックラですよ。クリント・イーストウッドの山田康雄がそっくりに聞こえますね。えーん

 

 ところで、こんなシーンがありますが……。

 

 

 これね、平気でこうやって水の中を走ってくるとか、ほんとによく見ますよね。でもこれ、実際やってみたら、このあとの靴の中ぐじゅぐじゅでサイアクじゃないですか?気持ちはわかりますけど、後先考えない、さすがアメリカらしいといつも思うのです。観ている方もこのあと気になって気になって仕方ないので、ほんとやめてほしいです。

 

 ところで、今回は前作よりもCGの技術が上がってますから、出てくる恐竜も種類が多かったですよ。そうしたところは、子どものころからやっぱり恐竜好きだった身としては、うれしい限りですよね。一作目で、どうして出てないんだろうと思っていたステゴザウルスが出てきたのは、わたしこれが一番好きな恐竜ですので、ちょっと小躍りしました。もちろん映画館で実際にはしませんでしたけどね。

 

↑草食恐竜ですけど、人気が高いですよ。

 

 でもね、そらたしかにたくさんの恐竜が出てきてくれれば、観ているほうはうれしいですよ。でもなんです。いやいや一作目で出てこなかった恐竜たちって、今回はじゃあどこからどうやって出てきたんや、ってなりません?前回はもうあれで完結したといってもいいですよね。島に残った人間は一人もいないわけですよ。ステゴザウルスにしてもそうですし、前回ブラキオサウルスだったのが今回はマメンチサウルスになっている、と。いやいや、ブラキオサウルスだってどこ行ったんや、て。どうにもやっぱり脚本の弱さが目立っちゃうのです。

 

↑CGはすごいですけどね。びっくり

 

 ここでようやくジュリアン・ムーアが出てきました。ジェフ・ゴールドブラムの恋人役だそうです。

 

↑ジュリアン・ムーア。スピルバーグって、出演者の初出シーンはこうやって画面の端にもってくることが多いです。ニコニコ

 

 始まって30分経つと、なんか家族のいざこざの話みたいになってきます。明らかにこれ、一作目のコンセプトとは違ってきてますよね。要するに、マイケル・クライトンの話ではないというのがまるわかりなんですね。聞くところによると、どうも原形をとどめないほど原作とは話が違うそうでして、やっぱりそういうところが興行収入にも影響してきたんかな、という感じですね。

 

 ジョン・ウィリアムズも抑え気味ですし、やっぱりアッテンボローの甥役のアーリス・ハワードがやらかすこととなって、ありふれ感満載なんです。「我々が恐竜を生き返らせた」なんてセリフ、あきれ返りますけど、そういうこと言うヤツ、ドラマとかでもたくさん見てきましたからね。

 

 登場人物も、これはまあ話の流れで仕方ないですけど、優秀なハンターみたいな人もやっぱり出てきます。前回はボブ・ペック、そして今回はピート・ポスルスウェイト。

 

↑こちらのお方です。じつはこのお方も、ボブ・ペックと同じように、2011年に亡くなられてます。いい味出してましたから、もったいない気がしてなりませんね。ショボーン

 

 ただ、特撮はやっぱり、視覚効果賞を受賞するだけあって素晴らしいですよね。特にCGもそうですけど、アニマトロニクスも絶品です。子供のティラノサウルス抱いてるとこなんて、ほんまもんにしか見えませんでしたからね。

 

↑動物病院にペット連れてきた、みたいな。あ、言い忘れてましたが、こちらの子ティラノを抱いてるのは、ヴィンス・ヴォーンです。

 

↑男前ですねえ。あ、一番右の人ですよ。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 CGなんかでも、たとえば恐竜を捕まえようとしたりするところなんかは、実際にそこには恐竜はいませんよね。それを、あたかもそこにいるように見せながら演技をするってのがまたすごいことです。しかも、そのなにもないとこに恐竜の絵を当てはめるとまたこれが実際にそこにいるように見える。技術の進歩はほんとにすごいことなのだと思うわけです。

 

↑恐竜はそこにはいないんです。ビックリですよね。いまさらですけど、いまさらだからこそもう一度その技術を称賛すべきだと思います。当たり前のように思ってることが、じつは努力の結晶なわけですね。すごいですよ、純粋に。

 

 スピルバーグらしく、セリフで遊ぶシーンも多くありました。とくに先ほどの子ティラノを追ってきて怒り狂ってるママティラノを見てヴィンス・ヴォーンが、“Mommy’s very angry”って言うところはわたし、ちょっと笑ってしまいましたね。まあそのシーンでは、けっきょく怒り狂ったママティラノは、人間たちを襲わなかったわけですが、それがなぜなのかは疑問のままです。

 

↑こうして覗いただけでした。

 

 また、前作と同じように、やっぱり車で襲われるところがあるのですけれども、今回は前作と違って大人三人ですから、いまいち緊迫感はありませんね。ないわけではないですけど、やっぱり子供がいるのといないのとでは、度合いが違いますよ。その子供がいるときの緊張感を知ってしまってますから、やっぱり物足りなさは残りますね。こういうところが二作目の難しさなんでしょうけれども、それを超えていくのも二作目の義務だとわたしは思いますけどね。プンプン

 

 さすがのスピルバーグも、続編はキツイのでしょうか。たしかにスピルバーグって、シリーズ物は、本作以外はインディ・ジョーンズしかないですよ。でもインディは、シリーズというよりも、ちょっと意味合いが違いますよね。そう考えると、正当な続編を撮るってのは今作が初めてなわけで、これまで続編を避けてきた意味がわかるような気がしてしまいました。一作目でやりつくしちゃうと、アイディアを出すのも大変だというわけですね。ショボーン

 

