【11月1日投開票】特別区設置協定書紹介2・特別区の概要【都構想住民投票】
今回は特別区設置協定書紹介第2弾です。
1.なぜ、特別区制度が必要なのか
2.特別区設置協定書の概要
3.特別区設置に伴うコスト、財政シミュレーション
4.Q&A
「「特別設置協定書」について(説明パンフレット)」は以下からダウンロードできます。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000513378.html
今回は上記資料のP15~P32までを扱います。
(P32のコストの話は別枠で扱います)
<主なポイント>(P15、16)
1.広域機能一元化による大阪の成長(二重行政解消)
a.広域機能を府に一元化する事で二重行政を制度的に解消
b.大阪全体の成長や安全・安心は大阪府が、住民に身近な事務は特別区が担当
c.役割分担に応じて、大阪市の広域的な事務に必要な人員、財源を大阪府へ移転
※大阪府に配分される財源は、現在大阪市が担っている広域的な役割の事務に使われる
(他地域に流用されない)
d.意思決定のスピード化
⇒広域機能についての議論も、大阪府議会と大阪市議会それぞれで行われていたものが、大阪府議会に一元化される。
2.住民に身近なサービスの充実(大阪市再編)
a.大阪の特別区は東京の特別区より幅広く住民に身近な事務を実施
・特別区の事務は、中核市並みを基本とし、住民に身近なサービスを実施。
※中核市…人口20万人以上の市。大阪では豊中市・吹田市・東大阪市などが該当。
保健所や保育所の設置などが出来る。
b.大阪市が実施してきた特色ある住民サービスは維持。
特別区の設置から10年間は、特別区への財源配分をより充実
・現在の住民サービスは維持。(敬老パス・塾代助成・こども医療費助成など)
・特別区間の財政格差を是正。
・特別区の設置から10年間は、各年度20億円を特別加算するなど、特別区への財源配分を充実し、
住民サービスをより安定的に提供できるようにする。
c.現在の区役所で窓口サービスなどを引き続き実施(区役所は現在の名称のまま)
d.区数は財政基盤の安定化に配慮して4区。区割りは各特別区の財政・人口の均衡等を考慮
e.特別区の設置は2025年1月。十分な準備期間を確保
<区割り>P18~22
1.淀川区
a.此花区、港区、西淀川区、淀川区、東淀川区
b.本庁舎:現淀川区役所
c.人口(H27):595,912人
d.区議会議員の定数:18人
e.総生産額(H28):2兆5,099億円
2.北区
a.北区、都島区、福島区、東成区、旭区、城東区、鶴見区
b.本庁舎:現大阪市本庁舎
c.人口(H27):749,303人
d.区議会議員の定数:23人
e.総生産額(H28):6兆0,888億円
3.中央区
a.中央区、西区、大正区、浪速区、住之江区、住吉区、西成区
b.本庁舎:現中央区役所
c.人口(H27):709,516人
d.区議会議員の定数:23人
e.総生産額(H28):9兆1,994億円
4.天王寺区
a.天王寺区、生野区、阿倍野区、東住吉区、平野区
b.本庁舎:現天王寺区役所
c.人口(H27):636,454人
d.区議会議員の定数:19人
e.総生産額:1兆1,228億円
<地域自治区・区役所・地域協議会>(P23)
・現在の24区単位で地域自治区を設置し、地域コミュニティを維持
・現在の区役所(地域自治区の事務所)で窓口サービス、保健福祉センターの事務、地域活動支援などを引き続き実施。
※特別区の主たる事務所は区役所と区別するため、○○区本庁舎と呼ぶ
・区役所は現在の名称のまま。
・地域住民の意見を区政に反映させるため、各地域自治区に地域協議会を設置。
<町の名称>(P24)
・取扱いルール(案)を元に、住民の意見を聞く。
・特別区の設置の日までの間に住民の意見を踏まえて大阪市長が定める。
取扱いルール(案)
・新たに設置する特別区の名称と現在の町名の間に、現在の行政区名を挿入
(例)大阪府大阪市東成区大今里南…
⇒大阪府北区東成大今里南…
※但し、例外も存在する。
(例)・北区等、特別区名と同一となる区は挿入しない。
・方位と混同されやすい西区は挿入しない。
・行政区名と町名が連続する場合も挿入しない。
<特別区と大阪府の事務分担>(P25、26)
1.大阪府
大阪全体の成長、都市の発展、安全・安心に関わる事務
(既存から継続)
・救急医療対策
・市町村への支援・連絡調整
・職業能力開発
・警察
(府に一元化)
・都市経営(成長戦略、グランドデザイン)
・都市魅力(観光・博物館・美術館)
・広域的なまちづくり(都市再生特別地区、用途地域など)
・広域的な交通基盤整備(鉄道、高速道路、国道・府道、空港など)
・大規模な公園(大阪城公園、天王寺公園、鶴見緑地など)
・港湾、下水道
・産業(成長分野の企業支援、卸売市場)
・健康(病院・精神保健福祉センター)
・教育(高校、大学)
(市から移管)
・消防
・水道
2.特別区
住民に身近な事務
(市から承継)
・住民生活(戸籍、住民基本台帳、印鑑登録、パスポート交付、地域振興、地域のスポーツ施設)
・福祉・健康(保育、子育て支援、児童相談所、生活保護、高齢者福祉、障がい者福祉、保健所・保健センター)
