令和4年(2022年)9月16日 第546回

一年半の長期熟成のジャガイモ、「540じゃがバター」を食べてみたくて二回目の「旬菜N」に寄った。 結論は、甘いジャガイモには違いないが、さつま芋と同じ位かな? 話のタネにはなるネ、とマスターと結論付けた次第。 次はいつもの「スナックM」、18時半だったのに女性の4人組と3人組がいた。 オンナばかりの7人先客とは初めての経験である。 生命保険会社の4人の中に入れられて名刺交換すると、同じ営業所の所長以下のグループだった。 その営業所は我が家のバス停から四つ先のところなので、我がマンション近くの安いカラオケ居酒屋「K」で再会する事にしたが、果たして連絡が来るのか、否か?

 

 

文庫本5冊購入。 珍しい事に全冊書き下ろしである。 知念美希人「生命の略奪者」、山本甲士「迷犬マジック ②」、金子成人「ごんげん長屋つれづれ帖 ⑤」、新海誠「すずめの戸締り」、深町秋生「天国の修羅たち」(「ヘルドックス」シリーズ完結編)、全部面白そう。

U内科から文庫本3冊を借用。 5月の血糖値261が、7月に161と下がっていた。 何、これ? 2年前には474の時もあったので治療薬の効果が抜群だという事か。 ヘモグロビンAIcも過去最高9、8が7、1に下がっている。 U先生にも言われているが、毎日規則正しく糖尿病薬を飲用しなければならないナ。 血圧は126ー64だった。

 

 

山本甲士「迷犬マジック②」(書き下ろし)

小4の波多賢助は、40才前後の重(しげる)さんから、賢ちゃん、と呼ばれている。 重さんは製材所の仕事が終わると、一旦、一人暮らしの借家に戻り、作業服を着替えてこのアパートにやって来る。 夕食を三人で一緒に摂って、風呂に入って帰る。 母さんはショッピングセンターのフードコートでパート仕事、重さんは、以前は金・土・日だけだったが、今は毎日やって来る。 風呂は賢助が最初で、次がお母さん、最後が、→体は俺が一番汚れているから、という重さんである。 重さんは大学生の時、ボクシングで全国2位になった事があって、お母さんは表彰式の写真を見せられたと言う。 更に、→リングの外では絶対手を出さない、チンピラに絡まれて不意打ちで殴られた時も、反撃せずにひょいひょいと躱し続けて、通行人が警察に通報してチンピラが逮捕されたの、その交番の警察官がお父さんだったの、と吃驚させられた。 二人は初対面だったが行きつけの居酒屋で顔を合わせ、度々会う度に挨拶を交わすようになり、飲み友達にもなった。 お父さんのお葬式に来てくれて、その時、お母さんの中学時代の同級生だったから吃驚した事、また、重さんのお父さんも警察署長を務めた人だったが、重さんとは親子の仲が良くないようだとお母さんから知らされた。 お父さんは賢助が小1の時、急性骨髄性白血病になり、三か月ほどで死んでしまった。 交番勤務から機動捜査隊員となってパトカーで街中を走り回っていた。 お父さんはいつもキリッとしていた、それに引き換え、重さんは坊主頭、無精ひげ、よれよれのジャージーや作務衣なので、男としてのランクはだいぶ下の気がする。 社会的な地位も給料も、お父さんとはキャラが全然違う。

 

タッカーこと高瀬君、グッちゃんこと谷口君と連れ立って、バーベキュー用の炭・ひと箱と軍手、使い捨て調理網、虫よけスプレーをホームセンターで買った。 アトはグッちゃんのお父さんがキャンプ用具一式を車に揃えている。 この三人は小1のときから仲良しで、ドッジボールが得意だった。 しかし、4年生になってからは周りがサッカーをするようになり、特に大坪君はカーブするシュートを放って群を抜いていた。 走るのも早いし、水泳教室にも通ってるし、鉄棒で逆上がりも簡単にやるし、大坪君は学校でも人気者なのだ。 スポーツ協会のおじさんが土曜日に教えに来るクラブは、野球とサッカーの二つしかない。 ドッチボールクラブは無いので、サッカーでもやろうか、と三人は考えていた。 ホームセンターで用が終わると雨が激しく降っている。 スマホに連絡が入って、タッカーのお父さんが迎えに来てくれるという。 高瀬家はマンションや飲食店のオーナーで時間が自由に使える。 グッちゃんのお父さんは事務機器を東南アジアに輸出している会社の社長じゃないけれど、共同経営責任者の立場でしょっちゅう海外出張をしている。 お父さんのいない賢助に、二人が腫れ物に触る様に気を遣っているのが嫌だった。 黒い大きな外車が雨の中に現れた。

