(-10)★★★★★★★★★★0☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(+10)

2019年 87min.

ネタバレ ないと始まりません

敬称略

 

 

 ホラーなんですよ。題名からも、おそらくあの「IT」を相当に意識しているのだと思われますね。あ、「THAT/ザット・ジ・エンド」は邦題ですが、原題も“CLOWN”なので、「ピエロ」ですから、やっぱり「IT」なのだとは思います。にしてもですね、一般の評価、低いですねえ……。笑ってしまうほど低いです。聞いたこともない、D級ホラー、だそうですよ。笑い泣き

 

 まあとはいえ、そういうのこそ観てみたい気になるてのも、映画ファンの常なわけでして、評価は評価として心しながら観はじめたのですけれども、いきなりオープニングタイトルで「アサイラム」の文字を見るにつけ、「あぁ……」てなりました。もうおおよその見当はつきます。そう、バッタもんやな、と。ガーン

 

 その期待に違わず、開始早々に「サーカスがやってきた」で始まって、ピエロが出てきますね。まあ、安定っちゃ安定ですから、驚くことではないです。

 

 で、続いて父娘のなんかわけのわからない緊迫した(ふうに見える)会話のシーンがあるのですけれども、まあこれがもう下手なこと下手なこと。これを演技と言われては、映画界全体のレベルが下がってしまうのではないかと危惧してしまうほど、見るに堪えないですね。わたし「なんなんだこれは」って思わず口走りましたよ。笑い泣き

 

 ていうかですね、こういうアサイラムなんかの、B級を通り越したような劣悪なホラーに出演するキャストの連中ってのは、いったいどんなモチベーションなのでしょうかね。これでおれも、わたしも、有名になって一躍スターの仲間入り、とか思ってるのでしょうか。この映画に出演できたから、トム・クルーズに会えることになるかもしれない、なんて思っているのでしょうか。もしそう思っているのだとしたら、なんか気の毒としか思えませんよ。わたしあまりのことに、笑いを抑えながらそんなことを思ってしまいました。てへぺろ

 

 なんて言ってたら、いきなり画面が切り替わって突然25年後に飛びます。25年後が現代なわけですね。25年前感がまったくなかったので、心底ビックリですよ。びっくり

 

 でも25年後の話になったからといって、クオリティが上がるかといえば、そんなことがあるはずもなく、相変わらずの低予算感満載で進んでいきますね。なにしろ相当なホラー映画、なんならスプラッターか、なんて思わせぶりにしといて、いざ始まってみたらグロいシーンなんかこれっぽっちも観られないですからね。さすがのアサイラムなわけですが、だから観ているこっちのモチベーションはあっという間に無くなってしまうのです。ショボーン

 

 でもって25年後のキャストたちの演技がまたこれさきほどの父娘に輪をかけてヒドイと。ほんとみなさん、観てられませんよ。いや、見てられません、です。

 

 さらにわたし辟易したのが、一瞬たりとも鳴りやまない音楽でした。いやほんとこれ、最初っから最後までずーっと音楽が入ってるんですよ。音楽でごまかそうとでも言うのでしょうかね。もしそうなら、それははっきり言ってムダです。そもそもうるさくて仕方ないんですからね。邪魔でしかないのです。ムキー いやもうほんとに、なんなんでしょうね、これ。ずーっと最初っから最後まで音楽を鳴らし続けるということが、ほんとにいいと思っているのでしょうか。演出で怖がらせる、という自信も技量もないということなのでしょうか。わたし的には、ホラー映画は音がないシーンなんかめちゃめちゃ怖いですけどね。

 

 そりゃあですね、ホラー映画の帝王といわれたジョン・カーペンター監督が、自身の作品である「パラダイム」でやったような音楽ならナットクですよ。これ、人間の心理に一番不安を与える音ってのを研究して、それを元にご自身が作曲した音楽でしたからね。それならわかりますよ。でもそんなんじゃないですもん、本作の音楽。ただ単に、なんかホラーっぽい曲を流しているだけ、という感じで。カットが変わって全然別のシーンになっても、ずーっと途切れず流れてます。これサントラ作ったら、87分の長―い曲が一曲だけ入ってる、ということになってしまうのでしょうね、きっと。効果音、じゃないんですよ。ずーっと音楽、「曲」なんです。うっとおしいしかないです。ショボーンショボーン

