だが、その効能は果たして“通訳の質向上”だけに留まるのだろうか。
もう一つの効能は、“通訳者のモチベーション・通訳者志願率の向上”ではないかとにらんでいる。
きこえない演者の経験を、直に知ることが出来るということは、講演で省かざるを得ない情報をも拾えるかもしれないということ。
第一、あらゆるツテでようやく会える人であっても、通訳というポジションを最大限に活かせば、ダイレクトに会って話せるメリットがあるという見方が出来る。それが志望動機を強めるきっかけになり得る。
手話通訳者はただ、手話通訳にだけ徹しさえすればいい!
…そんな声も聞こえてきそうだ。
…手話通訳者はろう者の為なのはもちろんだが、通訳者と一緒に切磋琢磨して、成長していくという見方を我々聴覚障がい者も持たなければいけない。
通訳者のモチベーションを創造するための場を作ることも、我々の仕事だと声を大にして言いたい。
なぜか?
通訳者との交流を通して、きこえる世界の情報や通訳者独自の通訳に関する思想に触れられる。
それがやがては講師の気づきにも繋がるはずで、それが講演という形で共有されれば、全体的にプラスとなるはずなのだから。
“お役目”に囚(とら)われる時代はもう過ぎ去った!