・まちづくり(地域のまちづくり(景観地区・地区計画)、区道、地域の公園、区営住宅)
・産業(地域の企業支援(商店街など))
・防災
・環境(環境監視、ごみ収集・輸送)
・教育(幼稚園、小学校、中学校)
<税源の配分・財政の調整>(P27,28)
・特別区と大阪府の事務分担に応じて財源を配分。
・特別区の設置から10年間は、特別区の財源配分をより充実。
・各特別区には、各区の収支不均衡を是正できるよう、財源を配分
・財源の配分は、大阪府に特別会計(専門の会計)を設け、透明性を確保します。
※大阪市の財源が大阪市域以外に使われるのではないかという反対派の声に配慮した形。
大阪市域外で使われるようならすぐに分かるような仕組みが設けられます。
市民が監視する事で大阪市の財源が大阪市外に流用されないようにする仕組みです。
(税源配分)
大阪府…法人市民税、固定資産税、特別土地保有税、都市計画税、事業所税
広域的な事務
427事務、必要財源約2,000億円
財政調整財源(大阪府分):約1,000億円(大阪府が徴収)
目的税(大阪府分) :約 400億円(大阪府が徴収)
大阪府に移転する財源 :約 600億円(地方財政制度により大阪府に移転)※地方譲与税、宝くじ収益金など
特別区…個人市民税、市たばこ税、軽自動車税、入湯税
住民に身近な事務
2,505事務、必要財源約6,500億円
自主財源 :約2,500億円(特別区が徴収)
目的税交付金 :約 400億円(大阪府が徴収、配分)
財政調整交付金:約3,600億円(大阪府が徴収、配分)
※特別区ごとで収入に大きな差が出ないように配分
(財政調整の基本的な考え方)
・特別区の設置から10年間は特別区に対して追加的な財源(各年度20億円)を配分
・特別区の設置までに大阪市立の高校の府への移管が行われた場合、その影響額を勘案した財源(各年度17億円)を
特別区に対して配分。
・特別区間の税源や行政需要(生活保護費など)の偏在による収支不均衡を是正できるよう、各特別区に財源を配分
・財源の配分は、大阪府に特別会計(専門の会計)を設け、透明性を確保
・大阪府に配分される財源は、現在大阪市が担っている広域的な役割の事務に使われていることを公表。
<大阪市の財産・債務の取扱い>(P29)
・事務分担などを踏まえて財産・債務を承継
・株式・基金などの財産は、特別区への承継を基本とし、大阪府が処理する事務に密接不可分なものに限って大阪府が承継
・発行済みの大阪市債は、大阪府に一元化して承継し、償還する事を基本とする。
(償還費用は特別区と大阪府が財政調整財源等で負担)
1.住民サービスに必要な財産の取り扱い
a.特別区
幼稚園、小・中学校、保健所、市営住宅、市道、住民に身近な公園などの土地・建物・工作物、
これらに付随する備品・事務機器など
b.一部事務組合
中央体育館、斎場など
c.大阪府
府道、大規模な公園、インテックス大阪等の土地・建物・工作物、
これらに付随する備品・事務機器など
2.株式や基金等の取扱い
a.特別区
株式等…関西電力(株)株式、大阪市高速電気軌道(株)株式、財団法人への出資・出損など
債権 …災害援護貸付金、大阪外環状線(株)貸付金など
基金 …大阪市教育振興基金、大阪市社会福祉振興基金など
b.大阪府
株式等…港湾、空港、高速道路事業に関連する株式・出資金など
再建 …大学、港湾、空港、高速道路事業に関する貸付金など
基金 …公債費償還基金など
※大阪府が承継する財産は、事業が終了した後、その取扱いについて特別区へ引き継ぐ事を基本に
大阪府・特別区協議会(仮称)で協議。
<職員の移管>(P30)
特別区と大阪府の事務分担に応じて職員を配置。
(現状)
大阪市、約35,300人
↓
(特別区設置後)
特別区等、約15,800人
淀川区 :約2,400人
北区 :約2,800人
中央区 :約3,100人
天王寺区 :約2,600人
大阪府 、約19,500人
知事部局等 :約1,700人
消防 :約3,500人
水道、高校、その他:約14,300人
<一部事務組合等>(P31)
・特別区が担う事務は、各特別区で実施する事が原則。
・公平性や効率性、専門性が特に必要な事務については、一部事務組合などにより特別区が共同して行う。
※一部事務組合…複数の地方公共団体が、事務を共同して処理するために設ける団体
(一部事務組合で実施する事務)
・介護保険事業
・民間の児童養護施設等の所管
・システム管理
・施設管理
・財産管理
※現在、大阪市が構成団体となっている一部事務組合等については、引き続き特別区が構成団体となって事務を行う。
(水防事務組合、環境施設組合など)
<大阪府・特別区協議会(仮称)>(P31)
特別区と大阪府、特別区相互間の連絡調整を図るために設置。
1.基本メンバー
各特別区長、大阪府知事の5人
2.協議事項
a.特別区と大阪府の事務に必要な財源の配分
b.財産・債務に関する事
c.特別区と大阪府の事務の分担に関する事
など
※特別区重視の仕組みを構築
※協議が不調となった場合には、第三者機関が双方の意見を聴いたうえで調停を行う。
<特別区設置の日>(P32)
2025年1月1日
以上。
次はいよいよ今回の住民投票の主な争点となっている(?)特別区設置のコストについて触れていきます。