令和4年(2022年)4月15日 第503回
業界紙に我がブログ掲載のキッカケになったK元会長を小料理「S」に招待したが、→ここはオレが持つから次のスナック「M」を払ってくれ、と逆にご馳走になってしまった。 「M」の方が4~5,000円は安く済むので、有難く了解した。 ただ、→ブログは初回だけしか見ていない、との事でガッカリだったが・・・。 K元会長は、積丹町から移築した漁師の石蔵に蕎麦屋の借り手を探していたが、繁盛している琴似の寿司屋が通りがけに石蔵を見染めて、知人を介してここを借りたいと申し出があったそうナ。 今、改装中で客席10人程の高級店を目指しているらしい。 →店が出来たら奥さんも一緒に招待するから楽しみにナ、と言われて期待大である。 スナック「M」では、ご主人を3年前に亡くしたという79才の方が、50代の千葉市に住む長女と市内の次女を連れて来店してきた。 年の近いK元会長とその方のデユットを始め、姉妹も交えて5人の歌合戦だった。 もう一組、男客2人がいたが、こちらの雰囲気に呑まれたのか、そちらの番ですよ、とカラオケを勧めても乗って来なかった。 会食の17時から22時過ぎまで、安価で済んだ楽しいひと時であった。 おまけに丁度バスが来たので、札幌市の敬老優待乗車証で実質40円で帰宅出来た。 タクシーなら深夜割増しで1,600円以上である。 全てに安価で済んだ嬉しさであった。
堂場瞬一「悪の包囲」(文庫本、書き下ろし)
吉祥寺北口の繁華街、元・神奈川県警の刑事だった平野明彦が開店したバーに、立川中央署の岩倉剛・54才は招待されていた。 夜の街で商売をしているといつの間にか情報が集まってくる。 平野は裏の事情通となり、岩倉も彼の情報に頼った事があった。 数年前、岩倉はMETO(メト)という組織と対峙した。 違法な国際的な武器商人であるが、結局、実態を解明出来なかった。 今も小骨が引っ掛かっているような思いが残っている。 平野にも情報は入っていないらしい。 岩倉には20才年下の彼女、吉祥寺に住む赤沢実里がいる。 実里は女優でニューヨークに長期滞在して本場の舞台に立っていたが、コロナで満足な活動ができなくて帰国した。 その間に岩倉は正式に離婚が成立していたから、誰からも後ろ指を指される事はないが、年が離れている分、少し照れ臭い。 同じ立川に住んで欲しかったが、下北沢や新宿の劇場へアクセスがイイ、と吉祥寺に拘っていた。 非番の日、岩倉は実里のマンションに泊まった。 舞台に出ていない時は実里は新宿のガールズバーでアルバイトをしている。 その日、遅番の実里を駅まで送って行ったアト、スマホが鳴った。 午後7時、同僚の熊倉恵美から非番の岩倉に連絡があるとは、事件に間違いない。 →国立市西3丁目のマンションで殺人事件です、害者は本部のサイバー犯罪対策課の福沢一太さん・40才です。 福沢! 一週間前、警視庁本部で掴み合いの衝突をしていた。 数年前、岩倉が自ら希望して本部を出るキッカケを作った男だった。 岩倉の異様な記憶力を大学と共同で研究させて欲しいと持ち掛けられたのである。 大学の教授は、離婚が成立した岩倉の妻である。 研修の打ち合わせで警視庁本部に立ち寄った時、偶然に、福沢と顔が合うと、また、→ぜひ、研究させてくれ、とにやけながらしつこく言い寄って来たので、胸倉を掴んで、→いいかげんにしろ、と怒鳴り返した。 その腕を押さえられたのは、失踪人捜査課の高城課長だった。 →ガンさん、相変わらず若いねェ、でも、誰が見ているか解らんぞ、警察官は噂が好きだからナ。 丁度、昼飯時で食堂には警察官も記者も入り込んで食事をしている。 福沢は逃げるように姿を消していた。 その男が一週間後に殺された? 実里にメールをしておいた、→緊急事件、暫く会えないと思う。 即、既読になって、→長引きそう? →何とも言えない、明日また連絡する、とやり取りをした。
