超季節外れのクリスマスネタSSです。
多分ルヴェイル中心、でまわっているとは思います。
雪が降りしきる廃寺で、彼は一人ぼんやりと立っていた。
海と、エイジス島と、月が見える場所。静かな廃れた寺、風の音、冷たさ、吹雪。
月は青白い光を放って、その光が彼を照らす。
ルヴェイルは一人、ただそこに立っていた。
任務はとっくに終わった。彼の側には大型のアラガミが朽ち果てている。
だが彼はすぐに帰ることなく、月に目を奪われたかのように、ぼんやりと目の前にある光景を見つめていた。
彼は廃寺に来ると、いつも足を止めてしまう。
記憶が戻り、しばらくしてずっと。
北欧の、幼い頃の記憶。それが彼の足を止めるように促すのだ。
風の冷たさも、雪の感触や月明かりに照らされて光る雪も。
気付けば21年もこの世に存在していた。生きていた。
これからも命の危険にさらされながら、生きていく。
これからもこの記憶や力と戦いながら、生きていく。
辛くなどない、それが定め。
自分で決めたわけでもない、勝手に決められた運命。
だが、戦う事を決めたのは自分自身であって、存在意義に気付けてから、この命を投げ出すつもりはない。
「………」
彼は沈黙したままだった。
じっと景色を見つめていた瞳を閉じ、風の音に耳をすませた。
記憶を辿る。雪の中で一人立っている幼いころの自分が側にいるような気がした。
ときに記憶は呪縛のように自分を縛りつけているような気がする。
ずっと側にあるものであり、消し去れない記憶。
しばらくして、彼の通信機器が鳴り響いた。
誰からかは分かっていた。
「…こちらルヴェイ…」
『遅い!何やってんねんドアホ!!』
案の定、あいつからだった。
『ええ加減にしぃや!はよ帰ってこんから心配したんやで!?』
「…うるさい。お前は少しは静かに出来ないのか…」
『そんなんどうでもええねんて!それより今日クリスマスやでクリスマス!』
彼はぼんやりと聞き流すつもりだったが"たったの六文字"が記憶を蘇らせる。
過去の記憶が、また自分を縛りつけようとしてくる。
そいつと格闘しつつ、返事を返した。
「あぁ、そんなものもあったな」
『あんた、ほんまイベント事とか疎いんやな…とりあえずはよ帰ってきてや。みんな待っとるで』
返事を返しつつ、過去の記憶が目の前に映像化されていた。
暖かい部屋に、暖炉、母親と父親の姿。テーブルに並ぶ食べ物。ケーキ。
幻聴も聞えてくる。笑い声と、幸せそうな談笑。
やめてくれ、と彼は思っていた。
実験体として扱われていた記憶は思い出したくなかった。
だが過去の、温かい記憶も思い出したくない部類に入っていた。
『…あれ、返事ない…ルヴェイル?どないしたん?』
「………なんでもない」
思い出したくない、やめてくれ、やめてくれ…
気付けば、涙が流れていた。
『なんか、声震えてるような気ぃするねんけど…』
「うるさい、寒いだけだ」
『ちょ、あんたまだ廃寺におるんかいな!そりゃ寒いわ…ぼさっとせんとはよ帰ってこいアホ!』
それを最後に、ブツッと通信が切れた。
また、辺りに静寂が戻った。
温かい記憶を思い出すと、涙が溢れそうになるため、彼は思い出したくなかった。
「…いい歳して、泣くとは…」
記憶が戻ってからは感情が少しは表情に出たりする様にはなってきた。
今まで閉じ込めていたものがやっと解き放たれた気がしたが、ある意味厄介だった。
感情があふれ出るということが今までになかったせいで、よく戸惑う事が多いのだ。
涙をぬぐい、ふと隣を見るとそこには幼い頃の自分が立っていた。
幻覚なのは分かっていたが、その自分はにっこりと笑い、消えていった。
「………」
それが何を意味しているのかよくわからなかったが、幼い頃の自分は何かを伝えたかったのだろうということは分かった。
俺を縛っているのはお前か、と問いかけたくなったがその前に消えてしまった。
とりあえずまたしつこく言われるのが面倒なので、帰ることにした彼はその場を離れようと背を向けた。
「クリスマス…か…」
そう小さな声で呟いて、空を見上げた。
綺麗な、雪の降る夜だった。
―帰投後―
「え、ちょま!それケーキやんかどないしたんルヴェイル!」
「作った」
「へぇーアンタそんな趣味g…(モグモグ)」
「黙って食え。その前に切り分ける前から食うな」
