高橋源一郎の新刊(2024.2.29刊)

 

さて、はて。先日、高橋源一郎の『ぼくらの戦争なんだぜ』とアンデシュ・ハンセンというスウェーデンの精神科医の『メンタル脳』を読んだ。一応どちらも新書サイズであるがおよそ新書らしくない。『メンタル脳』なんかは読書が好きという人であれば一時間以内に読めるようなものだと思う。そこを期待して買ったのだからいいのだけれど。

要は、人間の脳は原始時代からあまりアップデートされておらず、携帯のアラート音や自動車の荒い運転、病気や人間関係の不和などをいちいち命の危険=高ストレスに感じてしまう現代人の(苦)悩に対する処方箋を考える、といったような本だ。脳は賢いが、意外に単純でもあるのだ。そういうことが知れただけでも良かったかな。ただこれだと、養老孟司の本を読んでいた方がよかった気もする。

 

高橋源一郎からは日々影響を受けている。小説家としても面白いし、何よりエラいんだ、この人は。日本文学の行く末を何よりも、作家として永らく過ごしてきた身として責任感を背負って、それでも愉しく真面目に活動している。初期はあんなにデタラメな(最大限に褒めてます)小説を書いていたのに。どんな人が、日本文学を担うような大きな作家になるか、まったく分からないものですね。

 

三月になったが、今年は日本の戦後文学を中心軸に読みたいと思ったのだった。特に吉行淳之介や安岡章太郎、小島信夫、庄野潤三、遠藤周作といった「第三の新人」の小説群(大量に積読された哀れなるものたち)。他にも、大岡昇平、福永武彦、辻邦生、小川国夫、倉橋由美子、武田泰淳&宮本百合子などなど、たくさん古本を所持しているので、積読を崩してドップリ戦後のドロドロネチネチした小説に浸かってみたい。今年はそういう、日本文学ターンの時期にしてみたい(少なくとも上半期は)。

 

海外小説は控えめでいくか。いまんところ、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの傑作小説『半分のぼった黄色い太陽』を半分で止めてしまっている。あまりにも面白く凄くて……天才だな、この作家はと思った。文章の硬質性とかではなく、物語の構成力がすごい。ものすごく細かいところにもフォーカスをあてられるのに、なんだかナイジェリア社会全体を俯瞰しているようなアディーチェの細やかさが伺える。「傑作小説」といってしまったが読み終わった頃には「最高傑作」なんて言っているかもしれない(他にアディーチェ読んだことない癖に)。

あと、ゾラの『ナナ』と『ジェルミナール』が僕を待ち受けている。ナナはまだ読み始めたところでストップかけているが、ゾラ面白すぎね? まぁ、ゾラ、それから『半分のぼった黄色い太陽』くらい重厚な小説をあと一つくらい読めたら上半期はそれでバンバンザイだな。あと三か月しかないし……

 

困ったのは、人文系である。これは目標を立てたい。

1,柄谷行人『力と交換様式』を通読する

2,東浩紀『訂正可能性の哲学』を通読する

3,中沢新一の『レンマ学』か、それに準ずるような大澤真幸や鷲田清一の評論を一冊読む。

4,人類学の読書を少しでもいいから進める

5,新書をあと2冊読む

 

こんなことを箇条書きで書いていくと、とても三か月では無理な気がする。小説に6割、それ以外に4割の重心で読書を進めたいので、基本的には小説読みが楽しみだが、積みに積んだ人文書をどうにかしてあげたい。知識と教養にも繋がるように。

 

一応、月ごとに最低限の目標を決めるか。今月は……どうしよう(おい)

 

寝ます(';')