福沢のマンションは三階建の最上階だった。 独身にしちゃ広い2LDKである。 部下の恵美から、→頸動脈を切られて胸を刺されています、かなり入念な殺し方です、室内は家探しで荒らされています、と訊き出した。 部屋に入ると、かなり激しい格闘があった様子で、犯人は2人か3人と思われる程の荒れようだった。 警察官として基本的な訓練を受けていても、その人数じゃ撃退は無理であろう。 しかし、顔見知りなのか、簡単にドアを開ける筈はないし・・・。 マンション内の聞き込みを始めると、隣の部屋の女性が、→夜11時位に複数の人の話し声があった、内容は聞き取れなかった、と証言した。 警官殺しが未解決になる事だけは避けなければならない。 上司の出世途中の末永課長はそんな事態は絶対避けたいだろう。
翌日、本部の高城課長からスマホがあった、→結構な噂になっているぞ、お前が福沢を殺したンじゃないかって、アリバイはあるだろうナ。 実里のマンションに泊まった夜である。 同僚にはその存在を明かしたくない相手である。 →背中に気を付けろ、と忠告された。 福沢の入っているマンション1棟が資産家の両親から遺産の一部として受け継いだ、との事。 家賃収入が14部屋から、年間1,200万円もあるらしい。 捜査一課特殊班の伊東彩香・30才は、南太田署時代の後輩で、本人は「岩倉の弟子」を自任している。 福沢の家賃収入を教えてくれた人事課の帰途、バッタリ会ったので昼食を一緒した。 →ガンさん、何やらかしたんですか、被害者とトラブっていたって噂になっていますよ、と高城課長と同じ事を言う。 →ガンさん、特捜に入った一課の連中が狙っていますよ、情報を仕入れておきますから。 →ご好意だけ有難く頂いておくよ、君が目を付けられちゃ敵わない、後輩の足を引っ張る訳にはイカン、と悉く断わったせいで彩香は不機嫌になってしまった。 立川中央署に戻ると、末永課長から、滝川瞳署長・59才が呼んでいるという。 警視庁には珍しい女性署長である。 →被害者と揉めていた話だけれど、殺してはいないわね、と冗談にしても酷い問い掛けである。 →事件の日、非番でしたね、その夜のアリバイを言って下さい、と畳みかけて来る。 実里は勿論、元・刑事の平野の事も一切言いたくない、→貴重な情報源です、秘匿します、私を逮捕するならやればイイ、いくらでも捜査の穴を指摘出来ますから。 見かねた末永課長が、→ガンさんは特捜から外れて、裏で一人で捜査を続けて貰う、と署長の同意を得たのであった。
あれだけ荒らされていた部屋には、財布、預金通帳、銀行のカード等が残っており、強盗説が大きく後退した。 靴跡が二人分、顔見知りで被害者が自らドアを開けた、と報告されていたが、最後の捜査会議に出ていた岩倉は口を挟みたくてウズウズしていた。 福沢の両手首には明らかに拘束されていた跡があった。 口にもガムテームらしきものが貼られていた筈だ、あれは拷問していたのだ。 金ではなく、個人的な恨みか、仕事上のトラブルか、サイバー犯罪対策課でどんな仕事をしていたのか、彼らは一切明かしてくれない。 その夜、平野と実里に報告した。 自分のアリバイで二人の名前を秘匿した為に特捜を外された、言えば絶対に二人に事情聴取に行くから迷惑をかけたくない、だから暫く店には行けない、会えないと。
さて、福沢の周辺人間を探ってみる。 水野南、将来の署長候補と名高い女性が昔付き合っていた事を掴んだのでさっそく会いに行った。 勤務先が三鷹市、独身で交通課長心得である。 去年の7月、友人としての付き合いでランチを食べたッきりで、特に難しい捜査の話もなかった、と情報を得る事は出来なかった。 ただ、7年前に福沢と手掛けた事件で、知りあいの週刊誌ライターから取材を申し込まれた、という話が頭に残った。 喫茶店で別れてから、見張られている!という空気を感じた。 急ぎ足で右に左に歩きながら、突然、元来た方向へ駆け足で戻る。 一人の男と目が合った、中肉中背、ワイシャツと黒いジャケット、グレーのズボン、大きな鼻、左側にほくろ、細い顎に無精髭、30才位、一瞬にしてそれらを記憶する。 捜査一課の若手か? 知らない顔だった。 容疑者に対する行動確認の尾行なのだろう。 岩倉は逆尾行を始めた、尾行しているぞ、と敢えて隠さない事で相手にプレッシャーをかけられるものだ。 しかし、運の悪いことに奴は通りかかったタクシーに手を挙げ乗り込んだ、後続のタクシーが来ない、しょうがない、タクシーのナンバーと会社名を頭に叩き込む、相手がどこで降りたのか位はアトから把握できる。 