令和6年4月1日

俺の本棚~面白いッ書 第672回

文庫本5冊購入。 佐伯泰英「芋洗河岸③ 未だ謎」(書き下ろし)、池永陽「下町やぶさか診療所 傷だらけのオヤジ」(2022年文庫に加筆修正)、小野寺史宣「食っちゃ寝て書いて」(単行本は2022年)、高杉良「破天荒」(単行本は2021年)、藤岡陽子「きのうのオレンジ」(単行本は2020年)

 

静岡県F市在住だった我が故郷の同期生、故・Oの奥さんと埼玉県在住の娘さん夫婦が、七回忌を終えて未だ見ぬ夫の故郷をひと目見て、在りし日を偲びたいと連絡があり案内役をお願いされた。 60年以上も前に閉山になった炭鉱は今は跡形も無いから、当時の炭住の航空写真か、簡略地図がないだろうか、それがあればここいらに住んでいたという説明の臨場感が増すので・・・、と役場に問い合わせると、我が説明を受けたM女子に数分待たされて電話を廻してくれた先が教育委員会だった。 しかし、電話を受けたN君から、どのようなお尋ねでしょうか?と問われてアタマに来た。 数分待たされたのはその問い合わせの内容が説明されていたとばかり思っていたのである。 単に、そちらに電話です、とだけ言われたらしい。 しかし、それからのN君の対応が素晴らしかった。 探してみます、と返答されてから30分後に、→ありました、明日そちらの住所に送ります、と連絡があった。 最初の対応の悪さもあったがN君のような丁寧な応答は気持がイイ。 先に携帯が繋がらなかった前村長だった高校同期のMにも今回の事はキチンと報告しておこう。

 

 

PGAは日本人ゼロ。 LPGAは畑岡奈佐、渋野日向子、笹生優花、勝みなみ、西郷真央、稲見檸寧、古江彩佳、西村優菜、吉田優利の9人。 渋野、西郷、稲見が予選落ち。 ・・・古江12位、畑岡・笹生が19位タイ、西村27位、勝63位、吉田73位と振るわなかった。

欧州ツアーはインドで、川村昌弘、中島敬太の2人。 予選を終えて中島がトップに立った、川村も予選通過。 ・・・何と!中島が優勝!(355千€)あっ晴れ! 川村は57位だった。 

 

日本男子第1戦の道産子は、片岡尚之、植草勇太の二人。 植草が予選落ち、片岡は41位だった。 金谷拓実がtoday-6を出して逆転優勝した。

日本女子第5戦の道産子は、小祝さくら、藤田光里、吉本ここね、宮澤美咲、内田ことこ、阿部未悠の6人。 初日、小祝がトップに立ったのに二日目が雨で中止、又もや、今期3試合目の短縮試合となった。 内田が予選落ち。 ・・・前日スコアを落とした小祝が最終日、5アンダーと伸ばして逆転優勝した。 ツアー10勝目、天晴れ! 宮澤17位、阿部46位、吉本56位、藤田58位だった。 これで日本人の5連勝。

 

 

遠田潤子「紅蓮の雪」(単行本は2021年)

