★★★☆☆☆☆☆☆☆

2006年 88min.

ネタバレ ありますね

敬称略

 

 

 こちらも前回紹介した「THAT/ザット・ジ・エンド」と同じく、一般評価がむちゃくちゃ低いですね。クライヴ・バーカー製作の本格ホラーですよ。クライヴ・バーカー。「ヘルレイザー」ですよね。だからものすごく楽しみにしていたのですけれども、この評価を見ると、やっぱり「THAT/ザット・ジ・エンド」のこともありまして、若干引いてしまいますね。

 

 主演は、ジェイムズ・ヴァン・ダー・ビーク。長いわ、とか突っ込みを入れながらも、どことなくどこかで聞いたような名前ではあります。でもほかの出演作見てみても全然知らないんですよ。なんか違和感を持ちながら観はじめることとなりました。

 

↑ジェイムズ・ヴァン・ダー・ビーク。う~ん、どっかで見たような、見てないような……。(;^_^A

 

 ヒロイン(?)はイワナ・ミルセヴィッチですか。魚かと思いましたが、名前の表記はIvanaですから、アメリカ読みだと「アイヴァナ」ですね。まあどうでもいいですけど。

 

↑魚ではなかったですね。爆  笑

 

 どうでもいいついでですが、ヨーロッパの国の人の名前で「〇〇ヴィッチ」てよくありますけど、わたしこれ聞くといつも井上ひさしの「ブンとフン」に出てきた国連理事長のイワン・イワンコッチャナイゼヴィッチ・イクライッテモダメダネフスキイを思い出します。いやほんと、どうでもいいですけど。m(_ _)m

 

 まあとはいえ、ですよ。「THAT/ザット・ジ・エンド」と決定的に違うのは、製作会社がアサイラムではない、ってことですよね。だからちょっとは期待してましたよ。ホラー映画って当たりはずれの差が大きいですからね、やっぱりクライヴ・バーカーの名前にどうしても賭けたくなるわけです。

 

 なんて思ってたら、オープニングのタイトルバックでディー・ウォーレス出てるじゃないですかぁ。いやいやこれ、いきなりのB級感ですけれど、でもだからこそやっぱり期待してしまいますよ。ディー・ウォーレスですからね。わたしこの人初めて見たのは、わたしが映画狂いになった元凶てへぺろ の「E.T.」なのですけれども、それ以外の出演ったら「ハウリング」「クジョー」「クリッター」なんてB級ホラー目白押しですからね。B級ホラーの女王、なんて冠かかってた時期すらあったと記憶してますよ。だから期待していいはずなんです。まあ若干もう若くはないですから、キーパーソンにはならないのでしょうけれども、やはり「THAT/ザット・ジ・エンド」のことがあるだけに、そういうところにもすがりつきたいわけです。

 

 さて、で、事は突然始まりますね。

 

 ざっとのあらすじは、「ある日突然、世界の9歳以下の子どもが昏睡状態に陥る。その後は、生まれてくる新生児も昏睡状態のままという異常事態に。彼らは日に二度、同じ時刻に激しい痙攣を起こす以外は何の反応も示さない。このまま人類が滅亡に向かうかと思われた10年後、昏睡状態にあった子どもたちが一斉に目を覚ます。だが兇暴化した彼らは、大人たちを次々と血祭りしてゆく…。」です。(「allcinma」より原文ママで抜粋させていただきました m(_ _)m)たしか映画では9歳未満、だったような気がしてますが、まあいいでしょう。大勢に影響はありません。

 

 若干ゾンビとは違うようですけれども、凶暴化して血祭りとなれば、いやいややっぱりクライヴ・バーカーやん、とはなりますよね。「血の本シリーズ」の作者でもあるわけですからね。期待度は増すわけです。照れ

 

 で、その子供たち、たくさんエキストラで出てましたが、一所懸命痙攣して、しっかり演技してたところは、怖いシーンですけれど、好感を持ってしまいました。好感を持ちながらも、でもやっぱり怖いわ~、なんて思いながら、ちょっとワクワクしだしたんですよ。そしたらいきなり「10年後」の文字が……。たしか「THAT/ザット・ジ・エンド」は「25年後」やったなあ、と思ってちょっぴり不安もよぎるのでした。

 

↑みんなしっかり痙攣してましたよ。おおっ、すげえっ、て思いました。

 

