先日、とある中目黒のbarに初めて入り何杯かいただき、店を後にしてからのこと。

帰路、一緒だった男子二人と専ら話題はそこの女主人のことに。
どうやら男から言わせると、そこの女主人。
相当の‘愛人顔’だったというのです。


「いやいやあの酒作る時の、グラスの氷まわしてる時の表情、見た?!ちょっとこう首をかしげてさ、、、」

残念ながら見逃していた私。

男たちの意見をよくよく聞くと、愛人顔と言っても正確にいうと顔だけでの判断ではないようで、どちらかというときっとあそこの女主人のこれまでの生き方に、そういう愛人生活というのが実際にあったんじゃあないかというのです。それも、ちょっとやそっとカジッた程度じゃなくて、長~い時間そういう生活をしていなければ、あの内面から滲み出てくるような愛人テイストは出てこないんじゃあないかと、、、

私は改めて、その女主人の残像を想う。
長い黒髪、赤い唇。大作りな目鼻立ち。
肩ひもの細いキャミワンピからは、すらっとしたラインの二の腕。

「ねえねえそれってさ、外見とか服装がエロいからってことじゃないの~~?」

違うらしい。
どうやら‘行為’に直結するものではなくて、何もせず何も話さずでも、ただ同じ空間にいるだけで満足するような精神的なコトらしいのです。
思わずその女主人にハマってしまおうものなら、取って食われてカラカラにひからびるまで随を吸われ、そして最後は簡単に捨てられそうな気がするな、、、と、身震いするメンズたち。

そんなか~?
女主人は、こちらから話しかければ笑顔で答えてくれるが、答え以上の余計な話はしない。ましてや自分から話しかけてきたりなどなく、基本、無表情だったのですが、、、、、、、、、
ム!もしや、そこに秘密が?!


媚びない。だからといって、男を拒絶しない。
語りすぎないだけに男に想像させ、惹き寄せる。

そういえば、女にリアリズムはいらないって、ある常連さんの口癖だったっけ。

なーるほど。あそこは、barというカテゴリーの、疑似‘愛人宅’体験場。

そんな魅惑的な女主人が作ってくれた薬草酒「ピコン」のソーダ割りが、絞ったレモンの味にかき消されるくらい薄かったのを思い出し、ちょっぴり萎えていた私の横で、

「俺、また行っちゃうかも」
と呟くメンズ。

子羊さん。
間違いなく、需要と供給が成り立っていると思い知らされた夜更けだったのです。