 

翌日曜日、グッちゃんのお父さんのランドクルーザーでバーベキューや管理釣り堀で楽しんだが、帰途、賢助のお父さんが、亡くなった警察官だったと知ったグッちゃんのお父さんは、警官から嫌な目に遭った事を並べ始めた。 隠れて見張っていて違反切符を切られた、職務質問されてバックの中身やポケットの中まで調べられた、ストーカーを訴えたのに何もしてくれなくて女性が殺された事件等々、警察に対する不満をぶちまけていた。 やっと、場を読めていない事に気付くまでそれは続いた。 ああ、ゴメン、波多クンのお父さんはきっと立派な警察官だったと思うよ、と弁解した。 裕福な家のタッカーもグッちゃんも、賢助とは境遇が極端に違う。 これからサッカーをやっても二人はグランド品のユニフォームとシューズやマイボールを買ってもらえると思うが、住む世界が違うからこれからは距離が離れてゆくのだろう。 車を降りた時、変に気遣いをしていた固苦しさでホントに疲れてしまった。 次回に誘われた時、断わる方便を考えて置かねばならない。 アパートに近くなったとき、背後に気配を感じて振り向くと、黒柴ふうの中型犬が後ろを付いて来た。 赤い首輪があるがロープには繫がれていない。 迷い犬だろうか? →どうした? 飼い主とはぐれたのか、と言いながら首筋を撫でてやると、小首を傾げた。 ちゃんと躾けられているようだ。 アパートに帰り着いてもあの犬の事が気になって、階段を降りて行くと駐輪場の方から現れて目の前に座った。 そこに重さんが自転車に跨ってやって来た。 首筋を撫でながら赤い首輪をクルリと回すと、小さく「マジック」と書かれている。 重さんが町内会長の所へ訊きに言った。 中型犬、黒柴ふう、マジックの首輪等々の情報で数人に電話してくれたが誰も飼い主や見覚えの人がいなかった。 →しょうがない、俺の借家は二年後の取り壊しが決まっているから、犬を連れ込んでも大家さんも許してくれるだろう、ホームセンターでリードとドックフード、エサ入れを買って行くとしよう、と連れて行った。 朝の散歩は重さん、夕方の散歩は賢ちゃんにも頼めるかナ、二人でやると晩ご飯が少し遅れるけど・・・と言うので流石に断われなかった。 途中のウンチの後始末も言われてイヤだったけどしょうがない。 重さんがマジックの足を拭いてやって畳の部屋に上げた、室内の隅々にクンクンさせてから畳の真ん中にチョコンと座り、伏せ、お手、おかわり、お座りも直ぐ熟したので、キチンと躾されているのは間違いなかった。 ドックフードを入れてやると、クンクンと匂いを嗅いでから重さんを見上げたので、→食べていいぞ、良し!と言われてやっとモソモソ食べ始めた。 それを見ながら重さんは、→ボクシングを諦めてからアクション俳優を目指した、途中、足を骨折してリタイアした、その後数年間は色々な仕事を渡り歩き、5年前から今の製材所に落ち着いている、とこれまでの話を訊かせてくれた。

 

