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【11月1日投開票】特別区設置協定書紹介・なぜ、特別区制度が必要なのか【都構想住民投票】
先ほど書いた記事で、特別区設置協定書の内容紹介をすると書きました。
今回はその1回目です。
以下4回に分けて内容を紹介したいと思います。
1.なぜ、特別区制度が必要なのか
2.特別区設置協定書の概要
3.特別区設置に伴うコスト、財政シミュレーション
4.Q&A
元となる「「特別設置協定書」について(説明パンフレット)」は以下からダウンロードできます。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000513378.html
では早速中身の紹介に入っていきます。
尚、前回(2015年)の住民投票の際にもいわゆる都構想の特集記事は書いていますので、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。
さて、このパンフレットですが、実際の中身の説明はP3以降からです。
今回の記事では、P3~P14までを取り扱います。
P3,4 …特別区設置協定書(いわゆる大阪都構想)のイメージ
P5,6 …なぜ特別区制度が必要なのか
P7~10…特別区制度の意義・効果①(二重行政解消)
P11~14…特別区制度の意義・効果②(住民に身近なサービスを充実)
まず、P3,4。
特別区設置協定書で意図しているのは二つ。
1.現在、大阪府と大阪市でそれぞれ担っている広域機能(成長戦略・観光・港湾・インフラ整備など)について、大阪府に一本化し、大阪府と大阪市の二重行政を解消する事。
2.現在270万人の大阪市を4つの特別区に再編し、4つの特別区ごとに地域の実情やニーズに応じた住民サービスを提供。
では、なぜこんな事が必要なのか。その説明がP5,P6にあります。
今、大阪が直面している現状として、以下が挙げられます。
・東京一極集中により、大阪は経済活動の全国シェアの低下や、所得・税収の伸び悩みなど、長期にわたって低落傾向。
・人口減少・超高齢社会は3大都市圏の中でいち早く到来する見込み。
⇒生産年齢人口が減少するという事は、成長がなければ税収の確保が困難⇒住民サービス低下
⇒高齢化が進むという事は、社会保障経費は増加⇒税収が増えなければ、やはり住民サービス低下へ
・社会環境の変化による、地域コミュニティの弱体化、複雑多様化する地域課題への対応
・新型コロナウイルス感染症や大規模災害など、危機事象への備え
これらを解消するためには、大阪が成長し、豊かな住民生活が実現できる大都市の仕組みが必要です。
そのために大阪維新の会が結成され、知事・市長選挙を勝ち抜き、知事・市長が連携する事で、一定の成果を挙げてきました。
しかし、今はたまたま知事・市長が維新(同一政党)という奇跡的な状況のため連携できていますが、どちらかが考え方の異なる勢力の首長になってしまった途端、かつての国会の「ねじれ国会」(衆議院と参議院の多数政党が異なる事で、物事が進みにくくなる現象)のように、物事が進みにくくなり、結果成長が遅くなってしまいます。
そうならないように、制度的に二重行政が発生しないようにしようという訳です。
都道府県と政令市による二重行政の弊害については日経新聞でも特集されています。
富の配分や「二重行政」課題 道府県の関与どこまで
2020/10/24付※有料記事
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65398330T21C20A0M13300/
結局、二重行政の何がいけないのかというと、以下のためです。
・「大阪市は市域内」「大阪府は市域外」という役割分担が固定化
⇒大阪トータルでの成長戦略が打ち出せない。
(例えば広域交通インフラ整備が遅れる…高速道路・淀川左岸線延伸部、なにわ筋線)
では、どうするか、それが今回の協定書です。
1.広域機能は大阪府に一本化し、二重行政を解消
⇒意思決定がスピーディーに。大阪トータルの視点で強力に推進
2.大阪市を4つの特別区に再編し、住民自治を拡充
⇒区長・区議会議員は選挙で選ばれ、住民に身近な住民サービスに専念。
この1、2の効果を説明したものがP7以降に書かれています。
広域機能一元化は、実は既に吉村知事・松井市長間で行われています。「バーチャル都構想」と呼ばれています。
その成果がP7~10に書かれています。
例えば、二重行政の弊害で触れたなにわ筋線についても、2019年に新規事業化されています。
淀川左岸線延伸部も2017年に事業化されています。
1.広域機能一元化の効果
a.成長戦略の推進
・G20大阪サミットの開催 など
b.類似施設の統合
・研究機関等の統合(2017年)
・公立大学統合(2022年目標) など
⇒二重行政解消等で生み出された財政的効果は1,994億円
c.府市財政の改善
・法人府民税、法人事業税(2010~18年)
⇒1,790億円増(1.7倍)
・法人市民税(2010から2018年)
⇒307億円増(1.3倍)
・財政調整基金(2011~2019年)
⇒(府)1,000億円を超え増加傾向
(市)基金造成以降
1,000億円超の積立額
P11~14では、大阪市を4つの特別区に再編する事の効果が書かれています。
まず、なぜ270万人の大阪市ではだめなのか。
例えば、我が東成区選出の海老沢由紀市議は教育委員会について、以下の質疑を行っています。
教育子ども委員会「教育委員会事務局の4ブロック化等」についての質疑
https://ebisawayuki.jp/gikai/4block/
大阪市は幼稚園、小中高をあわせると500校を超える学校を抱えるのに対し、教育委員会は教育長+教育委員5人のみ。
まぁ実務は事務局が担うにしても、余りに貧弱な体制と言わざるを得ません。
今でも松井市長の下で事務局の4ブロック化を推進して、きめ細かな学校支援を行う動きがあるようですが、これって要は都構想の先取りですよね。
それに、270万人もいると、ニーズも270万通りになる訳で、それぞれのニーズに一人の市長で応えるには限界があります。
では、4つの特別区に再編されるとどうなるか。P13,14に書かれています。
2.4つの特別区に再編する事の効果
a.4つの特別区にそれぞれ児童相談所が設置
※現在は大阪市内に2か所しかなく、2026年までにあと2か所設置予定
b.4つの特別区に保健所が設置され、きめ細やかな感染症対策等を実施
※現在は大阪市内に1か所の保健所と24行政区に保健センターを設置
⇒各特別区に保健所を設置し、各地域自治区(=今の行政区)に保健センターを設置
※保険所が増える事になり、コロナ対策にも有効
c.4つの特別区に教育委員会が設置される。
※1つの教育委員会が約420の小・中学校を管理・運営
⇒各特別区の教育委員会が管理・運営する小・中学校は約90~110校に
⇒きめ細かい学校サポート体制を確立
d.災害対策
※今は市長一人で270万人の安全に責任を持つ
⇒特別区長が市域より目の届きやすい区域で60~75万人の安全に責任を持つ
⇒より迅速に・きめ細かく、応急対策などを実施
以上、なぜ特別区制度が必要なのか、でした。
次の記事では、特別区設置協定書の概要という事で、具体的な制度の中身について触れていきます。