失くしてしまったボリビア盤LPレコードのこと | ふぉるくろーれ夜話/mitaquenaのブログ 

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仕事をリタイアしてから始めたケーナの演奏をきっかけに、思い出したり思いついたりした、主にフォルクローレに関するよしなしごとを綴ります。

今日は、コレクターにとって痛恨・悔恨の話をしたい。

うっかり自分が大事にしているコレクションの一部を処分してしまった話だ。

 

昭和高度成長末期製の私は、世代的にモノ消費指向が強い。

性格的にも、まずは集めて、それを分類して、世界を自分なりに再構築し、網羅的・統括的に把握したがる傾向がある。

 

よって何かを始めると、すぐ関連するモノを集めてしまう(思い出したが、子供の頃は切手やウルトラマン消しゴムやらを集めていた。2年前はスペイン語学習ブームが自分の中で巻き起こり、入門書や辞書を揃えて、気づけば段ボール3箱分になっていたが、私のスペイン語力はDELEのA2、つまり初級止まりだった)。

無論、先月からケーナの練習を始めたら、上達スピードを遥かに上回るペースで楽器が増えていっている。

当初の目的から逸れて、何かをするためのモノを集めること自体が自己目的化する。

コト消費の現代ではすっかり聞かれなくなったが、これを「玩物喪志」という。

 

しかし、私はコレクターに向いてない。

そもそも本来のコレクションは、財力と時間的余裕のある貴族・ブルジョアのみが為しうるものだ(伝統ある国内外の博物館に寄贈されたコレクションを思い浮かべてください。戦災で多くを失ってなお上野の国立西洋美術館の所蔵品の基礎となった、松方コレクションなどが良い例)。

もちろん私はそんなご身分ではなく、単に大量消費・複製技術の時代に日本で生を受けたおかげで、コレクターの真似事をやらせてもらっているに過ぎない。

その真似事を行うにも、色々と困難がある。購入と維持、いずれにも経済的な負担・犠牲がついてくる。周囲(特に家庭)の理解が得られるかというのもあろう。

 

それに加えて、私の場合は、度重なる「引越し」だ。

進学・就職・転職・海外赴任・帰任等々で、今まで都合17回(たぶん)引越しをしている。

そのたびに、独り身には多すぎる荷物に困り果て、引越し前にモノの整理を余儀なくされる。

過去には、それで大量の蔵書を手放したが、フォルクローレから遠ざかっている間も、音源と関係資料は手放せなかった。

 

しかし、ケーナの練習開始を契機に、手元のLPレコード、CD、カセットテープ他を整理したところ、コレクションの一部を失くしてしまっていることに気づいた。

 

原因は、3か月前に現住所への引越し作業。

前の家でせっせ荷造りをした際、今回も2トンロングトラックで積める量を超える危険があったため、別の趣味である落語のLPレコードを、古物売買業者に引き取ってもらったのだが、どうもその落語のLPレコードを入れていた段ボール箱に、一部のフォルクローレのレコードが混ざってしまっていた、ようなのだ(引き渡して2か月以上経って気づいたので、確かめる術がないが、他のあらゆる可能性を潰した結果、それ以外に考えられない)。

 

多くのLPはカセットテープに落として主にテープで聴いていたので、最悪原盤を失っても音は残っていそうだが、さらに悪いことに、そうした重複があるカセットテープも荷造りの際に丁寧に選り分けて、全部捨ててしまっていた(カセットテープの選り分け作業にたっぷり3日掛かった)。嗚呼。

 

引き取った業者の方では、私から送られてきた重たい段ボールを開けて、LPオリジナル盤「圓生100席」は売れるとしても(各巻で、最近亡くなった写真家・篠山紀信が、昭和の名人、六代目三遊亭圓生の所作を多数撮影しているのも貴重。CD盤とは順序も異なっている)、あれー、なんか良く分からない、ぼろっちい異国のレコードが混じっているなあ。値付けできないから、これは廃棄だな――となったのではなかろうか。

 

いや~~~~~~~~~~~~、やっちまったよお~~( ノД`)シクシク…

引渡し前に、今一度段ボールの中身を全部出して、一枚一枚よく確認するべきだった。

 

ボリビア盤LPレコードのジャケット裏面にも、書いてあるではないか。

DISCO ES CULTURA 音盤は文化です(無断複製禁止!)」

 

うっかり処分→業者が廃棄(多分)のコンボは、立派な文化破壊行為だ……

ああ、ワイは、アンデスの貴重な伝統文化の一端をこの世から消してしまった。ピサロと同じ、アンデス文明の破壊者や~😨

 

失くしたのは、コレクションの一部(10枚程度)の話で、この大騒ぎではあるのだが、気付いてから一週間程、立ち直れなかったし、今も思い返すと気持ちがズーンと重くなる。

 

ささやかな罪滅ぼしにとして、死んだ子の歳を数える心境で、私がこの世から消し去ってしまったLPについて感想を書き留め、もって手向けとさせて頂きたい――のだが、例によって、ダラダラ長くなったので、失くした音盤個々の話は、次回にする。

 

ちなみに、本稿を書いている間に初めて気づいたのだが、レコード会社によって、「DISCO ES CULTURA」のロゴデザインが違っているの、皆さんご存じでしたか?

 

まず最大手のLyra(DISCOLANDIA)

 

次にLAURO

 

それからHERIBA

 

こういうものは、業界団体が統一ロゴを決めて、キャンペーンを張っているものと勝手に思い込んでいたが、レコード会社ごとの取り組みなのだろうか。

リリース点数の少ない、Campo、M&S Records、Prodiscoでは、手持ちのをパッと見た限りでは、ロゴ記載が無かった(だから早々に姿を消したのだろうか…)。■