<ダイオウデイズ>

11月21日の午後15時半くらいのこと
天気が良い
病気になりそうなほど望んでた話題のゲーム
買って来た僕は君を探していた

「でもまぁきっといるだろうな」
指を動かして僕はゲームを進めていた

あぁ、選んだステージの背景に
浮かんでいたのは丸く膨れた君の姿

パッと放した手のひらに じわり汗が浮かんでいた
背景キャラだと? つまり君はNPCなのかい?
わざとらしいフィギュポンが君の姿を吐き出して
期待したから裏切られたと目の前が全て暗んだ



目を覚ました時計の針が鳴り響く布団で
今は何時?

5月12日の午前11時過ぎ位を指す
やけに煩い演説の声を聞いた

でもさぁ、少し不思議だな。
僕はパソコンで昨日見た動画を思い出した
「もう期待はしないさ」冷めた声で言う
心の奥底では誰よりも君を待ち望む

投下されてく情報が僕を惑わせて狂わせる
劈く悲鳴と歓喜の声がネットの隙間で空廻り
ワザとらしいバーボンが「ガセじゃないぞ」って嗤ってる
暗む視界に君の横顔 笑っているような気がした

何度更新されたって君はどこにも見当たらない
ファンを初めて何年目? もうとっくに飽きる頃だろう

きっと主役のキャラならば こんな悩みは無縁かな
繰り返した更新の向こう


バッと押しのけ飛び込んだ、個室のトイレで泣き叫ぶ
血反吐吐き出し 雄叫びを上げ 変人だって思われたかな
ワザとらしく知り合いが「良かったね」ってつぶやいて
実によく在る秋の日のこと。
そんな何かがここで終わった。

落ち着いた10月25日の布団の上
少女はただ
「信じて良かったよ」と一人泣き明かしていた





旦那が参戦した時のお話。
言うまでもなく、元ネタはカゲロウデイズです。