昨年1年間は日本の人事制度(Human Resource)には激震が走った年でした。

 

1、経産省による「人材競争力強化のための9つの提言」の発表、

2、一経団連による終身雇用制と新卒通年採用化への言及

そして、

3、働き方改革関連法の施行。

 

これを踏まえたうえで今年度のキーワードについて振り返ってみる。

 

終身雇用制崩壊

経団連による終身雇用制が維持困難だという言及は、日本の人事制度の完全崩壊を意味します。日本の人事制度の長年の特徴だった年功序列、職能資格制度、そして終身雇用制。これらほとんどが終わりを迎えつつあります。残るのは企業内労働組合。企業よりも個人が強い時代である現代社会では、労働組合も今後、役割を終える可能性が高いでしょう。

 

働き方改革

昨年、大企業に対して「働き方改革関連法」が施行され、そして今年4月には中小企業にも同法が適用されます。これにより「働き方改革」は一巡すると考えられます。次に来るのは時間労働から成果労働、価値労働への転換です。高齢化や人材不足による人件費高騰により、定型業務はRPAや外国人労働者に置き換わっていくでしょう。そして日本人は、専門性や難易度、人間性が高い仕事へ徐々にシフトしていくでしょう。実際にアメリカでは、高い人件費に見合わない事務などの定型業務がどんどんなくなってきています。

完全雇用状態
総務省は今年10月に発表した労働力調査で「完全雇用に近い状態にある」という見方を示しました。2019年8月の完全失業率は2.2%で、景気要因による失業はゼロという状態にあります。働きたい人はどこかの企業で働いている状態のため、人材不足を補うためには他の企業から人材を引き抜く必要があります。今後は定年退職者の増加に伴い、欠員補充のための人材獲得が激化すると予想されます。

 

こうしてキーワードを振り返ってみると、人事にインパクトが大きいものばかり並びます。

まさに2019年は日本の人事にとって大きなターニングポイントでした。日本の人事制度の特徴である「横並び」「一律」「一括」というキーワードはなくなりつつあります。

かわって今後は、「個別」「優秀者優遇」「自社固有」というキーワードが強くなるでしょう。

つまり他社の真似をしてきた日本企業の人事は、これまでのやり方が通用しなくなることを意味します。

まさに人事大競争時代の幕開けです。

 

(参考記事)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58983