「あんたどうしてここに?」「ルミナさんを探してたら悲鳴が聞こえて、それよりどうして……」さゆりは驚きを隠せなかった、目の前にいるルミナが変わり果てた姿で人間を襲っていた事に。「さあな、だが大罪を犯した死神だ。さっさと連れてってくださいマキス様」「僕に指図しないでくれる格下のくせして」そう言った時ルミナが大きな唸り声をあげて縛っていた鎖を引きちぎる。それを見たマキスとリインが少しだけ顔をしかめるが、リインはすぐに笑みを浮かべて「その力をさっきの戦いに生かせば良いものを」するとさゆり目掛けて襲いかかってきたルミナをリインが強く蹴飛ばしたのを見てさゆりが「やめてリイン!!」と叫びながらルミナに駆け寄る。「ルミナさんしっかりして!!」そう言いながら手を伸ばすと、ルミナがその手を掴んで「……タスケテ……」と呟く。さゆりは襲いてルミナの顔を見るとルミナの目から黒い血が流れていた。さゆりはルミナを抱きしめると「大丈夫だよルミナさん、私が助けてあげるから」「…ウウウ…」するとルミナが唸り声をあげてさゆりを突き飛ばすと刀を抜いて自分の首を切り裂く。黒い血が飛び交う中倒れるルミナを見てさゆりは「イヤアアアアー!!」と叫んで気絶してしまう。マキスはルミナの身体を棺に納めると「では僕はこれで」と言い棺と共に消える。「やっと面倒な事が終わったな」リインがそう言いながらジュリーに看護されているさゆりを見て「少しは自分の立場を考えてほしいね、獲物になる事がどういう事なのかを…」

さゆりは夢の中で目をあけると真っ暗な場所にいた、後ろを向くとルミナが立っているのを見て「ルミナさん無事だったのね!!」ルミナのそばに駆け寄ると「ありがとう、私を助けようとしてくれて…だから今度は何があってもあなたを守るから…これが約束の証よ」ルミナが右手を出してさゆりに黒いクリスタルの欠片を渡す。さゆりはそれを受け取ると涙を流しながら握りしめた。
第5話終わり
リインが歩いていると「お~い見つかったか」とセイが駆け寄ってくる「まだ見つかってない」セイがリインの顔を見つめながら「死神界の連中の言う事は気にするな、ただ楽しんでいるだけだ。自意識過剰な奴らばっかだからな」「気にしてるように見えるか」「全然。だがあいつは気にしていたぜ、密告した張本人だからな。だからあんなに冷たくするんだろう」それを聞いたリインは腕を組みながら「密告の事なんかどうでもいい、あいつがウザイだけだ。口を開けば“ごめんなさい”ばかり言うあいつがな」そう言った時頭上から「おしゃべりしている暇があったら早く私を捕まえなさい」と声が聞こえ上を向くと姫様が屋根に座っていた。「他の死神達はどうした」「誰も捕まえに来ない」「くだらない遊びをするからだ」「お父様の傀儡のくせに」その言葉にリインは一息ついて「遊びは終わりだ、そんなに捕まえてほしければ今すぐ捕まえてあげる」そう言うと指を鳴らす。すると姫様が座っていた場所が崩れて落ちてきたのをセイが受け止める。「捕まえましたよ我が姫君」「そのまま連れて帰りな、セイ」「了解した」そう言い一段落した時だった。「キャアアアアー!!」と悲鳴が聞こえてくる。「何だ?」「さあ」そう言った後リインの前にジェドが現れ「リイン様大変です、ルミナ様が人間を襲って…」リインは目を細めながら「すぐに行く」と言いそこへ向かうとそこには惨劇の光景があった。ルミナが人間の女性を食べていたのだ。気配に気づき振り向いたルミナの表情はさっき会った時とは違い、目は黒く塗りつぶされたかのように染まり耳まで裂けた口は牙を剥き出しにしたまさしく飢えた獣のような姿となっていた。「惨めな姿だな、ルミナ」「どういたしますか、リイン様」「手出しする必要はない、そうでしょうマキス様」するとルミナの後ろにマキスが現れ「そういう事だ」それだけ言うと両手から鎖を出してルミナを縛り上げる。「掟を破った重罪として君には罰を受けてもらう」そう言った時「やめて!!」と叫びながらさゆりが走ってくる。
続く
ホストのような容姿をした男は黒いロン毛をなびかせながら屋根から降りると「もっと穏便にいこうぜ」そう言いながらジュリーの方を見ると「これはこれは美しいお嬢さん、お会いできて光栄です。わたくしホストをしておりますセイと申します。どうぞよろしく」セイがジュリーの前に立つと片膝をついてジュリーの右手を取り口づけをする。「あ、はい」「よろしければ今度店に…」「もういいかしら」リインがセイを睨むように見ている。セイは両手をあげながら立って「相変わらず恐いな~リインは。さてと我らの姫様を探しに行くとしますか」「ジュリーはそいつらを頼む」「分かったわ」ジュリーが白い羽根でできた幕を解くと、中にいたさゆりが少し咳き込みながら周りを見て意味深な表情を浮かべているルミナに目が止まり近くまで行くと「ルミナさんどうかしたの?」と話しかけるがルミナは顔を背けて「ごめんね、今は一人にして」そう言うとさゆりの前から姿を消した。さゆりが心配そうな顔をしているとジュリーがさゆりの肩に手を乗せて「そっとしてあげて、後で一緒に探しに行こう」「うん!」さゆりは嬉しそうに頷いた。
裏路地を歩いていたルミナは頭の中でリインの言葉や死神界の連中の言葉を思い出していた。“役立だず”ルミナはそう言われ続けてきた、感情があるというだけで……。ルミナは拳を握りしめて壁にぶつけると壁に大きな穴が空いた。「随分と乱心しているみたいね」声がした方を向くと離れた位置に姫様が座っていた。「リインの事でしょう、なぜそんなに悩む必要があるのかしら…それとも自分がした事を悔いているのかしら」「……」「確かあの女が異端視される原因となったのはあなたの密告だったわよね」「!!」「あの女が悪魔と密会している事を知ったあなたはお父様に知らせた。その後あの女はあっさりと認め、監視役を連れて死神界を去った。今思えばその行動にも裏があるみたいだけどね」「…」「あなた後悔している反面本当は嬉しかったんじゃないの、自分と同じく異端視される立場の者がいて」「違う…」「でもあの女とあなたは違った。どんなに異端視されててもあの女につく者はいたからね、だからあなたは…」「違う!」ルミナは頭を抱えながら首を振った。姫様はクスッと笑うと「そんな邪魔な感情なくしちゃえばいいのに、それとも壊してあげようか~壊すのって楽しいのよね」そう言うと姫様が口から黒い塊を出すとその塊がルミナの両目と口に少しずつ入り込んでいく。ルミナが苦しむ姿を姫様は笑いながら見ていた。
続く