著者: 池田 香代子, C.ダグラス・ラミス
タイトル: 世界がもし100人の村だったら

 2001年9月11日に始まった一連の事件のあと、Eメールで世界に広まったという話。いわゆる都市伝説(いい伝え、フォークロア、民話)のインターネット版。インターネット・フォークロア=「ネットロア」と、この本では名付けてあります。
 「世界には63億人の人がいますが、それを100人の村に例えると......100人のうち、52人が女性です、48人が男性です」てな具合に始まり、世界の現状を、わかりやすい数値で提示していく。ちらと聞いたり読んだりした人も多いでしょう。でも実は、このメール、昨年春ごろから既に出回っていたそうで、9月の事件で、広まり方に加速がついたらしい。元になった話は、10年くらい前にかかれた新聞コラムで、文章も、転送を重ねるうちにずいぶんと変わった箇所もあるらしい。この本は、イラストが添えられ、数値がより正確に訂正され、また、文が変わっていった経緯も追跡調査して書かれているので、メール版ですでにお読みの方も、改めて読んでみるといいかもしれません。私は、転送メールやチェーンメールの類は嫌いで、読まずに削除してしまうこともあるので、このメールももしかして、そうやって読まずに捨ててしまったかも......。私は、このわかりやすい(でも、とっても深い)短い文章を読んで、世界の考え方が、少し身近になった気がします。
 あとがきに訳者が書いている
 おそらく、20001年9月11日が「世界が変わった日」ではなく、「世界が変わり始めた日」になることが、このネットロアの予言であり、希望なのだ
という言葉を、私も信じたいです。