令和6年7月15日

文庫本5冊購入。 佐伯泰英「助太刀稼業①」(書き下ろし)、結城真一郎「真相をお話します」(単行本は2022年)、西加奈子「夜が明ける」(単行本は2021年)、知念実希人「真夜中のマリオネット」(単行本は2021年)、中山七里「笑う淑女 二人」(単行本は2021年)である。

 

PGAは欧州ツアーとイギリスで共同開催、日本人は6人。 松山英樹、久常涼、川村昌弘、星野陸也、中島敬太、桂川有人。 ・・・6人全員が予選落ち、全員予選落ちとは、珍しくてガッカリ!  

 

LPGAはフランスでメジャー戦、日本人は10人。 ・・・畑岡奈佐、笹生優花が予選落ち、二人とも優勝経験のある実力者なのに残念! ・・・何と!古江彩佳が一打差の二位で予選通過。 以下、岩井明愛、西村優奈、勝みなみ、渋野日向子、竹田麗央、山下美夢有、西郷真央の計8人も。 ・・・驚いた、古江・24才が優勝!(120万$)、快挙である。 岩井10位(156千$)、西郷35位、山下39位、西村44位、渋野51位、竹田55位、勝63位だった。

 

日本男子は千歳で、道産子は5人。 ・・・片岡尚之、安本大祐、植竹勇太が予選通過。 鳥海と今村は予選落ち。 ・・・最終日、一位平田憲聖・23才と、二位細野勇策・21才、3位蝉川泰果・23才が凌ぎを削る。 ・・・平田が逃げ切った。 細野、蝉川はスコアを伸ばせず、平田は3打差を付けての優勝(2,000万円)だった。 天晴れ! 34才・小平智が2位、44才・宮里勇作が5位に喰い込んできたのは流石のベテランだった。 道産子は、植竹20位、片岡34位、安本50位に終わった。 前回のメジャー戦は22才・杉浦が制した。 男子もいよいよ若者躍動の感あり。 それにしても古江が約2億円、平田が2,000万円という10倍もの格差はどうにかならないものか! 男が惨めになる。

 

日本女子は試合無し。

 

 

原田ひ香「三人屋」(単行本は2015年)

三人姉妹の長女は夜月・35才、次女まひる・32才、三女朝日・23才大学院生は、亡くなった両親がやっていた喫茶店で、朝は、朝日がモーニングのみで390円、昼は、まひるがうどんのみで390円、夜はスナックで夜月が、500円のお通しを入れて2~3,000円で済む格安スナックとなる。 一つの店で朝・昼・晩で違う形態なので、常連客は「三人屋」と呼んでいる。(三人姉妹の名前が、朝昼晩に因んでいるのは、作者の趣向であろう)