多分ルヴェイル中心、でまわっているとは思います。
雪が降りしきる廃寺で、彼は一人ぼんやりと立っていた。
海と、エイジス島と、月が見える場所。静かな廃れた寺、風の音、冷たさ、吹雪。
月は青白い光を放って、その光が彼を照らす。
ルヴェイルは一人、ただそこに立っていた。
任務はとっくに終わった。彼の側には大型のアラガミが朽ち果てている。
だが彼はすぐに帰ることなく、月に目を奪われたかのように、ぼんやりと目の前にある光景を見つめていた。
彼は廃寺に来ると、いつも足を止めてしまう。
記憶が戻り、しばらくしてずっと。
北欧の、幼い頃の記憶。それが彼の足を止めるように促すのだ。
風の冷たさも、雪の感触や月明かりに照らされて光る雪も。
気付けば21年もこの世に存在していた。生きていた。
これからも命の危険にさらされながら、生きていく。
これからもこの記憶や力と戦いながら、生きていく。
辛くなどない、それが定め。
自分で決めたわけでもない、勝手に決められた運命。
だが、戦う事を決めたのは自分自身であって、存在意義に気付けてから、この命を投げ出すつもりはない。
「………」
彼は沈黙したままだった。
じっと景色を見つめていた瞳を閉じ、風の音に耳をすませた。
記憶を辿る。雪の中で一人立っている幼いころの自分が側にいるような気がした。
ときに記憶は呪縛のように自分を縛りつけているような気がする。
ずっと側にあるものであり、消し去れない記憶。
しばらくして、彼の通信機器が鳴り響いた。
誰からかは分かっていた。
「…こちらルヴェイ…」
『遅い!何やってんねんドアホ!!』
案の定、あいつからだった。
『ええ加減にしぃや!はよ帰ってこんから心配したんやで!?』
「…うるさい。お前は少しは静かに出来ないのか…」
『そんなんどうでもええねんて!それより今日クリスマスやでクリスマス!』
彼はぼんやりと聞き流すつもりだったが"たったの六文字"が記憶を蘇らせる。
過去の記憶が、また自分を縛りつけようとしてくる。
そいつと格闘しつつ、返事を返した。
「あぁ、そんなものもあったな」
『あんた、ほんまイベント事とか疎いんやな…とりあえずはよ帰ってきてや。みんな待っとるで』
返事を返しつつ、過去の記憶が目の前に映像化されていた。
暖かい部屋に、暖炉、母親と父親の姿。テーブルに並ぶ食べ物。ケーキ。
幻聴も聞えてくる。笑い声と、幸せそうな談笑。
やめてくれ、と彼は思っていた。
実験体として扱われていた記憶は思い出したくなかった。
だが過去の、温かい記憶も思い出したくない部類に入っていた。
『…あれ、返事ない…ルヴェイル?どないしたん?』
「………なんでもない」
思い出したくない、やめてくれ、やめてくれ…
気付けば、涙が流れていた。
『なんか、声震えてるような気ぃするねんけど…』
「うるさい、寒いだけだ」
『ちょ、あんたまだ廃寺におるんかいな!そりゃ寒いわ…ぼさっとせんとはよ帰ってこいアホ!』
それを最後に、ブツッと通信が切れた。
また、辺りに静寂が戻った。
温かい記憶を思い出すと、涙が溢れそうになるため、彼は思い出したくなかった。
「…いい歳して、泣くとは…」
記憶が戻ってからは感情が少しは表情に出たりする様にはなってきた。
今まで閉じ込めていたものがやっと解き放たれた気がしたが、ある意味厄介だった。
感情があふれ出るということが今までになかったせいで、よく戸惑う事が多いのだ。
涙をぬぐい、ふと隣を見るとそこには幼い頃の自分が立っていた。
幻覚なのは分かっていたが、その自分はにっこりと笑い、消えていった。
「………」
それが何を意味しているのかよくわからなかったが、幼い頃の自分は何かを伝えたかったのだろうということは分かった。
俺を縛っているのはお前か、と問いかけたくなったがその前に消えてしまった。
とりあえずまたしつこく言われるのが面倒なので、帰ることにした彼はその場を離れようと背を向けた。
「クリスマス…か…」
そう小さな声で呟いて、空を見上げた。
綺麗な、雪の降る夜だった。
―帰投後―
「え、ちょま!それケーキやんかどないしたんルヴェイル!」
「作った」
「へぇーアンタそんな趣味g…(モグモグ)」
「黙って食え。その前に切り分ける前から食うな」