 ところがやっぱりクライヴ・バーカーでしょう。この10年間というもの、9歳以下だった子供たちはおろかその間に生まれてくる子供たちもすべて、そう全世界でみんな、昏睡状態、だそうなのですよ。こりゃあ大きく出たな、と。世界中ですよ。そらあもうこれから残りの80分ほどは、とんでもないパニックになるのではないかという期待感が満載なわけです。

 

 そんな中、「子供の意識が戻った」ってフェイクニュースを流して世界を混乱させたのが韓国だ、なんてところがあって、これにはわたし爆笑してしまいましたね。そこは中国じゃないのか、という突っ込みも忘れませんでしたよ。まあこれ、だれの発案か知らないですけれども、認識的には間違ってないとは思いますけどね。まあいいです。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 で、そんな中わたし、気づきました。そうか、だからこの10年後の世界には19歳未満は一人もいないのか、とですね。なんかすごいことになってます。大丈夫か、クライヴ・バーカー、と、またも不安がよぎりますよ。(あ、けっきょくこの認識は間違ってましたけどてへぺろ

 

 ちなみにですね、開始10分早々ですでにわたし、けっこうな安ど感は覚えてました。だって出演者みんな、演技うまいですもんね。「THAT/ザット・ジ・エンド」とはやっぱりわけが違うのですよ。もうなんかこうしていちいち比較するのが申し訳ないですね。やっぱり映画はこうでなくっちゃ、ということなのです。

 

 ところで原題ですが、“THE PLAGUE”です。ペスト、伝染病、災厄とかそういう意味ですね。ので、どの意味にしてもやっぱりゾンビとは違うようでして、相変わらずの邦題はなんとかならんもんかと嘆息したりもしておりました。一応、25分過ぎくらいになってよみがえった子供たちが大人たちを襲いだしてからちょっとゾンビっぽくなるのですけれども、「ぽい」だけで、子供たちもなんか簡単に死んじゃったりしますし、ここらへんは子供たちがどういう位置づけなのかよくわからないですね。

 

 でも観ていて緊張しますよ。怖いです。集団で、子供が、ってなると怖さ増しますね。ただそうなってくると、なんかクライヴ・バーカーの製作なわりにはスティーヴン・キング感満載なんですよ。「セイラムズ・ロット」みたいです。びっくり

 

 そうこうしていると、だいたい開始30分あたりで今度は「パラダイム」が入ってきました。いよいよなんかごった煮映画になってきた様相です。まあ、ジャッキーの「ザ・フォーリナー 復讐者」とか、「13ゴースト」もそうでしたけど、ごった煮映画もうまくこなせば全然おもしろいわけで、クライヴ・バーカーならそこはなんとかしてくれるだろうという期待感で観すすめますよ。

 

↑カメラアングルまで「パラダイム」です。

 

 で、やっぱり怖いんですよ。ダストボックスから下に降りて、なんとか逃げたと思ったらやっぱりダメで、とか、通気口のシーンもものすごく怖かったですしね。ダストボックスのとこは、逃げ込んだ部屋が子供たちに見つかってしまって、カギを壊される前に逃げなきゃとシーツを結び合わせてロープを作ってダストボックスから階下に降りる、というシーンなのですよ。逃げ延びた大人は4~5人でしたかね。ところが降りたらやっぱり降りた先に子供たちが待ち構えていて、あわててまたシーツのロープをよじ登って元の部屋に戻らなければならないハメになります。でも、最後に降りようとしていた、主人公のジェイムズ・ヴァン・ダー・ビークの弟役の一人を除いてみんな登る前に襲われてしまいます。それどころかその弟くんは必死でシーツのロープを伝って上に戻るのですけれども、下から子供が追ってくるわけですよ。まさにゾンビ感満載で、もうわたし手に汗握りますよね。

 

↑で、なんとか先に上について、

 

↑柱に結んでいたシーツロープを外すのですが、なかなか外せなくって、

 

↑さあいよいよ子供が上がってきてダストボックスの口から手が見えますよ。早く早く、なんてわたしも必死です。

 

↑で、ようやくロープを外して子供をロープごと下に落とすその瞬間、いよいよ上がってきたダストボックスの口から見えたのは・・・・・・、

 

↑さっき一緒に下に逃げた大人の人で、せっかくここまで登ってきたのに下に落とされるという・・・・・・。

 

 わたし思わず「あああっ」て叫んでしまって、ヘッドフォンで映画を観ていたものですから、同じ部屋にいて別ごとをしていた妻がビックリして腰を抜かす事態となってしまったのでした。いやいや、だからこれ、ほんとおもしろいじゃないですか。「ミスト」のラストシーンをもほうふつとさせますよね。なんで評価が低いのか、まったくわからないわけです。この時点では。てへぺろ

