遠い空


どんなに覚悟を決めていたって
どんなにこの日が来ることを知っていたって

決して乗り越えられないものは
誰にだってあるんだよ

心の中で判っていても
逃れられない現実として
心に思っていても

いざその場に立ち会ったとき
涙を押し殺すなんて
出来る事じゃないんだ

皆そうやって生きていく道の中の
悲しみに耐えてきたんだ

そう あの時
貴女から目をそらした僕のように

そう あの時
貴女を失った僕のように


いつでもそれは身近にあって
誰でもそれを経験するだろう瞬間

今の世の中は あまりに無機質で
僕たちは そんな瞬間にさえ

立ち会うことなんて少ないだろう

だから僕たちは
本当の悲しみが何なのか
そんな単純なことさえ 忘れてしまう

人を亡くすということが
どれだけの悲しみを心に残すのか

人を亡くすということが
どれだけの痛みを心に残すのか

僕たちは 今まで生きてきて
そんなことすら知らないで

大人になったんだ

生きることを考える瞬間は
常に死とともにあり

死という終わりがあるから
生という始まりを感じることができる


生きることは常に決断と挫折を繰り返し
その局面局面では常に必死で

周りを見る余裕すら持てないけど

僕たちは 常に終わりに向かって進んで行く

その時々の悲しみに身を浸している
余裕も持てないけど

僕らのその痛みは
僕らのその悲しみは

いつかどこかで 思い出となって

心を満たしてゆく

そう

貴女に出会えた僕のように
貴女に出会ったあの頃の僕のように

いつしか僕も時を経て
貴女を思い出すことさえ
難しくなるときも来るだろう

でも必ず 貴女は僕の中に居て
僕は必ず 貴女を忘れることは無い

そう

そう あの時
貴女から目をそらした僕のように

そう あの時
貴女を失った僕のように

今も貴女の面影を探して
時を彷徨い
移ろう季節の中に

僕は生きてる

そう あの時
貴女から目をそらした僕のように

そう あの時
貴女を亡くした僕のように