令和4年(2022年)10月3日 第552回

ゴルフ日本男子、22才・河本力がtoday-2で追い上げ、最終日オーバーパーした23才の先輩を逆転優勝! これで今季2勝目、姉の河本結を抜いての難しくて嬉しい2勝目である。 あっ晴れ! 若い世代の台頭に心が弾む。 女子第30戦目のメジャー戦は、勝みなみがtoday-4と追い上げて、まさかの韓国ベテランを大逆転した。 あっ晴れ! こっちは狂喜乱舞である。 良くぞやった! 4日間の優勝スコアが-3とは、如何に難コースだったかとその難しさに驚嘆した。 昨年に続く史上三人目のメジャー連覇とはその偉業に歓びも倍増だろう。 これで27勝3敗である。 日本女子はこのまま、勝ち進め! LPGAは畑岡が11位(28千$)、古江が20位(18千$)、笹生が42位、上原は78位だった。 …・・・今回の日曜日のゴルフ番組はふたつとも大興奮・大満足であった。 今夕は酔い心地が快い。

 

 

石田衣良「池袋ウエストゲートパーク⑯ 獣たちのコロシアム」

第二章 北口ラブホ・パンディッツ

8月から三件の連続ラブホテル強盗団が池袋で暗躍している。 小さなラブホには中高年の男女しかいないから、大手のラブホのセキュリテイと比較して絶妙な狙い目だった。 防犯カメラに残っている襲撃犯は3人組、目出し帽を被り、特殊警棒とナイフで武装している。 Gボーイズのキング、タカシから携帯が鳴った、→中二の時の小谷実利、サンタフエという北口のラブホの娘、マコトを紹介してくれって頼まれた、一時間後にそこに行く、ラブホ強盗の件だ、ウチのチームを使う事になるかも知れない、これはビジネスマターだ、相談を受けて何か突破口を見付けろ、と氷のような冷たい声だ。 中二の時の小谷は陰では「サンタフェ小谷」と家業のラブホの仇名で呼ばれていた。 マコトの事を「フルーツ真島」と呼ぶ奴がいたら叩きのめしていただろうから14才の彼女には残酷な事だったろう。  午後二時半、紙袋から老舗のバウムクーヘンを出して、→中学校の同級生で小谷実利です、マコトくんを少しお借りします、とおふくろに挨拶すると、→ミノリちゃん、可愛いじゃないか、マコトなら夜まで連れ回していいからネ、と機嫌良い返答だった。 パンケーキ屋に入ると、小谷が切り出した、→池袋には都内2位の80軒以上のラブホがある、新宿は100軒弱、襲われた店の共通点は客室30程の小規模店、大手のチエーン店は入っていない、池袋には小規模店は15軒ほど、その内3軒が襲われて残るは12軒、その中にウチも入っている、被害額は83万円、66万円、128万円、最後のは日曜の夜で売り上げも良く、客室のカップルも狙われた、マスターキーで部屋に押し入りスマホで裸の二人を撮影しながら財布から現金を抜き取ったのだ。

 

