「空飛ぶタイヤ」
なんて、夢のあるタイトル、メルヘン♥️
そう思って手にした本は、ちょっとした長編
しかし、あっという間に読了
ある意味、夢はあるかも知れないけれど
メルヘンではなく超現実!
 
さっくりしたあらすじは、大手自動車メーカーが車に構造的欠陥があると認識しながら
リコールせず、その欠陥が原因で死傷事故が複数件発生する。
自動車メーカーは事故の原因を運送会社の整備不良とする虚偽の調査結果を出す。
それによって、事故の加害者とされた運送会社の一社長の闘いを中心とした物語。
 
消費者が大企業に求めるものは
品質とアフターサービスといった安心感ではないだろうか。
しかし、既に日々報道される企業の不正行為について大企業も例外ではないことは周知の事実である。
確かに、最終的に裁判に勝てば大企業の方が賠償能力はあるのかもしれない。
ただ、消費者として賠償問題に発展するほどの損害を常に覚悟しなければならないというのも辛い。
 
大事故につながる可能性のある不正をなぜ放置するのか。
なぜ、不正がなくならないのか。
 
根強くあるのは、目先の損得勘定と
「これまでこうして上手くやってきたのだから、これからもこれでいい。」
という考え方なのではないか。
 
この本では、組織の中で成功するには
業務の能力よりも、政治的能力の方が重要であるとされている。
組織のためなら消費者のことなどどうでもよいという思想。
 
私は20回近く転職しているが、社会不適格者の私は
規模・業種に関わらず、ほとんどの組織で同じことを言われる。
「誰のために働いているのか?誰に養ってもらっているのか?」
(つまり、客のためより会社のために働け!という意味)
代表者に言われるのならまだしも、たいていは、上司やただの先輩に言われるのである。
 
しかし、どんな業種の組織であってもエンドユーザーがあってこそ成り立つ。
すると、会社の利益だけを優先し、消費者を無視する企業はやがて淘汰される。
過去50年、誤魔化せてきたとしても、この先も誤魔化し続けられるとは限らない。
 
ジェンダーギャップ、少子高齢化、8050、GDP・・
今、日本社会が抱える問題の元凶は、
日本人の「これからも的」楽観思想にあるのかもしれない。