エルトンバローズでいいのか

2023年勝ち馬　セルバーグ

昨年やっと本来の中京マイルに戻ったのに、今年はまた小倉の1800mでの中京記念になる。左回りで直線坂の中京マイルと右回りで平坦の小倉千八ではかなり違いがあるが、まずは登録全馬の前走を中心に事前検討してみたい。

＜登録16頭：フルゲート16頭＞

　登録全馬出走可能

パート１はエプソムＣほかＧ３戦組、米子Ｓほかリステッド組を見て行きたい。

◆アルナシーム　(57kg)

＜前走＞エプソムカップ５着：

Ｃコース３週目でやや外側が有利な馬場の外枠から早めに前に取り付いての先行策。末脚も伸ばしてはいるが、伸びきれなかったのは馬場かもしれないが力不足も否めない。２走前の都大路Ｓでは中団から追い上げるも先行したセオの影も踏めず、４走前の小倉大賞典では前で競馬をして逃げたセルバーグを捕まえきれず、後続に差されたように、脚を溜めると切れるが届かないし、前でレースをすると末脚が甘くなる。

したがって、重賞を勝ち切るにはワンパンチ足らず、好走には馬場や展開の助けが必要と認識すべきである。

◆セルバーグ　(57kg)

＜前走＞エプソムカップ７着：

やや外側が有利な馬場の大外枠ではあったが、果敢にハナを切って逃げるも差されてしまった。ただ、馬場の悪い内側を通っての逃げで、馬場のいい３分どころに持ち出して３着のシルトホルンと0.1秒差なら着順ほど悪い内容ではない。また、３走前の小倉大賞典では最後にエピファニー、ロングランに差されてしまったがアルナシーム、フェーングロッテンらを抑えて３着を確保しているように、すんなり単騎で逃げるとしぶとい。

したがって、内側が有利な馬場や先行馬有利な展開になるようであれば、粘り込みにも注意を払うべきである。

◆タガノパッション　(53kg)

＜前走＞マーメイドステークス15着：

Ｄコース替わりも、雨上がりの分だけ若干内側が先に乾いたとはいえほぼフラットな軽い馬場で、中団から好位の外めを回らされたとはいえ負け過ぎである。一方、４走前の小倉開催の愛知杯ではやや内側が有利な馬場で中団の内側で脚を溜めて直線だけ外に出して差して２着したが、馬場と53kgのハンデに恵まれたもので着順ほどレース内容としての価値は高くない。

したがって、53kgの斤量でも牡馬との混合戦であることを考慮すれば、当馬に高い評価は不要である。

◆ニホンピロキーフ　(56.5kg)

＜前走＞鳴尾記念12着：

内外ほぼフラットな軽くて時計の出る馬場で、好位の外め追走も終始外を回らされ直線でも不利があったのは確かだが、追えなくなるほどのものではなく結果として離されてしまっており力負けである。それでもこの中京記念のメンバーよりはレベルが高かった。２走前にはソウルラッシュ、セリフォスの２強以外は手薄なメンバーのマイル戦だったとはいえ、２強とほぼ同じ位置からしぶとく伸びて３着を確保している。但し、この日は稍重馬場で時計のかかる馬場状態だった。

したがって、スピード優先の軽い馬場ではスピード不足を露呈しており、鳴尾記念以前の2000m戦で６戦して１度も２分を切ったことがないし、小倉の1800m戦2勝しているが良馬場の勝利も１分46秒台で、阪神の元町Ｓでは１分44秒台で走っているが７着に負けていることを考え併せれば、好走には力の要る時計のかかる馬場や展開のかなりの助けが必要と認識すべきで、野芝で良馬場の軽くて速い馬場状態では過信は禁物である。

◆アナゴサン　(56kg)

＜前走＞米子ステークス３着：

Ｄコース替わりで硬くて軽い時計の出やすい馬場ながら若干内側が有利という程度でほぼフラットな馬場で、外枠でテンで脚を使ったとはいえ軽い馬場にしてはスローな流れを少し離れた２番手追走する展開に恵まれたもので、時計こそ出ているがレース内容としてはあまり価値は高くない。逃げたトゥードジボンには突き放され、ディオには差されて７着まで0.2秒差の大混戦をかろうじて３着を確保した形である。また、オープン入り以降、先行してそこそこのレースはしているが勝ちきれないレースが続いている。

したがって、好走するには内側が有利な馬場で内枠を引いて楽に先行するなど馬場や展開のかなりの助けが必要と認識すべきである。

◆エスコーラ　(56kg)

＜前走＞米子ステークス９着：

軽くて時計の出やすいほぼフラットな馬場で、スローペースを中団追走する展開で同情の余地はあるが、差を詰められずに見どころはなかった。また、長期休養明けの３走前のリゲルＳでは３着しているが、スローペースをインの５番手追走という展開に恵まれてのものでレース内容としては着順ほどの価値はない。

したがって、サラキアの全弟、サリオスの半弟で一般的には「良血」とはいえ、現時点では当馬に高い評価は不要である。

◆セオ　(57kg)

＜前走＞都大路ステークス１着：

やや内側が有利な速い馬場で、スローペースを２番手追走から抜け出したものでレース内容としての価値はあまり高くない。また、２走前の立雲峡Ｓで３勝クラスを勝ち上がっているが、このレースでも内側が有利な馬場でスローペースを２番手追走から抜け出したものでレース内容としての価値は低い。一方で競馬は上手でつねに好位を確保してロスのないレースができるので能力以上の結果が出ている。

したがって、当馬に高い評価は不要であり、内側が有利な馬場で内枠を引いてマイペースで追走できるときにだけ押さえ程度の評価を与えれば充分である。

◆ロングラン　(57kg)

＜前走＞福島民報杯８着：

やや内側が有利な馬場で、ややスローペースを最後方追走と展開に恵まれなかったのは同情の余地がある。脚を余した形で１番人気を裏切ったが、勝ったリフレーミングとの斤量差＋2kgが着差0.4秒にそのまま表れてしまった。このレース９着のアウスヴァール、３着のプラチナトレジャーが函館記念でそれぞれ３着、５着と好走しているが、馬場と展開に恵まれてのもので福島民報杯のレースレベルが高かったというものではない。一方、２走前の小倉大賞典ではやや内側が有利の馬場で逃げたセルバーグが３着に残る展開を中団から外を回って差して２着に入っており、Ｇ３のハンデ戦であれば勝ち切るだけの力は持っている。

したがって、外差しが決まるような展開や外が有利な馬場であれば、それなりの高い評価を与えるべきである。

◆テーオーシリウス　(55kg)

＜前走＞福島民報杯13着：

やや内側が有利な馬場で、バビットのハナを叩いて逃げたが３角過ぎから脚いろが悪くなって惨敗した。また、２走前以前も、ハナを切ってもバテるし、ハナを切れなければ自分のレースにならずに惨敗するレースを繰り返しており、期待はしにくい。一方、昨年の小倉記念では逃げて２着に粘り込んでおり、ノーマークでスローの単騎逃げになれば残り目がないとは言えない。

したがって、楽に逃げを打てる場合は多少の注意が必要だが、同型のいるメンバー構成を考えれば、当馬に高い評価は不要である。

パート２へ続く。

【事前検討】第72回中京記念①