ランチャスター経営の栢野さんの教材DVDです。


 感動しました…


 何て的を得た映画でしょうか。


 1988年制作で、株式会社ローヤルが作成したようですが、商売の本質は、今も昔も変わらないのだと痛感しました。


 ネタバレになるので、詳細は言いませんが、13歳の後継ぎのボンボンが、鍋蓋を売る話です。


 私も、20代半ばからは、簿記講師をしながら、食えない分はいろんな仕事をしました。

 

 特に、25歳で士塾という簿記教室を創業すると決めたときから、「社長になるためには、営業経験は必須だ。20代のうちに、営業の修業をしよう!」と思っていましたので、健康食品の販売代理店になり、飛び込み営業も経験しました。


 キトサンやヒアルロン酸を売っていたのですが、これが全く売れない。


 薬屋やら、マンションやらに飛び込み営業しましたが、半年間は全く売れませんでした。


 しかも、固定給なしの完全歩合制。


 毎日毎日、朝早くから夜遅くまで、あらゆる所に売りに行きましたが、全く相手にされませんでした。


 私自身、「こんな商品買う人いるの?」と半信半疑でしたので、売れる訳ありません。


 そこで、まずは商品研究を徹底的にしました。


 キトサンが蟹から取れたり、ヒアルロン酸が鶏のトサカから取れることすら知らず、売ろうとしていた訳です。


 商品を調べれば調べるほど、すごい商品だとわかり、少しづつ商品の良さがわかり始めました。


 すると不思議なものです。


 あれほど商品説明で後ろめたさがあったのに、自信を持って商品説明できるようになりました。


 営業の師匠のKさんから、現場での営業トークも、メモを取りながら、自宅に帰って清書し、「営業トークノート」も作り、徹底的に勉強させていただきました。


 部屋で壁に向かって100回以上同じセリフのプレゼンする練習を、自分に課しました。


 プライドが服を着て歩いているような私でしたが、営業に関してはド素人だったので、プライドを捨てて、Kさんの言うとおり営業活動をがんばりました。


 毎日30回以上の電話でのホウレンソウは当たり前。


 やらなければ、容赦なく叱られますが、親以外に叱られた経験のあまりない私にとって、私に嫌われる覚悟で叱ってくれたKさんの存在は、本当にありがたかったです。


 Kさんの丁稚奉公もさせていただき、Kさんと一日中お伴できる日は、ほぼ24時間張り付きの状態で、Kさんのプロの営業ノウハウを徹底的に盗みました。


 でも、いつもあと一歩の所で売れません。


 岐阜の路地を歩きながら、「売れる日なんて、来るのか?これからずっと1本も売れなかったら、簿記教室も創業できないかもな…公認会計士にもあと一歩及ばず、営業も全く駄目で極貧のフリーター状態。何やってんだ、俺は…他のことはどうでもいい。この営業だけは、小さくてもいいから成功したい!」と、泣くのを堪えて、時には裏路地で泣きながら、悩み考えていました。


 そんな売れない日続き、それでも諦めずに営業活動をし続けた半年後のある日、いつものように飛び込み営業をして、店主と会話をしていました。


 その会話の中で、私が実は簿記講師もをしているという話になったら、「そうなの?少しだけ簿記を教えてくれるかしら?」という話になり、3回くらい通うようになりました。


 そこのお店は、旦那さんが早く亡くなってしまい、奥さんがお店を切り盛りしていたのですが、顧問税理士等と少し会話できるように、簿記もある程度知らないといけない状況のようでした。


 もちろん、簿記の全てを教える訳にはいきませんが、入門の入門くらいならすぐ終わるので、私は教えました。


 その時は、商品を売ろうなんて考えていませんでした。


 ただひたすら、その奥さんのために、何かできることはないかと必死でした。


 そして、確か2~3回通ったときです。


 奥さんが、「私もキトサンを飲んでみようかしら?」と言ったのです!


 初めて売れた1本でした。


 1本売るのに、半年かかりました。


 しかし、この時の感動は、今でも忘れません。


 私は、「そうか、自分の都合で売ってはいけない。お客さんの立場に立って、どうすればお客さんに役に立つのかを考えなければならないんだ。これからは、この商品を欲する人にたくさん出会い、臆することなく説明しよう。」と考えました。


 そう考えた瞬間から、売れる、売れる。


 早いときは、5秒の会話の中で数万円分売ってました。


 全く売れなかった半年間が嘘のように、バンバン売れるようになりました。


 今思えば当たり前です。


 その商品を欲する人だけを探し、その人だけに説明するだけですから、売れます。


 その商品をリピートしてくれる人が出てくると、ご紹介もいただきました。


 まさに、類は類を呼び、私の商品を欲する人は、その商品を欲する人と友達なんです。


 或る程度、営業の自信がついた私は、32歳で、最も自信のある商品である「簿記」を売ることにし、今日に至ります。


 この私の営業修業を「鍋蓋」に置き換えたのが、件名の映画であり、少年が初めて鍋蓋を売ったときには、自分と投射して、涙がでそうなくらい感動しました。


 と同時に、先ほど、自分の早起きのために、早朝簿記講座をやろうなどと考えていた自分が、急に恥ずかしくなりました。


 商売の原点を忘れていました。


 近江商人の考え方を忘れていました。


 私のような凡人は、調子がいいと、すぐ調子に乗るので、駄目ですね。


 常に商売の原点を確認しないと。


 それに気付かせてくれた、栢野さんの教材DVD。


 私に営業の基礎の基礎を教えてくれたKさん。


 そして、私の商品を買ってくれたお客さんと、過去・現在・将来の塾生。


 心の底から、感謝です!


 ありがとうございました!!