 

 で、いよいよゾンビっぽくなってきましたよ。ジョージ・A・ロメロです。でも走ってくるから「バタリアン」系、ダン・オバノンですかね。まあこれなら邦題も許せる範囲でしょう。ゾンビに、クライヴ・バーカーだから「ヘル」をつけたというオチですわね。まあナットクです。

 

 その後、どこにいたのかまったく忘れていたディー・ウォーレスを目視確認します。警察署長の奥さん役でしたが、それまでまったく気づきませんでした。

 

↑こちらのお方です。ほんとにいったいどこにおられたのか……。

 

 そして「エクソシスト」まで入ってきましたよ。ウィリアム・フリードキンにまで忖度するのか、と。

 

↑カラス神父でしょうか。

 

 さらには小さい子まで出てきて、え、悪魔の子誕生?これはひょっとして「オーメン」か「デモンズ」ではないのか、リチャード・ドナーだ、ダリオ・アルジェントだ、と、いよいよごった煮最前線で、わたし一人でコウフンしておりましたね。

 

↑わたしは「デモンズ」だと思ってます。ニヤリ

 

 森泉さんたちが子供たちに正体バレないのは不思議でしたが、そういうギモンを残しながらも怖い路線で、とっても面白いとわたし思ってたのです。

 

↑あ、言い忘れてましたが、森泉さん出てました。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 ところがですね、ディー・ウォーレスが、あれっこんな役なん?てなったころから雲行きが怪しくなりますよ。そのディー・ウォーレス事件があって夫役の警察署長が拳銃自殺するわけなのですけれども、それはもうすっかりデジャヴュです。なんならもう観古した感じですよ。ちょっと悲しい感じで、一見「良質なホラー」て思いもありますけれども、でもやっぱりなんか「フツー」になっちゃいます。ショボーン

 

 車で逃げようと思ってたら、町じゅうの車が全部子供たちによって壊されている、と。退路を断たれたということに関してだけ言えば、これもまたいい感じではありますが、でもやっぱりありきたりですよね。そもそもずっと昏睡状態だった子供たちが、そんな車の構造がわかるのかもギモンです。作中でも「子供に車のことがわかるのか?」なんてセリフがありましたけれども、その答えは回収されません。びっくり

 

 子供たちの名演も光るものがありますが、でもセリフはしゃべってませんからね、なんてラスト近くにきてうがった観方をしてしまうようになってしまったのですよ。

 

 で、終了時間が近づくにつれて、おいおいちょっと待てよ、と。あと数分で残ったギモン全部回収はムリやぞ、なんて思ってましたら、けっきょく何の説明もされずに唐突に終わってしまったのでした。

 

 えええーっ、てなもんですね。え、どうして、どうして、だけが残る結果に、わたし唖然呆然です。ガーンガーンガーン

 

 えとこれ、観てる側に委ねられたのでしょうか。こんなギモンだらけのまま終わらされて、あとはよろしく、言われても……、です。ちゃんと理解できた人はいるのか、とわたしエンディングロール流し観しながら様々なネット上でのコメント見てみましたけど、みんな「?」つけたまま観了されているようで、同じ思いにホッとすると同時に、だまされた感に支配されてしまったのでした。ものすごく欲求不満です。せっかくずっと怖くておもしろかったのに、最後の最後で奈落に落とされたという・・・・・・。ショボーンショボーンショボーン

 

 ということで、怖い部分が大半だったので、そこはそれで☆3つですが、まあ3つが限界てとこでしょうか。

 

 とりあえず、残ったギモンを書き出して終わらせていただきます。

 

 ①    なぜ森泉さんたちはバレなかったのか?

 ②    で、なぜバレたのか?

 ③    明らかに19歳未満の子がいたが、逆に数人しかいなかったのはなぜか?

 ④    世界規模なのに片田舎でしか事が起こっていないようで、世界はどうなっているのか?

 ⑤    最後、イワナさんはなぜ襲われないのか?

 ⑥    いやいや、そもそもなにがあってこうなったのか?

 

 これらすべて、観客側に答えを出せと言っているのでしょうか。いやそれ、ムリです!

 

↑イワナさんだけ満足げでした。まるで「死霊のえじき」のワンシーンですね。

 

今日の一言

「ていうか、みんなめっちゃ銃撃つのうめえなあ」

 

 

レビュー さくいん