☆☆☆☆☆☆☆☆☆

1988年 85min.

ネタバレ よくわからないですが、大勢に影響はありません。m(_ _)m

敬称略

 

 

 うーーーーーーーーん……。

 

 コメディなんですよ、アメリカの。だから、本当だったら日本のそれよりははるかに、ていうか、足元にも及ばないほど面白いはずなんですけど、こういう駄作もあるんやなあ、とザンネンな結果になってます。ショボーン

 

 いえね、監督、脚本はパット・プロフトなんですよ。パット・プロフト。この方、「裸の銃を持つ男」とか「ポリス・アカデミー」の脚本書いた人なんですよね。だから観る前は、ほんとに期待大だったわけですよ。ところがいざ観始めたら、もうのっけからななんか空回りでしてね。

 

 思えば、コメディの最大傑作と言ってもいいほどの人気を博した「裸の銃を持つ男」は、パット・プロフトもそうでしたけど、それよりもやはりジム・エイブラムズ、ジェリー・ザッカー、デイヴィッド・ザッカーの三人衆の力が大きかったと、そういうわけですよ。びっくり

 

 この三人、いつも三人そろって「ケンタッキー・フライド・ムービー」にはじまって「フライングハイ」「トップ・シークレット!」なんかの、超コメディ映画の監督、脚本を手掛けてきた人たちですよ。まあひとりジェリー・ザッカーだけなにを勘違いしたのか「ゴースト」の監督やってましたけれど、それはそれで置いといて、やっぱり三人そろってコメディ映画、というわけなんですよね。

 

 で、パット・プロフトは「ポリス・アカデミー」で頭角を現すと、「裸の銃を持つ男」でこの三人に参戦した、ということなんですね。そして満を持して、なのでしょう、その主役のレスリー・ニールセンを迎えて、一人でコメディ映画を製作、監督、脚本したってのが本作なんです。冒頭、「この映画は過去の名作を本気でパロッてます」ってので並々ならぬ決意を感じられるのですけれども、なんともはやそれがすっかり空回り、になってしまっていた、というわけなんです。ショボーンショボーン

 

 いやそもそもですね、日本ではパロディ映画って絶対にはやらないですよ。映画大国、映画は家族そろっての最大の娯楽(当時は、ですけど)、っていうアメリカならいいのでしょうけれども、そうでもない日本では、いくらいろんな映画をパロディしたとしても、元ネタがわからないことが多いんですよ。それではやっぱりおもしろくもなんともないじゃないですか。お国柄もそうですし、時代もありますしね。なんか日本での一般評価もけっこう☆4つ(満点は5つ)とかついてますけど、ほんまかいな、って思います。えー

 

 思うに、パット・プロフトは自信あったんでしょうね。そもそもコメディ畑の人ですからね。いっちょこれで、と思ったことなのでしょうけれども、そもそもパロディって言うならジム・エイブラムズの「ホット・ショット」があるわけですよ。しかもそちらはチャーリー・シーンという若手演技派俳優を主役に、あの誰もが知っている「ランボー」を主軸にしたパロディでしたよね。作中でパロる映画も「トップガン」とかけっこうみんなが知っている映画ばかりで、日本人でもとっつきやすく作られてましたよ。ところが本作は、ハリソン・フォードの「逃亡者」を基本軸に、作中はわたしでも元ネタがわからないような、けっこうマニアックな映画のパロディが多くって、どうやらパット・プロフト、その自信が裏目に出てしまった、という感じになってしまってたんです。

 

 いやもちろん、知ってる方にはドッカンドッカン面白かったかもしれませんよ。でも少なくともわたしには、冒頭の「LESLIE NIELSEN is LESLIE NIELSEN in」からなんかシラケちゃってました。そもそも邦題も、あまりにもまんまで、あーあ感満載でしたからね。まあ邦題に関してはパット・プロフトのせいじゃないですけど……。

 