翌月曜日の夕方、重さんちに行くともう帰って来ていた。 部屋に上がってマジックの首回りを抱きしめ、両手で撫でまわしてやった。 目を細めて気持ち良さそうだった。 おとなしい犬だと思う。 重さんは、→ウンチキャッチャーを作った、今朝はタップリしたから今度もきっと同じだよ、頼むね、と渡された。 →まだまだ散歩したい、と自己主張するから、結構歩かされた、らしい。 二人で散歩に出ると、ママチャリのおばさん、女子高校生の二人から、→カワイイ、と声を掛けられた。 公園まで引っ張って行かれると黄色いテニスボールを咥えて来た。 自分が遊ぶのじゃなく、二人でキャッチボールをしてと言う事か、と問い掛けると口の両端がにゅっと上がって笑うような顔になった。 重さんがキチンと胸元に返してくれるので、段々、距離が離れて行っても楽チンに補給で来た。 20分ほどで止めてテニスボールも元に戻した。 誰かが探しに来るかも知れない。 帰り道、おばさんと散歩中の茶色いトイプードルがキャンキャン吠えかけてきたけれど、マジックは平然と見送っていた。 重さんの提案があり、→さっきの公園でサッカーのリフティングとかパスの練習をしよう、サッカークラブに入るんでしょ、サッカーボールを持ってるし。 サッカーボールを買ってやると言ったら押し付けがましくなるので、持っているのはウソだと思った、それ位の気遣いはする人だった。  翌日の朝は、マジックは女子中学生のグループに囲まれて撫でられたらしい。 重さんは、→坊主頭の無精ひげに寄っては来ないが、マジックには寄ってくる、何か、別の世界にワープしたような気持になる、と散歩の効用を言う。 向こうから同級生の板木あすかが自転車で近付くと、→その犬、波多君ちで飼ってるの?と首を撫でている。 ペット禁止のマンションなのでいつか犬を飼うのが夢だという。 迷い犬のマジックだと言うと、公園まで私も付いて行く、と連れ立ってきた。 二人がサッカーボールを蹴り合っている間は、板木が公園内を連れ歩いていた。 リフティングが6回連続から8回連続成功した時は一時間が過ぎていた。 板木は楽しかったので明日も来るという。 重さんは、→賢ちゃんはドッチボールが得意なら、サッカーはゴールキーパーが向いているかも、と言われたので次回からそれを目指す事にした。 マジックの飼い主は二週間たっても現れなかった。

 

板木あすかが小2の妹や同級生を連れてきて、クラス中にマジックの話が拡がっていき、タッカーやグッちゃんも一緒にサッカーの練習をするようになった。 重さんの騙しのシュートを結構見破れるようになった頃、学校のクラブで誰もがやりたがらなかったゴールキーパーを買って出て、見事、大坪君のシュートを止めて皆から喝采を浴びた。 更に、11本のPK対決をしたら、4本をセーブ出来て、大坪君が、→賢ちゃんなら5年生でレギュラーに絶対なれる、一緒にやろう、と太鼓判を押した。 板木に訊かれて、重さんは父親になるかも知れない人だ、と打ち明けると、→実は二年前から新しいお父さんなの、まだ全然打ち解けていないから親子の様に仲のイイ波多君が羨ましい、と言う。 若い頃からギターを嗜んでいた人で、板木は自分もギターを弾ける様になりたい願望があるらしい。 じゃ、飛び込んで行けばイイのに、とは自分の事を棚に上げるようだったから、言わなかった。 そう、全ては重さんからの心配りとそしてマジックのおかげなのだった。 土曜日、サッカーの試合がある、→必ず、マジックを連れてきて、クラスのみんなが喜ぶと思う、と約束させられた。

 

賢助は重さんに買って貰ったサッカーシューズと滑り止めの付いた軍手で武装した。 重さんは仕事があって来れない。 板木が先に来ていて、数人の女子がマジックを取り囲む。 キャーキャーと大騒ぎである。 試合は大坪君のシュートで一点先取したが、反撃のシュートが凄まじくて賢助は合計4発を辛うじて防ぎ切った。 最後に大坪君のファールでPKとなったが、キッカーの軸足の爪先が少し内側を向いたので咄嗟に左に動いて横っ飛びで弾き返した。 味方チームの雄叫びが響いた、→やったー! 賢ちゃん凄い! すげ~、スーパーセーブ! すると、ネット裏に来ていた板木達も、→波多君、凄い、凄い、と拍手しながら飛び跳ねていた。 大坪君は、→今日のMVPは賢ちゃんだ!と大声で叫んだ。 帰途、帰る方向に来ると、マジックが足を突っ張った。 マジックの歩く方向に付いていくと、製材所ではないか、フオークリフトを運転している重さんは格好良かった。 一緒に来た板木やタッカーやグッちゃん達も同じように思っていた。 ここには初めて来たけれど、マジックは知っていたンだな、最後に賢助を連れて来たのだろう。

(ここ迄、春、夏、秋、冬、4編の内、春のみ。 全366ページの内、105ページまで、夏、以降も面白い、いつか、続編をupするかも)  

 

 

 

PGAは新シーズンがスタート、松山が10年目らしい。 LPGAは上原彩子が初日トップに立った。 2打差で渋野も続いている。 古江、野村と併せて4人の内、誰が予選通過するか。

欧州はイタリアで川村、初日は下位に沈んでいる。

日本男子は札幌で4日間大会、女子第28戦は、三日間大会。

週末は大相撲と共にテレビ観戦が忙しい。

(ここ迄、約5,300字)

 

令和4年9月16日(金)