前の職場だった外科の病院、そういえば今日が開院記念日だったって、

退職後8年目にして初めて、この日に思い出した。


記念日ったって、なんもイベントなんかしないんだけどさ。


お昼前に、全館放送で

「今日は開院記念日です。給食にはお赤飯とタイの尾頭付きをつけて、ささやかにお祝いします」

なんて、患者さんにも、祝え!って強要するようなメッセージ発してたっけね^^;


開院当初はさ、地域の基幹病院目指す!なんて意気込んでたドクターたちも、


結局はお年寄りの棲み家になってしまった病院経営に四苦八苦だったわ。


いい病院だったからね。


設備なんてボロボロだったけど、身寄りのないお年寄りにすごく優しい病院だった。


今でも鮮明に覚えてることは、


認知症が進んだおばあちゃんが

毎日同じ時間頃にトイレに行くんだけど、トイレの場所がわかんなかったり

帰るはずの自分の病室がわかんなかったりで、


よく私も呼びとめられて、どこ?って聞かれてたんだけどね。

ある日、おばあちゃんがすごく切なそうに言ったのよ。

「自分の部屋も、トイレの場所も、わからんようになった。なさけないよ。」って。


その時思ったんだ。


認知症って、なんもわからなくなってボケる病気じゃない。

そして、患者さんはみんな切ない思いを抱えてるんだな、って。


そのことがあったから、私、病院退職して、親の介護するのも、頑張れた気がするんだ。


介護するほうは、体も心もきついけど、


介護されるほうは、それプラス切ないんだって思って、


一番辛いのは介護されてる母であり、父なんだって、そう思うと

介護なんて、へでもなかった。


あの病院に勤めたことが、大きな支えになって、介護させてくれた気がするな。


両親に、また会いたい…。