新しい1週間の始まりですね。15話の湿っぽい内容とは対照的ですが、今日も素敵な事が起こりますように

【第15話】アメージンググレイス
宿のスタッフが笑顔で出迎えてくれ、一件落着かと思ったが、そうもいかないのがインドである。翌未明、またしても酷い高熱に見舞われ、下痢と今度は激しい嘔吐に襲われた。
海外で生水を飲んでも(インド以外)、少々腐敗したものを口にしてもお腹を下した経験がまずない。内臓が丈夫だと自負していたのでいざという時の対処方法が全くわからず、失った水分を補給する程度の事しかできなかった。
翌朝の昼過ぎ、症状が一時的に軽くなった瞬間を見図り、昨夜の診療所に向かった。宿のスタッフがアテンドをしてくれたので自力で歩く。連日でバイクの市中引き回しはごめんだ。
診療所に着くと、ドクターは私の姿を見るや否や、症状の悪化を察知し点滴の準備を始めた。
「ねえ、何か悪い病気に感染したのかしら。昨日の検査結果はどうだったの?」
「大丈夫だ、問題ない」
インド人のノープロブレムほど信用できないものはない。
また、病院に行けば症状が良くなるとも限らない。点滴と抗生物質や鎮痛剤の服用程度しか施しようがない。自然治癒力に委ねる。でも、医師免許を持っている人の近くにいた方が安心できる気がする。
その日から2日間、診療所から動かなかった。甚だ迷惑だが、宿に帰れと言われても決して帰らなかった。いや、帰れなかったのだ。
吐いて、吐いて、吐きまくり、もうこれ以上出すものがないという状態まで出し尽くした。点滴のチューブを首に巻き付け、経口補水液の入った袋を片手にトイレを何十回も往復した。
真冬なのに暖房設備はなく毎晩、凍死するのではないかとさえ思った。もはや感染症以前の問題だ。もしかしたら死ぬかもしれない。人生で後にも先にもそう悟った瞬間だった。
2日目の夜、意識があったのかは定かではないが、どこからかアメージンググレイスが聞こえてきた。対岸への誘いか。まだやり残した事が沢山ある。死にたくはない。
「お母さん・・・・・」
そう言って泣いた。とうに水分は出し尽くしたはずなのに、涙は止まるところを見せなかった。
【次回の予告】生きろ!!!
※海外で河川への入水は非常に危険なのでマネしないでね。
今日も元気にいってらっしゃーい。
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