先日のNHK「日曜美術館」は棟方志功を取り上げていました。

あ、と思ったのは「狩場明神」を詠った吉井勇の歌、

〝 夕されば狩場明神あらわれむ山深うして犬の聲する 〟です。

狼の上で狐が踊っているこの版画「狐狼の柵」は、

吉井勇の歌に想を得た「流離抄版画巻」の中の一つだとか。

ネットで確認すれば、彩色したものもありますが、

この白黒のものが好ましい気がします。

 

狩場明神は高野山の地主神、白黒二匹の犬を連れた狩人の姿をして、

弘法大師空海の前に現れ、高野山への道案内をするのですから、

なぜ、狐と狼なのという素朴な疑問がわくのですが、

「そのまま犬を彫っても、いずいだべ」と言ったかもしれず、

棟方志功の独創性と捉えましょうか。

(画像はネットからお借りしました)

 

先日、立ち寄った河内長野市の青賀原神社の由緒書には、

九つの頭の蛇に襲われた空海を、狩場明神が現れ大蛇を退治したとありました。

日曜美術館とシンクロした狩場明神です。

 

 

 

そうそう、昔からなぜかたった一つ覚えている吉井勇の歌があります。

〝 かにかくに祇園はこひし寐るときも枕のしたを水のながるる 〟

どちらの歌も、「かにかくに」「夕されば」と一呼吸あって、

イメージしやすく覚えやすい歌です。

 

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