 でも原題だって“WRONGFULLY ACCUSED”ですよ。直訳は「間違った告発」てとこでしょうかね。内容的にはそうなんでしょうけれど、なにもそんな難しい題名にしなくても、ってのもあるじゃないですか。これもパロディのうちか?って思いましたけど、“THE ACCUSED”って「告発の行方」っていうジョディ・フォスターのシリアスな映画があるにはありましたが、それとはなんも関係ないですしね、話としては。

 

 なんて思ってたら、なんと音楽がビル・コンティと。わたしとしては、クジ引きしたこの直前の映画が「ロッキー3」だったのでそちらかぶりではありましたけれども、興味としてはそれくらいで、なんかもったいない気がしてなりませんでしたね。ヘンにシリアスにしようとして観客がついてこない、って感じです。ガーン

 

 レスリー・ニールセンを使ったというのも、なんかいろいろ見えてしまってザンネン感が増します。彼を使っておけば間違いないだろう、という安易な方向性。決意の割には手っ取り早さも垣間見られて、なにをとっても中途半端です。だいたい御大もう当時72歳なんですよ。まあ「裸の銃を持つ男」のときも68歳でしたけど、本作では70代に突入してるんですよ。それでいて恋愛関係に陥りそうになるケリー・ルブロックは当時38歳、同じくメリンダ・マックグロウも35歳なんですよ。ムリありすぎじゃないですか。年齢、倍ですよ。「裸の銃を持つ男」のときのプリシラ・プレスリーも若かったですけど、レスリー・ニールセンが68歳で彼女は49歳でしたからね。まだ全然マシです。なんなら許容範囲です。

 

↑まあ70歳代には見えないこともないですか...。

 

↑たしかにケリー・ルブロックも老けはしましたが...。

 

↑メリンダ・マックグロウはかわいかったです。照れ

 

 ということで、開始10分間はずっと「うーーーーーーーーん」とうなってました。えーん

 

 なにをねらったんでしょう。もちろん、観客を笑わせようというのは間違いないところなのでしょうけれども、それにしては力強さがないんですよねえ。三人衆のほうがよっぽどおもしろいです。「フライングハイ」も「トップ・シークレット!」(ヴァル・キルマー主演ですよ!)も「ホット・ショット!」もめちゃめちゃ笑いましたからね。これほど笑えないコメディは、ほんと珍しいです。まるで日本の映画のようで、ふたつ前に観た「暗闇でドッキリ」を懐かしむ結果になってしまっていたのでした。ショボーン

 

 そうこうしてると、「ランボー」でトラウトマン大佐だったリチャード・クレンナが出てきます。これでは「ホット・ショット!」ですね。いや、これも「ホット・ショット!」のパロディ?いやいやここまでくるともうそんなん、パロディの意思があったとしても、観てるこっちからするとすっかり「パクリ」ですよ。彼も72歳ですし、高齢化映画で、観ているこっちがなんか疲れてしまいます。いや、レスリー・ニールセンもリチャード・クレンナも一所懸命躍動して、走り回ったりしてますよ。でもね、それを観てると心配になっちゃうんですよ。ああ、そんなに走って、身体気をつけなよ、的な。そんなことばっかり気になっちゃうんです。30分もわたし、もちませんでした。

 

↑元ネタで言ったらトミー・リー・ジョーンズの役ですし...。

 

 全部が全部、何から何まで、一事が万事、すべてにおいて空回り。クスリとも笑えるところもなく、つまらないていうかもはやイタかったです。ガーンガーンガーン

 

 こんな状況ですから、内容もまったく入ってこないですし、登場人物もやけに多くってわけわかんないし、パロディ部分は内容と全く関係なく、なんの脈略もなく突然入ってくるし、いったいアメリカ人はこれのどこで笑っていたのでしょうね。わたしにはまったく理解できませんでした。

 

 ラストでも突然「タイタニック」のあの有名なシーンが出てきますが、これまた脈絡ないです。なんなんだよこれ、てことです。いやパロデイって、そういうことじゃないんじゃないかと、切に思う次第でした。

 

↑若干ちがうし...。

 

 なお、一応わたし的に☆ひとつつけてますが、これはあくまでも元気な70代に敬意を表して、です。あしからず。

 

 

今日の一言

「コメディ映画なのに疲れた……」

 

 

レビュー さくいん