象は 旅をする
 長い長い旅
 聖なる水を求めて 象はどこまでもどこまでも 歩き続ける
 途中で仲間がたおれても 象は歩くことをやめない
 たおれた仲間の思い出を イッパイ 心につめ込んで
 再び象は 歩き出す

 象は 思い出を大切にする
 大きな体の分だけ 思い出がいっぱい つまっている
 その思い出は 体が朽ち果てても 消えることはない

 旅の途中で 象は再会する
 ―――昔の仲間に―――
 そして やさしい眼差しで 語りかける
   「ヤア、キミハ イマ ドコヲ 旅シテイルンダイ?」
 長い鼻で 遠い記憶を呼び起こすかのように
 象は いつまでも いつまでも 仲間と語らい続ける

 国境が変わり 季節が変わり
 やがて 象の旅も 終わりに近づく
 空いちめんに広がる 灰色の巨大な雲が
 象の長かった旅を 祝福してくれる

 象は想う
 恵みの雨に身を任せながら
 たくさんの仲間たちを 思いやりながら

 そして 象は 夢を見る
 おおきな おおきな 夢
 それは 大地を越えて 海を越えて 世界を越えて
 宇宙の彼方にまで 広がっていく

 誰もが思う

 いつか この世界が 
 やさしさで いっぱいに 満たされたらいいのにと……

 象は願う 
 この夢が 永遠に語り継がれていくことを

 ―――そして 象は 新たな旅に出る―――