しかし、一体何だったのか? 近くに武蔵野北署がある。 土曜日当直だった交通課長に断わって署の電話でタクシー会社に電話を入れると、理解が早く、運転手がここ迄来てくれると言う。 西村と名乗った運転手は、→吉祥寺南口で下ろしました、行先を言っただけで会話はありません、支払いは現金で領収書は要求されませんでした。 ン? 領収書無しじゃ警察官ではないのかも、と岩倉は思った。 尾行された事、その男の人相を末永課長に報告した。 捜査一課にそんな風体の男がいないか、もお願いした。
自宅のマンションの前に南太田署の同僚だった川嶋市蔵が待ち受けていた。 この男は警察内部の「スパイ」「始末屋」として知られている不気味な男である。 →面倒な事に巻き込まれているそうですね、福沢と言う人もいろいろ面倒な人のようですね、充分気を付けて下さい、捜査一課も厄介ですけどそれ以外にも、岩倉さん、虎の尾を踏んだかも知れませんよ、ま、一応の忠告と言う事で、何か解れば伝えますから、と一方的に告げて去ってゆく。 こちらからの問い掛けに一切応えない、正体不明のクソ野郎は相変わらずだった。 風呂から上がると、娘・千夏19才からスマホが入る。 →家を出て一人暮らしをしたいけど、母親の工学部・教授が許してくれないから、そっちから説得して欲しい、と言う。 自分にしか興味がなく人の話は聞かない、そんな妻だから離婚したのであって、娘のこの頼みは受け入れる訳には行かない、無駄だ!と断固として断わった。
日曜日の朝、伊東彩香からスマホが入る。 →サイバー犯罪対策課の福沢の元・同僚、石田真琴・30才と会える事になった、手伝わさせて下さい、と渋谷の待合先を一方的に言う。 石田はほっそりした警察臭のない人だった。 福沢は捜査二課からサイバー対策課に異動したが、→昔の情報源にいつまでも餌をやらないといけないから面倒臭い、と呟いた事がある。 別に恨まれているとかではなかった。 女性関係は無かった筈だ、という情報だけだった。 彩香と昼食を取りながら、昔の捜査二課の退職者を思い出した。 実家が浅草の蕎麦屋、そのせいか、田川孝夫は余裕のある人だった。 一時は岩倉の上司だった。 電話を入れるとマンションに来いと言われて7階の最上階に住んでいた。 単刀直入に、水野南からちょい聞きしたライターに心当たりがないか、と切り出した。 →そういえば呑んでいる時にライターと付き合うコツ、と訊かれた事があるナ、事件化した事は一度もなかったが、ぶっ飛んだネタを良く持って来たナ、例えば、武器商人の話とか。 岩倉は思わず背筋を伸ばした、武器商人と言えばMETO、未だに正体の解らないあの組織をそんなに昔から追いかけていたのか、福沢も捨てたモノじゃない。 週間ジャパンの編集長の脇谷は岩倉と知りあいだ。 そちらからライターの線を追ってみよう。 田川先輩のマンションを出てから、電車に乗って、伊東彩香に福沢と岩倉の関係、共同研究の相手が別れた妻の工学部教授、等々を確認すると、全て知っていた。 →俺の名前を出さずにその教授に、福沢の事を訊き出してくれ、と願った。 その時、また、感じた。 奇妙な違和感、→誰かに見られている、この前尾行された、と彩香にささやく。 →次の駅で一回降りて直ぐに戻る。 その時におかしな動きをする人間を逆尾行を頼む。 次、中野で降りるからアトはメッセージ連絡で、と優秀な、かっての部下との連係プレーが始まった。
(ここまで、全429ページの内、173ページまで。 以下、襲撃、消えた男、救出、と続く。 背景にいたのはやはりMETOだった。 どんな理由で福沢は殺されたのか、岩倉も伊東彩香も命知らずの行動が始まった)
日本男子第2戦、石川遼は最下位の65位で予選通過、PGAは金谷、小平が予選落ち、松山は欠場している。 LPGAは、渋野、笹生、野村敏京、古江が予選通過、畑岡が予選落ち、3日目途中で渋野が2位に付けている。 ヨーロッパは試合が無い。 日本女子7戦目は初日、鈴木愛がトップに立っているが果たして?
(ここまで、5,200字越)
令和4年4月15日