 

 だからまあ演出も知れてますね。12分55秒あたりで、ヘンなサーカスのピエロ小屋みたいなところに入り込んで、若干怖い思いをしている若者がドアののぞき窓の向こうに見た化け物と、直後にドアが開いて襲ってきたものがまるで違うってのも、イミはわかりますけどあまりに稚拙で、逆に、わかったと思ったわたしの解釈が本当に合っているのかなんて不安になります。一応わたしの解釈は、恐怖にあおられたこの若者が幻覚を見たかあるいはタイトルロールのピエロがなんらかの力を使っているのか、て感じなんですけどね。違いますかね。

 

↑ドアの向こうに見たのはこれですけど……、

 

↑なんか人形が出てきましたよ。ショボーン

 

 話が進んでも、でてくるやつどれをとっても演技はド下手ですし、たまに大きな音でビックリさせるって邪道も当然のようにあって、もうほぼサイテーとしか思えなくなってきますね。ここまでわずか15分ですよ。ビックリですよね。普通だったら、いやいやまてよ、と。まだ始まったばかりじゃないか、もうちょっとしたらきっと本格ホラーっぽくなってくるやろ、とでも思えるのでしょうけれども、ことこの映画に関しては、そんな期待はまったくできません。断言します。期待するなど、思考のムダ遣いなわけです。

 

 TSUTAYAによるあらすじは、「かつてサーカスの一団が住民によって皆殺しにされた事件から25年後、フェスに向かっていた若者たちのグループが殺人ピエロに遭遇することに……。エリック・フォースバーグ監督が放つショッキング・ホラー。」となってましてね、なんか期待できそうじゃないですか。でも期待しちゃダメなんですよ。87分の映画を、こんなたった3行にも満たないようなあらすじでしか表現できないってのが、事の重大さを表しているわけです。びっくり

 

 さて、開始17分になりますと、若者たちの中から最初の犠牲者が出ます。で、残りあと8人ですね。映画時間は、全体の87分のうち5分がエンドタイトルと考えると、82分てとこでしょう。で、ここまで17分ですから、残りは差し引きの正味で65分。8人が犠牲になると考えれば、そうかこれから8分に一人は殺される計算か、なんてわたし考えたりしましたが、もはやこれ、現実逃避でしかありませんね。そんな自分に気付いて、愕然としましたよ。ガーン 同時に、そんな細かい設定とかいらんし、8分に一人とかいわずにとっとと全員殺したってくれ、とまで思ってしまう始末なのでした。

 

 まあ、こういう低レベルに限らずホラー映画では女性も欠かせないわけですが、本作の女性の出演者4人はみなさんかわいかったですね。それが唯一の救いかなあ、なんて思ってましたら一人は男の子でした。きっと「男の娘」なのでしょう、とこれまたどうでもいい思考が錯誤します。

 

↑メガネっ娘。

 

↑かわいい系。

 

↑ちょっとヤン姐。爆  笑

 

↑で、男の娘。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 残りのメンバー構成は、イケメンが一人、黒人が一人、デブが一人で、アホが一人、と。だいたいこんなメンバーが一緒に行動するのか、ってギモンもありますが、本作にそんなギモンをぶつけても明確な回答が返ってこないのは目に見えてますしね、まあ構成としてはありきたりですが、物語の展開的には妥当なのでしょうね、きっと。(わたしもうほぼ投げやりです)

 

↑イケメン枠。

 

↑この黒人もたいがいアホでしたが、アホどうしでつるんでました。

 

↑デブ一人・・・・・・。えーん

 

 ところが、ここでもわたし、裏切られますよ。なんと黒人の男、第二のアホキャラなのですけれども、なんとアメフト部のクウォーターバックですと。もうガックシですよ。何度ガックシさせられたかしれませんが、ガックシです。どう見てもアホなんですよ、こいつ。クウォーターバックはアホじゃできないんですよ。アメフトでクウォーターバックって言ったらもう精密機械なわけですよ。だから自然と普段からの立ち居振る舞いも頭脳明晰さが浮き出てくるわけです。そんなコンピューターキャラを、こんなアホが演じていると思ったら、ガックシいうかもう泣けてきましたわ。

