梅の花の精霊に出会った先日、胸の奥のトンネルをくぐり抜け、突如 過去に呼び戻された。
瞬きも出来ない懐かしい感覚。
不意の感覚が感覚を呼び、幼い私と繋がった。
私の世界は誰にも理解はされなかったけれど、優しく穏やかで ゆるやかな時間の中にあった。
誰も分かってくれないのは周りを見渡せばすぐに分かった。
それでも誰かに分かって欲しくて、幼い私は祖母に、私が私の身体を離れることがあったとしても私を見つけ出して欲しいと懇願した。
夏の夜の花の香り
石段
しめる雨
池のほとり
交わした約束
まだらに残る記憶は他人を装い、未だに私に断片しか見せない。
まだ沈んだままの真実があるのだろうか。
今よりずっと柔らかで繊細だった、幼い私が見ていた世界。
もう閉ざさなくていいよ。
今なら言葉にしても許されるだろう。