天空のそのまた高い所に大きな門が二つ並んである
その門の前には門の番人が一人、鋭い目をして二つの門を守っていた
番人の背中には六枚の翼があり、右手に槍を、左手には天秤を持っている
ある男が死期を迎え門の前に招かれた
番人は男にこう言う
「お前は生前いくつの命を犠牲にしてきたか。」
男はそれに答えこう応えた
「わたくしは、何人たりとも殺めたことはありません。」
すると番人の左手に掲げられた天秤が右に傾き始めた
すると番人はこう言った
「この天秤の指す方の門を開けてやろう。お前は右の門へ進むのだ。」
男は指されたとおり右の門へ進んだ
ぎぎぎと音を立てて門が開き中から眩しいほどの光が溢れだす
一歩一歩門へ歩み寄り門の中へ入りきったときに門の番人が今一度こう言った
「お前は嘘を言った。お前は牛や豚を食っただろう。魚や鶏も食っただろう。
野菜を食っただろう。何千の命を犠牲にしてお前は生きながらえてきたのだ。
右の門は、お前が食らったやつらの魂が彷徨っている世界への入り口だ。
一度入ったら出られんぞ。」
そう言って外から門を音を立てて閉めてしまった
男は唖然として門を背にするとついさっきまでの眩しいほどの光が嘘のように消え去り
替わりに果ての無い闇が覆いかぶさった
そして彼らはやってきた
無数のうめき声と共に
男の元へ