お母さんが怖がっている、今もフロントに立ってるし、お父さんもお客さんを心配して常連さんでも来なくなるって・・・ 警察も頑張ってくれてるしその内捕まるでしょ、それまでの間、マコトくんがホテルを守ってほしい、週末の夜のガードだけ、男がいるだけで違うと思う、清掃係のパートのおばさんと同じ時給1,200円で頼めないかナ、と懇願される。 それで、はは~んと来た、最初はタカシに相談した筈なのにこっちに回されたのはこれが原因だ、と。 時給1,200円じゃ、Gボーイズを動かせない。 プライドを傷付けられたマコトは、今度会ったらキングのタカシをぶん殴ってやる、と心に誓った。 ラブホ・サンタフェに連れて行かれて案内をして貰った。 四階建て、32室、四階の一室はリネン室があって、フイリピン人3人と、勤めたばかりだという60代の清水さんと太田川さんがいた。 →このお二人は、永年このような仕事に付いていたようで凄く仕事が早いの、と実利がいう。 金・土・日の三日間、17時から23時までフロントに詰める事になった。 過去3件の強盗は21時過ぎに起きている。 ラブホの波は8時から9時、一気に空き室がなくなる、それからは清掃係が大忙し、15分間で再び使用できるように廻していく。 お客は終電で帰宅できる時間までの二時間が勝負だった。 初日は何事もなく終わったが、土曜日の10時過ぎ、パトカーの音がして来た。 直ぐ近くのラブホ・シルバースターズに強盗が入ったらしい。 デニーズを事務所代わりに使っている情報屋ゼロワンに電話した。 →警察無線からの情報を頼む、というと、即、→三人組の強盗団、9時27分、清掃係の中国人が特殊警棒で打たれ頭蓋骨骨折で病院に送られている、警察は池袋周辺を封鎖して徹底的に捜索する、と流石の早耳だった。 10時45分、池袋署の吉岡刑事と若い刑事がやって来た。 防犯カメラに怪しい奴が映っていないか?との問い合わせだったが、→マコト、こんなところで何をやっている、面倒事じゃないだろうナ、おふくろさんが泣くぞ、と散々である。 実利がキチンと説明したが、アトから、→警察と懇意なんて、マコトくんて何者なの?と不思議そうだった。 その夜、ミノリから電話があった、→シルバースターの名前を最近耳にした事がある、今、清掃係とかの履歴書を調べている、と言った。

 

日曜日夕方、オレは出勤したが、実利は昼前から出掛けて帰って来ないと言う。 胸騒ぎがした、清掃係の履歴書を調べて何かを掴んだのかも知れない、だとしたら、実利が危険だ。 最近の二人の履歴書は共に西池袋2丁目、清水峰子と太田川小春が「清水荘」在住。 そして二人の職歴はこれ迄強盗に遭った四軒のホテルの清掃係だった。 ・・・マコトはキング・タカシに電話を入れた。 西池袋2丁目の「清水荘」に実利が監禁されている可能性がある。 ラブホの強盗団のアジトかも知れない、すぐ救出しなければ彼女の身に危険が迫っっている、と訴えた。 タカシはGボーイズを手配した。 「清水荘」は二階建、タカシの他に精鋭6名が黒の防刃ベストを着けている、相手は多分3名と当たりを付けた。 真夜中12時、インターフォンを押して、→済みません、北口のフェスタで働いている真島です、行方不明になっている実利さんの事で訊きたいんですが、と声を張り上げる。 清水のばあさんとおぼしき声が、→何、言ってんだい、もう辞めたんだから知る筈も無いだろ、と返って来た。 しかし、マコトは、→実利さんが電話をくれたんです、うちの清掃係に怪しい人がいるかも知れないって、と告げると、やや経って、イキナリ、ドアが開いて目無し帽が特殊棒で襲い掛かって来た。 途端に陰に潜んでいたタカシの右の拳がそいつの顎を掠った。 目無し坊の顎の骨を見事に打ち砕いた。 男はそのまま崩れ落ちた。 6人の男達が部屋に雪崩れ込んで行く、残された二人の男に襲い掛ると呆気なく制圧した。 奥の寝室に清水と大谷田川が茫然と立ち竦み、紐で縛られた実利が転がっていた。 →マコトくん、殺されるかと思った、怖かった!としがみ付いてくる。 タカシは相変わらず冷静だった、→警察に通報しろ、撤収だ、何も残すな、と格好イイ。 通報された交番の大手柄になったが、アトになって吉岡刑事の恨めし気な声がマコトに届いた、→先に俺に一報があったらナ、と悔しげだった。

 

 

今夕はトコヤを予約した。 帰途、新しく狸小路2丁目に出来た居酒屋ビル「狸KOMICHI」を覗く事に決めている。 1・2階併せて20軒程の吞み処があるので、先ずは様子見である。

(ここ迄、3,000字越え)

 

令和4年10月3日(月)