突然の知らせだった。
私の一番大事なひとがいなくなった。

どこでどうやってそれを知ったのか
誰からの話でどんな内容だったのか
今では覚えていない。






知らせを聞いてすぐに電話をかけた。つながらなかった。
いつも車が停めてある場所へ向かった。車はなかった。
バイクで、よく行く場所に向かって探した。どこにもいなかった。

大切なひとの自宅には行きたくても行かなかった。
もし、そこにいなかったとしたら
嫌でもその事実を受け入れなければならなくなると思ったから。

また連絡をしてみた。つながらなかった。






不安な気持ちを抱えたまま、家に帰り
きっと大丈夫だと、自分の聞き間違いだったんだと
呪文のように頭の中で唱えて
眠れない夜を過ごした。

翌朝、新聞の死亡欄に名前が載っていた。

読み間違いであることを願って
何度も指でなぞって名前を確かめた。
確かめれば確かめるほど
逃げようのない現実がつきつけられた。

また、いつも車が停めてある場所へ向かった。車はなかった。

ただ、私がいつもそこに来ることを知っている人がいた。
その人が歩み寄ってきてこう言った。

『今回のことは残念だったねぇ。気を落とさないで頑張るんだよ』

そんな言葉聞きたくなかった。
他人からこうして現実をつきつけられるのは
なんとも言い難く、辛いものだった。





そうだ。これはきっと夢なんだ。と
早く目よ覚めろと思って
何度も何度も何度も何度も自分を傷つけた。

痛かった。血も涙も止まらなかった。
これが現実なんだと思った。

涙が止まらなかった。





何度も名前を呼んだ。
もういないことをわかっていても
返事がないこともわかっていても
ただ名前を呼んだ。

そうすることで悲しみが薄れると思ったのかもしれない。

涙は止まらなかった。








いつの間にか眠ってしまったらしい。

涙で腫れ上がった目を擦りながら
昨日のことを考えてみた。

それが『夢』であることがハッキリとわかった。

涙が止まらなかった。
嬉しくて嬉しくて涙が溢れてきた。

ただの『夢』にしては
やけにリアルで長い『夢』だったけど
本当によかった。



すぐにでも連絡して、安否を確認したかったけど
相手からすると、おかしなヤツだと思うだろうな。
時刻はまだ午前6時前。
大抵の人はまだ寝ているだろうから。

でもホントに『夢』だったのか?









夢と現実の区別がつかなくなるとは・・・
疲れてるのかな。

でも自分を傷つけて目を覚まそうとしたときは
本当に痛かった。

病んでるな自分。気をしっかりもて。