・・・森野俊生・26才は、「ル・ジュール」とカタカナで書かれた真鍮の看板の店に入った。 「モーニング390円 6時から11時」の小さな看板がかかっている。 店に入ると、カウンターの席にずらりと大小の男達が座っていて、俊生はちょっと怯んだ。 初老からサラリーマン、学生、さまざまな年代の男達からジロリと睨まれたような気がする。 若い女店主は髪が長く、背が高い、きゅっと締まった腰に目が吸い寄せられる。 →初めての方ですよね、トーストは、よく焼き? 半生? と訊かれて次々と質問が飛んでくる。 結局、バター塗り、焼いてから塗る、バターの量は普通、縦半分に切って横に切れ目を、ジャムは一口分だけちょい載せ、ジャムはイチゴ、コーヒーはカフェオレと答えて、最後に、濃い目、薄目? ミルクは多い方?少ない方?と訊かれて、→あ、もう全部普通で、と答えた途端に、クスクスと笑いが起こった。 途端に彼女は、→大輔! 営業妨害しないで! 出て行って、もう来ないで、と鋭い声で30才位の男を睨みつけている。 男は鍛えられた引き締まったイイ体をしている。 →俺じゃねえよ、→減点2だよ、昨日、南さんに絡んでいたよね、3になったら出禁だからね、と通告する。 大輔は肩を竦めただけで言い返さなかった。 →朝日ちゃん、コーヒーお代わり、と老人が注文すると、そちらに飛んで行った。 直ぐ、自分のモーニングが運ばれてきた。 こんがり焼けたパンに食い付くと、思わず、旨ッ と呟く。 カウンターの男達が、当たり前だろ、と自慢顔であり、ホッとしている風でもあった。 カウンターの真ん中に座っていた中年男が、→ヘタも旨いぞ、と持ち上げて振って見せる。 店主が、→パンの耳、焼きたては美味しいの、そちらは駅前の村田電気の村田さん、次が富士見不動産・ご隠居の伊藤さん、と紹介すると、大輔と呼ばれた男が、イイジマスーパーの飯島大輔、と自己紹介、学生らしき男が、この先に住んでいる南宏です、昨日、大輔さんにイジられたけど恋人はいません、とキッパリ言う。 自分も名乗らなくちゃならないナ、と思いながら、→三国アパートに住んでいる森野俊生です、会社員です。 お勘定の際に、→日・祝が定休です、また来てくださいネ、と送り出されたのが妙に嬉しかった。 会社に着くと40才絡みの野間幸子がねっとりとした目付きで、あの、これ、とカタツムリのような凝った折り紙を押し付けられた。 昼休み、コンビニで弁当を買って公園で食べながら開くと、「ペットボトルは地球温暖化の元、水筒推進委員会、水筒は野間幸子にご用命下さい」 ナニ、これ、アホか、とカラになったペットボトル毎、ゴミ箱に放り込んだ。

 

俊生はちょくちょく朝食を食べるようになった。 今朝は、鶏肉屋の三觜(みつはし)という初老の男がパンの追加をした。 俊生は店の外で朝日ちゃんと会いたいナ、と思っているが、満座の中で声を掛けられない。 声を掛けた途端に、全員の怒りを買うような気がするのだ。 ・・・新人社員君の歓迎会が開かれた。 野間幸子がすかさず寄ってくる。 誰の目にも俊生目当てだと判るのに・・・。一ヶ月ほど前、次長に叱責されて落ち込んでいた時、野間幸子に慰められて吞み過ぎ、気が付いたら、ぽちゃぽちゃした体を抱いていた。 だから、先程耳元で、→今夜来て、と囁かれて背筋が冷ッとした。 野間は離れて行き、次長にお酌して笑い合っている。 今晩も酔っぱらって、気が付いたら野間のアパートで甲斐甲斐しい愛撫を受けていた。 相変わらず体はぽちゃぽちゃと柔らかく温かい。 積極的に動いてくれるから目を瞑っていれば気持イイ。 コトが終わると野間は温かいタオルで全身を優しく拭いてくれた。 つい、とろとろと眠ってしまう。 ・・・大変、起きて、次長が来た、と言いながら俊生の着ていたモノをグイグイ押し付けて、ベランダに隠れて!と追い出されてしまった。 カーテンをシャーッと締められたら、向こうの事は何も見えない。 その内、野間幸子の喘ぎ声が嬌声となって耳に入ってくる。 ・・・気が付いたら朝7時である、次長は恐らく泊ったままなのだろう。 二階のベランダからは何とか降りられそうだった。 8時に部屋に戻った。 会社に連絡して、夏風邪らしい、半休にして下さい、と願って正午近くに「ル・ジュール」を通りかかると、うどん390円、のメニューが見えた。 三角巾で髪を包んだ女、桜井まひるが、→何玉? かけ? ぶっかけ? レモン? すだち?と、速射砲のような問いかけである。 出されたうどんは奇麗だった。 旨いなァ、と思わず声が出た。 最初に、あの、朝日さんは?と質問したのは余計だったナ。

(ここまで、全309ページの内、37ページまで。 美人三人姉妹の店の在り方や常連客や、新規客との関係が続く。 それなりのほのぼの物語である。)

 

(ここ迄3,00字超え)

 

令和6年(2024)7月15日(月・祝)