 

 若者たちの構成も、さっきわたし「妥当」と言いましたけれど、それは大まかな構成上のことであって、細かい設定を見ると、なにやらだれそれの妹がいたりだれそれの弟がいたり、そのまた弟がいたりで、誰が誰やらさっぱりわかりませんよ。プンプン

 

 演出も、なんか突然なんの脈絡もなくハンディカム映像になったりして、おそらくなにかを狙ったのでしょうが、画面が手ブレするので見にくくてしかたなく、狭い場所での展開ということも相まって、なにがおこっているのかさっぱりわからない、なんていう時間も多々ありましたね。もうほんと、突然ハンディカムになるんですよ。理解しようとするのがムダなのでしょうね、きっと。えーん

 

 で、やっぱりその間もずーーーっと音楽が流れているという・・・・・・。あ、とうとう音楽が途切れた、なんて思うシーンもありましたが、よくよく聞いてみると遠くの方で小さく鳴ってたりします。だまされてはいけません。ガーンガーンガーン

 

 そんなこんなで、忍耐の時間は続きますよ。開始40分近くになって、なんか若者たちがちょっとずつ襲われていきますが、肝心の襲われるシーンはほぼありません。悲鳴だけで、当初期待したスプラッター的なことはまったくもって皆無です。もうこうなってくると、もはや「ホラー」ですらないですね。デブくんが「足をヒドくやられた」とか言って、その骨がつきだした足首を瞬間見せられますが、それが多分この映画の一番のスプラッターなのだと思います。

 

↑こんな感じで、本作最大のスプラッターもよく見えません。えーん

 

 そしてとうとう開始45分、わたしつぶやきました。「あ~、めんどくせぇ~」

 

 でもそんなわたしをあざ笑うかのように、映画は先に進みます。しかたなくついて行きますが、「ピエロがゴーディを殺した。マーカスも」なんて言われても、誰のことやらサッパリですよ。ショボーン

 

 それにしてもこの映画、2019年の公開ですよ。わずか3年前じゃないですか。それでこのクオリティですか?「アサイラム」って、昔はほんとにヒドくって、駄作の宝庫だったですけれども、近年は良質な映画もちょっとずつ出てきている、って思ってたですけどねえ……。

 

 さてそしていよいよ、じゃない、とうとう、でもない、ようやくラスト近くになりまして、残った若者数人が、けっきょく正体のわからんピエロと対峙することになりますね。こんなんね、多勢に無勢ですよ。若者は女の子もいますけど、5~6人はいるはずです。(誰が殺されて、誰が動けないかとかそういう重要なところがまったくわからないので、あいまいですみませんが)でもそういう提案を、当然ですけど誰もできず、ピエロはゆうゆうと女の子二人を、なんかどうやって組んだのかわからないですけど、木の板みたいなのを地面に立ててそこに括り付けましてね、それでその木の下に火をつけるのですね。火あぶりの刑、ということでしょうか。でもね、括り付けたのも火をつけたのもこれ、木なんですよ、木。木に火をつけたら、燃えるやろ、て。燃えたらくずれて、括り付けられていた女の子たちも解放されるじゃないですか。わたしわくわくしてましたが(イヤミですよ)、やはりそんなことが起きるはずもありませんでした。ガーン

 

↑なぜか捕まるのです。わざとか、いうくらい簡単に捕まります。

 

↑そもそもこれ、ちょっとしたらすぐに逃げられそうですけどね。

 

 で、最後になって突如ピエロとの格闘劇がはじまりますが、これもカット割りが多すぎて、女の子たちがぎゃあぎゃあ言ってるだけで、いったい何をやってんだかさっぱりピーマン状態となってしまうのでした。

 

 えと、最後の最後だけ、はじめてグロくなって、ようやくか、なんて思いもしましたが、まさに「ようやくか」て感じで、時すでに遅し、なのでありましたね。まあ、グロいて言っても大したことはありませんけれどもね。

 

 そして「え?」でエンドロールへと突入したのでありました。

 

 

今日の一言

「よく耐えた、おれ!」

 

 

レビュー さくいん