 そうこうしてますと、リチャード・シフが殺られてしまいましたよ。わたしはとってもザンネンでしたのに、そのあとだれもそのことにふれなくって、仲間が死んだというのにあまりの仕打ちじゃないかと、わたしはさらに悲しくなってしまいました。

 

 ハンターチームでも、休憩中にひとりだけトイレだとか言ってその場を離れるヤツがいるんですけどね、ほかの連中はトイレ、どうしてんですかね。そもそも離れるとか言って、明らかに自力では戻ってこられんやろ、みたいな森の奥まで入っていくし、なんかもうなにからなにまでギモンになってしまうのです。ガーン

 

 そうなってきますとね、前回では思わなかったことまでギモンになってきちゃいますよ。たとえばT-Rexの足音なんですけれどもね。あの音、恐竜自体の大きさから考えたら、あまりにも大きいじゃないですか。音の間隔ではかると、歩幅も大きすぎますし。たしかにゴジラのオマージュってのはわかりますけど、ゴジラはT-Rexよりははるかに大きいですからね。あの音と間隔は、ゴジラだから許されるわけですよ。ちょっとやりすぎですよね。

 

 また、ハンターチームが夜中にキャンプをT-Rexに襲われて、パニックになって逃げ惑うシーンがあるのですけれども、これにしたってみんな銃を持ってるんですよね。なんでそれを使わないのか、ギモンというよりもなんかもうもどかしくってもどかしくって。スピルバーグにしては、まったく細部に行き届いてないんですね。

 

 草むらで襲われるところは、さすがでしたよ。さすが「ジョーズ」の監督だと思いましたよ。

 

↑周りから何匹ものヴェロキラプトルが襲ってくるところを俯瞰で撮ってます。これはビビりました。

 

 ところが、そのすぐ次のシーンでは、ジェフ・ゴールドブラムと娘のヴァネッサ・リー・チェスター、そしてジュリアン・ムーアが三人でいた時に、突然ジュリアン・ムーアがヴェロキラプトルに襲われるシーンがあるのですけれども、これもすぐ横でジュリアン・ムーアが襲われてぶっ倒されてるのに、しばらく残りの二人が気づいてないんですよ。ありえないでしょう。で、そのあとなんとか逃げ出すんですけれども、くるっと一回りしただけでもとに戻ってくるという……。え、どうしたんやスピルバーグ、ってなんかもう恥ずかしくなるくらいザンネンな気持ちになってしまいました。

 

↑見にくいですけど、ジュリアン・ムーアがやられてて、右側端にジェフ・ゴールドブラムとヴァネッサ・リー・チェスターの足が見えますが、二人は棒立ちなのではなく、普通に立っててそこで襲われてることにはまったく気づいてないんですよ。

 

 体操部で補欠の娘ちゃんが、なんか建物の梁を使って鉄棒技でヴェロキラプトルをやっつける、なんてシーンはもうマンガですね。建物の梁が、鉄棒のように丸いことは絶対ないですし、やっつけるにしたってあんなに回転する必要があるのかとか、もうこっちの頭もパニックです。

 

↑ジェフ・ゴールドブラムの娘だそうです。まあ、コメントは控えますが……。

 

 なんとかかんとか逃げ出すと、ハンターチームとなぜか合流するのですが、なんとハンターチーム、パパティラノを捕獲してますよ。わたしもうパニック中のパニックです。いつこれ捕まえたんや、て。ちょっと邪道ではありましたが、いったんDVDを止めて、早戻しして観なおしましたよ。でもそんなシーン、どこにもなかったんです。しれっと捕まえてるんですよ。それでいいのかスピルバーグ、ってまさかこんなことを言う時が来るなんて、予想もしてませんでした。ガックシです。

 

 そして舞台はサンディエゴにうつりますが、もうそうなってくるとしっちゃかめっちゃかです。パパティラノを運んできた船が港に激突。パパティラノに乗組員全員殺されて、操縦不能になった、とのことでしたが、それもねえ、て感じですよ。なんか操縦室に船員がバラバラになって散らばってましたけど、あのデカいパパティラノはどうやってそんな狭い操縦室に入ったのでしょうね。

 

 で、船から自力で出てくるパパティラノ。そして住宅街へ……。ジェイソンがニューヨークの地下鉄に現れた時も衝撃でしたけど、今回はそれを上回る衝撃と言ってもいいほどでした。だって、いつのまにか深夜になってて、閑静な住宅街をものすごい音立てて動いてるのにですよ、だれも気付かんてそれ、あり得ます?子供が先に目を覚まして、起こすまで親は爆睡してますけどね、家が震えるほどの振動と音なわけですよ。だれも気付かないってもう、頭おかしいんかて思いますね。

 

 そのあと今度は街に出ますが、一転こちらはバスが走ってるくらいの時間です。いったい何時の設定やったんや、てここでもまた嘆息ですね。で、車を蹴散らしながら暴れまわるパパティラノ。もうすっかりこれ、ゴジラでした。そのうち火を吐くんじゃないかと思いましたよ。

 

↑1998年の「GODZILLA」でこんなシーンありましたよね。

 

 まあラストは案の定でしたけれど、それもこれもすべてひっくるめて、やっぱりこれ「やりすぎ」ということでしょうね。なんかあったんですかね、スピルバーグ。ヤケになってたんでしょうか。リアリティもなく、細かいところも行き届いてなく、ただ製作費だけかかりまくってて興行収入は爆下がり。それもしかたない出来だと、わたしもつくづく思った駄作の部類の第2作目なのでした。3作目に期待することとしましょう。

 

↑ここだけかっこよかったです。

 

 

今日の一言

「なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし」

 

↑次回作に期待しましょう。

 

 

レビュー さくいん