・・・いやはや、凄まじい紅蓮地獄(極寒の為に亡者の体が裂け、赤い蓮の花にようになる、という仏教語)の物語である。

旅芝居「鉢木(はちのき)座」の座長・鉢木正夫と四人の子供、長男・鷹之介、次男・秀太、三男・良次、末っ子で長女・映子に纏わる悲惨なストーリーである。 鉢木座は殺陣に定評のある座長と派手で色気もある美形の女形・鷹之介の二枚看板で大入り満員が続いていた。 下の二人は腹違いの弟妹だが、女癖が治らない正夫座長に嫌気が差して母親は子供二人を置いて実家に戻った。 それが憎くて正夫座長は一切、二人を無視した。 言って見れば両親から見捨てられた弟妹だった。 座長は次男の秀太にも関心が薄く、一座の中で雑仕事ばかりだった。 良次と映子は小道具のような扱いだったが、二人は着付け、音響、照明など裏方で働いて鉢木座を支えた。 父と長男は人気を笠にやりたい放題だった。 そして良次や秀太の芸を嘲笑っていた。 映子はそんな二人を励まし続けた、→秀兄さんも良兄さんも絶対に人気が出る、自信持たな、と衣装にも気を配り、少しでも舞台で目立つように工夫をしてくれた。 鷹之介は自分と同じ女形の良次に露骨な虐めをし出した、稽古をつけてやる、と本身の刀を使ったり、激高して蹴ったり殴ったりした。 そんな辛い下積みが何年も続いた。 ある時、骨董屋で見付けた本身の小脇差を買った映子が良次にプレゼントして、それを身に着けたら息を呑むような迫力が出て、客席がすすり泣いた。 凄いやないか、良次、と秀太が絶賛すると、映子がくれた刀で生まれ変わったような気がする、と納得していた。 こっちにうなぎ登りの人気が出てくると座長が掌を返してすり寄って来た。 映子は、いい気なモンやわ、私、絶対に許さへん、と涙を浮かべて言い切った。 酒癖の悪かった鷹之介は地回りと賭場で悶着を起こして、一座の金を持って逐電した。 金庫がカラになり、かつ、看板の女形が消えた一座は客足が激減し、座長は借金を重ねた。 一座の経営は火の車になり、給料も払えんようになると座員は次々辞めて行った。 劇団解散の危機だったが秀太は懸命に芝居小屋、旅館、健康ランド、村祭りの余興、宴会場等々、何にでも営業を掛け、必死に真面目に死に物狂いで働いた。 その熱意が伝わって、また来年も、と声が掛かるところが増えて、客足も伸びていき、時々は大入りも出始めた。 女形の良治の当たり役、牡丹灯篭と八百屋お七にも人気が沸騰して来た。 その内、秀太はある劇団座長の娘と結婚し、翌年には慈丹が生まれた。 三ケ月で抱き子として舞台を踏んだ慈丹は、天性の役者根性、と座員が大喜びした。 良治も押しも押されぬ看板女形だった。 その内、荒れた生活だった鷹之介はチンピラに刺されて死んだ、意気消沈した父は自ら身を引き、秀太は座長になった。

 

・・・あれから二十年が過ぎた今、慈丹は若座長と呼ばれ、大人気の女形であった。 剥き出しの一万円札、お花と呼ばれているおひねりを何人からもクリップで衣装に留められている。 慈丹の子供の寧々も可愛い女の子として踊っている。 秀太座長はいぶし銀の如くの立ち居振る舞いが貫禄十分である。 ・・・20才の牧原伊吹は、自殺した双子の姉・朱里が一週間前にこの一座の芝居を観に来た事を知り、自殺の原因が分かるかも知れない、と今日、観劇に来たのだった。 婚約者の内藤も、朱里が老舗旅館の若女将修業を承知していたのに、何故?と原因を詰め寄られたが伊吹もサッパリわからなかった。 年輩の女性客が多い中、男ながらに美貌の伊吹は、→あなたは何処の劇団?と勘違いされていた。 それを舞台の上からジッと慈丹が見詰めていた。

(ここまで、全396ページ農地、僅か、28ページまで。 双子の朱里と伊吹を小料理屋の父親は、汚い!触るな、と怒鳴るほどに嫌うのは何故か? その為、二人は他人に触られる、近くに寄られる事に恐怖を感じ、二人にしか親密に出来ない体質になっていた。 或る夜、父親は家の裏の川に伊吹を突き落とし、伊吹は死ぬ目に遭って助かったが、翌朝、父は首を括って自殺した。 この裏にある、恐ろしい真実、それを知った朱里が自らを呪って命を絶ったのか! ・・・余りにも悍ましい小説である。 恐らく読み返す事は無いと思う。 でも力作で有ろう)

(ここまで、3,000字超え)

 

令和6年(2024年)4月1日(月)

(新年度の始まりの4月1日が月曜日、と言うのは数十年に一遍の事かと思う。 記念すべき新年度であろう)