秋元康氏がGoogle+にて前田敦子の卒業を東京ドーム公演と翌日の劇場にておこなうことを発表しました。
それを受けてなのでしょう。
さっそく掲示板には「前田敦子卒業後のteamAに加入するのは誰がいいか?」というスレッドが立てられ、メンバーの議論がなされていますが、
これを読むかぎり、多くのファンが求めているのはただ「前田敦子の代わり」を求めているような気がしてなりませんでした。
結論から書いてしまえば、誰も前田敦子の代わりはできません。
チームというのはひとつの成立したジグソーパズルのようなものであり、メンバーとはその中のひとつひとつのピースであるのです。
前田敦子と同一の人間でない者がどうして前田敦子の代わりができるのでしょうか?
そんな人間はどこにもいません。
それはもっとも恐れるべき「悪しき方向への世代交代」となってしまいます。
前田敦子の後継者を求める、ということは、緩やかにではあってもAKB48を凋落させていくことに繋がりかねません。
変わらなければならないのは組織であって個人ではないのです。
特に48Project.という育成プロジェクトは、個人と組織とを天秤にかけたとき、個人のほうが優先される形態であるため、
組織としての変容を受け入れなければゆっくりと凋落していくのを待っているだけにしかならないのです。
そして48Project.の強みもまさにこの点にあります。
筆者はかつて「48Project.はおそらく世界でも最先端の完成体である」と書いたことがありますが、おそらく多くの人は完成体とは他に比類なき金科玉条のものをイメージするかもしれません。
しかし真の完成体とは、「未完成」にあるのです。
未完成であるがゆえに組織じたいをいくらでも変容させることができるのです。
時、場所、宗教観、エンタテインメント性、生活様式……それらすべてにおいて48Project.とは組織として変容させることが出来、そしてそれゆえに現在イスラム圏であるジャカルタにも、台湾にも姉妹グループを作り、
シンガポールにおける定期公演や、香港、上海などでの公式ショップのオープンなどが可能となるのです。
さて前田敦子の卒業がファンにとって衝撃を以て迎えられたのは筆者にもわかります。
しかしさも「誰が前田敦子の代わりになるべきか?」という議論は意味があることとは思えません。そもそも誰もが前田敦子の代用品ではないし、
それでは「後輩に道を譲るために」と卒業を発表したあっちゃんの意思すらも蔑ろにしてしまうことです。
誰も前田敦子の代わりになれないのに、前田敦子の代わりを求めるならば、
おそらくそれは誰が昇格しようとも、他から加入することとなっても成功することはありえません。
なぜなら加入するメンバーはファンからすれば「前田敦子の代用品」でしかないために、仮にそのメンバーの個性を発揮しようものならとたんに「前田敦子の代わり」の意味をなくすことになるからです。
では個性を発揮できずにいることがどれだけAKB48にとってプラスのベクトルを生み出すでしょうか?
変わらなければならないのは、個人ではなく、組織の方なのです。
ひとつ例をあげてみましょう。
昨年、フジテレビの朝の顔としてめざましテレビを開始当初から担当してきた大塚範一氏が番組からの降板を発表しました。
その前にいえば、一昨年の夏にはフジテレビの看板アナであった高島彩がずっと担当していためざましテレビからの卒業とフジテレビの退社を発表しました。
これはAKB48でいえばまさに前田敦子が卒業するようなものです。
しかし後任となった三宅アナは大塚キャスターの代用品であるでしょうか?
高島アナの後任となった生野アナは高島彩の代わりであるでしょうか?
答えは否です。
ではめざましテレビはどうなったのか?というと、セットを組み替え、コーナーを組み替え、番組として新たな一歩を記しました。
これは何も今に始まったことではなく、めざましテレビという番組はずっとMCを勤めてきた女性アナが卒業する度にそうやって番組そのものを変容させることで一年また一年と歩みを続けてきたのです。
それゆえ視聴者もまた「めざましテレビ」という番組そのものは変化がなくとも、4月から始まった三宅・生野体制による番組のリニューアルを受け入れたのです。
ではここで前田敦子の代わりを求めることは何をもたらすのでしょうか?
それは組織そのものの硬直化を招き、先人の呪縛から逃れられないある種いかなる変化も受容できない組織へとなるだけです(わかりやすい例でいうと、国家の官僚組織というのはその最たるものです)。
組織が硬直化するとそこは必ず「前例主義」になってしまいます。
過去の成功体験にのみすがり、新たな挑戦はできなくなり、いかなる提案も受け入れられずにゆっくりと消滅していく道をたどるだけです。
さてそんな48Project.に魅力があるでしょうか?
