ここのところ暫く人気沸騰で、めっきり予約がとれなくなってしまった池尻のビストロ。
久しぶりに友人が予約をとってくれて、訪れることに。
まず何より、ここのシェフ。とにかく、アグレッシブな方なのです。
店はオープンキッチンのスタイルなので、シェフが料理を作りながらお客サンとも会話出来るようになっています。
料理に会話に常に大忙し。動きの悪いスタッフに可成りの頻度で怒鳴っている様も、もはやお客からは丸見えです。
ただここの料理、自家製ロースハムや田舎風パテから始まり、グラタンやムール貝、魚、肉料理などなど、ちゃんと美味しい。だからこそ、そんな苦々しい内紛場面を見せつけられながらもお客としては通ってしまいます。
ワインも低価格なのにしっかりしたボディのものが充実し、庶民感覚でついつい仕事帰りに気軽に寄りたくなってしまうような、本場のパリのビストロのような使い方が出来る希少な店なのです。
私たちは一通り料理をいただいた後、デザートには‘例のもの’をオーダーします。
「ババ」という、スポンジケーキのシロップ漬けに、生クリームをたっぷり加えた、ほっぺた落ちる幸せいっぱいの一品です。
そしてこのババと共に、すかさず食後酒アルマニャックをいただくことにしました。
アルマニャック (Armagnac)。
フランス南西部、アルマニャック地方で醸造されるブランデー。コニャックと肩を並べる、フレンチブランデーの二大銘酒の一つです。
「コニャックよりアルマニャックのが個人的に好きなんだよな、昔修行した土地でもあるから。」
こう言うシェフがセレクトしているアルマニャックは、「Reflets de France」 (ルフレ・ドゥ・フランス)というメーカーから出ているものでした。
ガツンと濃厚なタイプではなく、適度なライト感、且つブランデーグラスからたちまち広がる華やかな風味。
ババのようにとてつもなく甘いデザートとともに味わうと、これくらいの方がなんとも上品で贅沢なハーモニーが生まれ、これはこのまま何時間でもくだを巻けそうなシチュエーション、まさに陽気な危険信号が点滅し始めるのです。
「そのアルマニャックね、安くて美味しいんだよ、ここら辺ではおいてないの、カルフールで買ってるから。カルフールって知ってる?フランスの直輸入品とかおいてるとこ。町田とか千葉とか大阪とかにしかなくて、、、」
決してこちらから聞いてはいないのですが、シェフは声をはって教えてくれます。
「実家がうちカルフールに近いから、正月に帰ったら買って来るんで、連絡先教えてもらえれば」
やはり買って来てとは一言も口にしていない私は、ちょっと戸惑いました。
あ、またここに来て飲むから、別にいいですよわざわざ、、、、そう言おうとして、ハッと気づきました。
あれ、もしかして、これって新手のナンパ?!
私はおもむろに出されたポストイットに、せかされるように携帯とメールアドレスを書きました。
シェフの純粋なサービス精神は、時に仇となります。
アルマニャック入荷のお知らせとプラスアルファの便りをかすかに期待しつつ、歪んだ心を持つ私は店を後にしたのです。

久しぶりに友人が予約をとってくれて、訪れることに。
まず何より、ここのシェフ。とにかく、アグレッシブな方なのです。
店はオープンキッチンのスタイルなので、シェフが料理を作りながらお客サンとも会話出来るようになっています。
料理に会話に常に大忙し。動きの悪いスタッフに可成りの頻度で怒鳴っている様も、もはやお客からは丸見えです。
ただここの料理、自家製ロースハムや田舎風パテから始まり、グラタンやムール貝、魚、肉料理などなど、ちゃんと美味しい。だからこそ、そんな苦々しい内紛場面を見せつけられながらもお客としては通ってしまいます。
ワインも低価格なのにしっかりしたボディのものが充実し、庶民感覚でついつい仕事帰りに気軽に寄りたくなってしまうような、本場のパリのビストロのような使い方が出来る希少な店なのです。
私たちは一通り料理をいただいた後、デザートには‘例のもの’をオーダーします。
「ババ」という、スポンジケーキのシロップ漬けに、生クリームをたっぷり加えた、ほっぺた落ちる幸せいっぱいの一品です。
そしてこのババと共に、すかさず食後酒アルマニャックをいただくことにしました。
アルマニャック (Armagnac)。
フランス南西部、アルマニャック地方で醸造されるブランデー。コニャックと肩を並べる、フレンチブランデーの二大銘酒の一つです。
「コニャックよりアルマニャックのが個人的に好きなんだよな、昔修行した土地でもあるから。」
こう言うシェフがセレクトしているアルマニャックは、「Reflets de France」 (ルフレ・ドゥ・フランス)というメーカーから出ているものでした。
ガツンと濃厚なタイプではなく、適度なライト感、且つブランデーグラスからたちまち広がる華やかな風味。
ババのようにとてつもなく甘いデザートとともに味わうと、これくらいの方がなんとも上品で贅沢なハーモニーが生まれ、これはこのまま何時間でもくだを巻けそうなシチュエーション、まさに陽気な危険信号が点滅し始めるのです。
「そのアルマニャックね、安くて美味しいんだよ、ここら辺ではおいてないの、カルフールで買ってるから。カルフールって知ってる?フランスの直輸入品とかおいてるとこ。町田とか千葉とか大阪とかにしかなくて、、、」
決してこちらから聞いてはいないのですが、シェフは声をはって教えてくれます。
「実家がうちカルフールに近いから、正月に帰ったら買って来るんで、連絡先教えてもらえれば」
やはり買って来てとは一言も口にしていない私は、ちょっと戸惑いました。
あ、またここに来て飲むから、別にいいですよわざわざ、、、、そう言おうとして、ハッと気づきました。
あれ、もしかして、これって新手のナンパ?!
私はおもむろに出されたポストイットに、せかされるように携帯とメールアドレスを書きました。
シェフの純粋なサービス精神は、時に仇となります。
アルマニャック入荷のお知らせとプラスアルファの便りをかすかに期待しつつ、歪んだ心を持つ私は店を後にしたのです。
